亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 363
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488402167

感想・レビュー・書評

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  • テレビで亜愛一郎の2ドラをみてしまった。市川猿之助?!
    別物にもほどがあるよーとなんだかガッカリしてしまい、ドラマも本も放置しまっていた。
    先日、コメントを頂いて慌てて手にとった最終巻。

    今回も絶妙なタイミングで事件に巻き込まれてる亜愛一郎さん。
    ヌーディストクラブの小島、歯医者、北海道の湖、怨霊の集合地の山路。
    どこにでも出現するけれど、ちょっとダメダメぶりが浅い気が。
    その代わり、彼に魅力される女性が前作までより多い、もちろんドン引かれるわけだけど。
    勝手に脳内で愛一郎さんを阿部ちゃんとか沢村一樹などで演出していたので、ミミズ踊りにはまいったー。頭に阿部ちゃんと沢村さんのミミズ踊りがこびりついて。
    彼らならきっとやってくれるし!

    「双頭の蛸」が好き。こういうラストにニヤリとするお話は久しぶり。
    そして最終話はグランドフィナーレ。
    カーテンコールのようだった。
    私としては今回も回文よりもやはり亜愛一郎さんの自己紹介がツボ。

    「ア、ジ、ア…するってえと、最初の方のアでござんしょうか。それとも、後の方のアでござんしょうか?」
    「…多分、前の方の亜でござんす」

    「僕は悪運ではありません」

    「いえ、亜南ではありません。亜、なんです」
    「ですから、亜南さんですね」
    「いえ、亜なんです」

  •  本日、亜愛一郎の逃亡を読了しました。

     短篇集。「赤島砂上」「球形の楽園」「歯痛の思い出」「双頭の蛸」「飯鉢山山腹」「赤の讃歌」「火事酒屋」「亜愛一郎の逃亡」の八作品を収録。
     亜愛一郎シリーズの最終短編。最終作にて、亜愛一郎の秘密が明かされ、フィナーレを迎えます。
     前作品からずっと気になっていたのですが、本作のいたるところに、同一のモブキャラが登場し、モブは全箇所でみな同じキャラクタを使うという手法はなかなかおもしろいなと思ってました。
     作品は変わらず心理トリック。ですが、ここまで読んできて大体わからず、あっと言われることが多く、学ぶことが多い作品でした。「双頭の蛸」「飯鉢山山腹」などは犯人はこいつだ、とは思えたものの、その解決にいたるプロセスが思いつかなかったです。それが、大したことじゃなかったりするので、やられたなと思いました。ちなみに、一番驚いたのは、「球形の楽園」でした。
     亜愛一郎シリーズはこれにて終了となるのですが、面白いシリーズでした。泡坂氏の作品をさらに読んでみたいと思います。

  • 亜愛一郎シリーズ完結。ついに亜愛一郎の正体が明かされるっ! しかも毎回毎回事件現場に居合わせたあの人……そうかやはり偶然じゃなかったのかっ!
    イチオシ一作は「歯痛の思い出」。謎のとっかかり部分はものすごく何気なくてつまらないのに、その分真相への飛躍が見事。たぶんこれ、私は間近に見ていたとしても不審にも何も思わないと思う。観察眼ってのは重要だなあ。
    「赤の讃歌」も好きな一作。真相は比較的見えやすいけれど、雰囲気がかなり好み。登場人物の名前での言葉遊びも洒落がきいてて好き、かも(そういえば「歯痛の思い出」も言葉遊びだったなあ)。

  • 人嫌い、乗り物嫌いの大富豪は過剰な自己防衛のため、丸いシェルターを作り出したが、建設途中、密室状態のシェルターの中でコロされていた―「球形の楽園」。 例年にない大雪で客足のとだえたホテル。しかも突然の地震と、隣町で起きた殺人事件の知らせ。気味悪く思っている所へ客がやってきた。―「亜愛一郎の逃亡」他。 亜愛一郎が活躍する傑作事件簿・8篇を収録した連作短編集第3弾。

    最終章とも言える「亜愛一郎の逃亡」では、あまり事件性はないが、亜愛一郎の正体が明らかにされるという点では大事件!あの”三角形の顔をした小柄な洋装の老婦人”の正体もわかり、その意外な結末に驚かされます。 ミステリーとしては「飯鉢山山腹」「双頭の蛸」が面白かった。

  • 連作短編ミステリ・亜愛一郎3部作完結編

    読了日:2006.06.01
    分 類:連作短編
    ページ:352P
    値 段:620円
    発行日:1984年角川書店、1997年7月発行
    出版社:創元推理文庫
    評 定:★★★


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公:亜 愛一郎
    語り口:3人称
    ジャンル:ミステリ
    対 象:一般向け
    雰囲気:のんびり、非現実的
    結 末:1話1事件
    解 説:我孫子 武丸
    カバーイラスト:松尾 かおる
    カバーデザイン:小倉 敏夫
    ----------------------------

    ---【100字紹介】----------------------
    長身で二枚目、行動は些か心許ないが、
    虫や雲を撮ることにかけては右に出る者ない
    実力派カメラマン・亜愛一郎。
    彼の行く所、必ず怪事件が勃発!?
    連作第3弾にして完結編。
    ついに解き明かされる某人物の正体とは!?
    -----------------------------------------

    ●収録作品一覧
    -----------------------------
    第1話 赤島砂上
    第2話 球形の楽園
    第3話 歯痛の思い出
    第4話 双頭の蛸
    第5話 飯鉢山山腹
    第6話 赤の賛歌
    第7話 火事酒屋
    第8話 亜愛一郎の逃亡
    -----------------------------


    ついに「亜愛一郎」三部作の完結編です。最後の事件簿!という煽り文句?だったので、「続編とかってほんとにありえないのかな~」と思いつつ、ラストまで読んでみました。なるほど!確かにこれは続編は考えにくい最後です。別に命の危険があったわけではありません。いや、ホームズさんみたいに滝つぼに落ちたー!かと思いきや復活!というパターンもありますけど(笑)。

    さあ皆様、亜愛一郎の正体に注目!そして、お気づきの方はお気づきのはずの、第1作目からちらちらと登場していたあの「謎の人物」!あの人物の正体も明かされてしまいます。え、あ、そうだったのか!と思わず既作を読み返したくなること請け合いです。


    全体として、3部作の評価が徐々に下がっているのは、慣れてきてしまったために目新しさがなくなってしまったからかも。

    本作では、事件と推理が1対1関係ではありません。推理は相当憶測が多く、すべてを尽くして他の可能性を否定するタイプではなく、論理的に事件⊇ 推理、となっています。必ずしも亜愛一郎の推理は正解とは思えないし、正解とするという説得力にも欠けます。ただ、こういう考え方や可能性もある、という提示に過ぎない、というのは亜愛一郎自身も言及している通りです。

    しかしだからと言って、これが本格ではない、ミステリとしての魅力がない、とはなりません。古典的ミステリではそういうことは多かったものです。ホームズだって、そんなの論理的ではない、という人が沢山いるはずです。それでも先人たちはミステリを愛してきました。それは、不可能かと思われる事実に関して「こういう考え方もあり、これで説明がきれいにつく」という、発想力を楽しんできたからだと菜の花は思います。はっとさせられるのが面白い、それがミステリなのです。

    短編集であるがゆえに、事件はそれほど大きく、派手なものではないのですが、ひとつひとつが小さくまとまっていて読みやすく、ちょっとした空き時間に楽しめるようになっています。

    著者は手品師でもあるということですが、確かに、とても手品師らしい作品かもしれません。亜愛一郎のシリーズはこれで終わりですが、これからも頑張れ、亜愛一郎!と思わずにはいられない、素敵なキャラでありました。


    ●菜の花の独断と偏見による評定●
    ---------------------------------
    文章・描写 :★★+
    展開・結末 :★★
    キャラクタ :★★★+
    独 自 性 :★★★
    読 後 感 :★★★★
    ---------------------------------

    菜の花の一押しキャラ…亜 愛一郎

    「終いには顎まで腐ってしまいますよ 。
     顎がなくなったら、どうなさるんです。
     首も吊れなくなってしまいますわよ」
                  (井伊 輝里子)
    虫歯を我慢する夫への台詞。

  • 「飯鉢山山腹」は三毛猫ホームズの…名前忘れたけど、マッチ箱倒すやつを、「赤の賛歌」は「GOTH」を、それぞれ思い起こさせる。
    まぁ、年代順でいけば、明らかに本書のほうが早いから、ヒントを得たのは赤川次郎と乙一だろうけど。


    ご冥福をお祈りします。

  • 「赤島砂上」4…ヌーディストビーチにて。
    「球形の楽園」4…資産家の球形シェルター。
    「歯痛の思い出」3…歯科を受診する3人。
    「双頭の蛸」2…少年が湖で目撃。
    「飯鉢山山腹」4…化石採掘中、通った車。
    「赤の讃歌」3…天才画家の秘密。
    「火事酒場」3…火事好き酒屋。
    「亜愛一郎の逃亡」4…雪国での失踪劇と探偵の秘密。

  • 亜愛一郎シリーズ第三作目で、恐らくは完結編になります。
    亜さんの周りでは、色々と不思議なことが起こります。
    三作目になっても、亜さんは残念なままです。
    裸になるわ、走る車にしがみつくわ、ハチに刺されるわ。
    亜さんはイケメンなので、はじめは女の人にチヤホヤされます。
    しかし、本性がバレると、ドン引きされてしまいます。

    想像の斜め上を行くオチでした。
    亜さんは皇太子なので、王様になったら迂闊に出歩けませんよね。
    フツ王国は平和そうなので、事件は起きないでしょうけど。
    亜さんはご両親のどちらに似たんだろう。
    トレミー大博士もイケメンならば素敵ですね。

    ◆赤島砂上
    ヌーディストクラブが活動する無人島が舞台です。
    「全員裸なので、刺青のある人は目立つだろう」という盲点を突いてきています。
    亜さんもマッパになっています。

    ◆球形の楽園
    密閉されたシェルターの中で、死体が発見されます。
    ボトルシップがヒントになっています。

    戸塚先生も濃いキャラクターですね。
    「ママ」と言っているし、サソリのダンスにハマっているし。

    ◆歯痛の思い出
    読んでいて歯が疼きそうです。
    語り手と一緒に待っていた男が不審な動きをします。
    実は、男は殺人事件に関わっていました。
    相変わらず、亜さんのビジュアルに騙される女性達(笑)

    ◆双頭の蛸
    珍獣のスクープを求めて北海道に向かうと、殺人事件に遭遇します。
    草藤先生は胃腸が弱いようです。
    草藤先生と亜さんはコンビでの登場が多いですね。

    ◆飯鉢山山腹
    車に貼ってある文字がキッカケで、事件が解決します。
    狭い山道をバックで猛スピードで走るのは、とても危険だと思います。

    ◆赤の賛歌
    赤色で絵を描く画家は、実は入れ替わっていた?
    トラウマなんて、そんなもの。
    しかも、火事、母の死、流血ときたもんだ。
    亜→阿佐→朝日→旭名→浅日向って(笑)

    ◆火事酒屋
    消えた放火犯の謎。
    立っている時より横たわっている時の方が身長が分からないという盲点を突いています。
    亜さんは「脳病の王子様」と呼ばれています。

    ◆亜愛一郎の逃亡
    亜さんと三角形の顔をした洋装の老婦人の正体が明らかになります。
    トレミー国のことがちょくちょく話に出ていましたが、伏線だったのね。

    若い男としか書かれていませんが、亜さんはいくつなんだろう。
    二十代後半くらいかしら。

    招待客のリストを見ると、これまでの話に登場していた人物達は出世していますね。
    学生が教師になっていますが、どれくらい時が流れているのかしら。

  • 最終巻。こんな結末があるなんて。
    泡坂さんの作品は、様々なプレゼントが用意してある。愛一郎シリーズを手に取られた方はぜひ最終巻まで読んで下さいね。
    このシリーズ、もうドラマになった事があったんですね、他の方のレビューを見て知りました。

  • 悪運、君のことは忘れない
     二枚目カメラマンが披露する最後の種明かしとは ー
     前2作と比べると若干見劣りするものの、コミカルなやり取りで楽しませてくれます。ベストは「赤島砂上」でしょうか。何が論点なのかすら不明なまま終盤を迎えますが、亜の指摘によってはっと気付かされるのが可笑しかったです。次点は「火事酒屋」。真相そのもの以上に、伏線の張り方に思わず唸りました。
     誰もが気になっていたであろう、あの謎の人物の正体も明らかに。まさに華麗なるフィナーレ。亜愛一郎シリーズ・最終巻。

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著者プロフィール

1933年、東京都生まれ。76年『DL2号機事件』が第1回幻影城新人賞佳作入選。78年『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞、90年『蔭桔梗』で直木賞を受賞。奇術家としても高名で、石田天海賞を受賞している。2009年永眠。

「2018年 『奇跡の男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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