妖女のねむり (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 1-10)

著者 :
  • 東京創元社
3.57
  • (6)
  • (15)
  • (18)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 155
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488402204

作品紹介・あらすじ

わたしたちは結ばれることなく死んでいった恋人たちの生まれかわりよ。十五世紀のフィレンツェで巡りあったジュリアーノとシモネッタは悲恋に終わり、西原牧湖だった二十二年前のわたしは、平吹貢一郎だったあなたを殺してしまったの。今度こそ幸せになりましょう…。初対面のはずが深いところで響き合う真一と麻芸。前世をたどる二人が解き明かしていく秘められた事実とは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 謎をてんこもりにして走る物語は夢中で読んだが、タネをロマンと見るか非現実と見るか……。渋く枯淡な雰囲気は、米澤穂信が影響を受けているのを感じる。

  • 丸善150周年記念復刊で購入。
    『前世』というオカルトそのもののモチーフを扱いながら、全てに合理的な説明が成される終盤は圧巻。
    最初に刊行されたのは1983年と、けっこう古いのだが、この『古さ』というのは本書の場合、良い方に作用していると思う。

  • 夢見心地とはこのことだろう
     輪廻転生によって、運命の再会を果たした真一と麻芸。前世から現世、そして来世へと時は巡っていきます。波乱の展開を経て、様相が大きく変わりますが、夢から醒めることはありません。再生の先に待つのは、奇跡か、それとも悲劇かーー
     氏の才が集結した幻想ミステリの極致。

  • 導入の樋口一葉の遺稿というフックにまずグッときた。転生についてのタネ明かし、そして思想にとり憑かれたあの登場人物周りの描写が最後カチカチとハマって一つの絵になるような謎解きにグワーってなりました。ラストも美しい……

  • 「生まれ変わり」をテーマに据えつつ展開される前半はとてもロマンチック。前世では不幸があり結ばれなかった二人が、前世の謎を探るうちに明らかになる事実。
    ラストでの怒濤の解決編と、しっとりと締めるラスト1行。素敵でした。

  • 最後の一行で、涙がこみあげてきた。

  • 技巧派ミステリの代表選手、泡坂妻夫の隠れた傑作ということで、期待が大きすぎたのか、完成度が少し足りない感。でも舞台設定は最高にロマン主義。ボッティチェリの人物画の生まれ変わりのような日本人女性マキコは、21歳で恋人と不審な死を遂げていた。人物画の主は15世紀のメディチ家ジュリアーノの愛人で、やはり21歳で殺害された美女シモネッタ・ヴェスプッチ!マキコのさらなる生まれ変わりと自身で気付いたマキはあと一週間で21歳を迎えるその日、マキコの恋人の生まれ変わりの貧乏学生シンイチ君と出会ってしまうのだった。」これだけでもおなかいっぱいなのに、他にもいろいろネタを盛り込み過ぎて、誰が誰やらついてくのがやっと。普段本を読まないおさーるはじめ一般ピープルはおいてきぼり確実。ありえない三世代の輪廻転生の謎も、最後にはつじつまがしっかり会うのは、さすがの名人技。見破られた犯人が泣き顔から突然鬼の形相になって爆走したり、タネ明かしはどこかマンガチック。人が目の前で死んでも、あわてず騒がず冷静に話が進んでいくのもパズル感覚。本格ミステリはこうでなくっちゃ。

  • 樋口一葉の反古紙から、20年前の心中事件が絡み、そのまま行ったら、因果は巡る黙阿弥歌舞伎のようだ(解説で連城氏は南北だと書いている)転生の物語はロマンチックではあるが、皆が皆、あっさり信じてしまうのも妙だと思ったら、もちろんその辺はしっかり回収。全てのピースが収まるところに全て収まる手際の鮮やかさは見事。最後の最後で、主人公の既視感の理由も解り…本当に一行たりとも無駄な記述はないのだなぁ。さすが泡坂先生だ。

  • 「生まれ変わり」という幻想的なテーマを使いながらも、奇術師らしい仕掛けに溢れた本格ミステリの傑作でした。主人公が随所で感じる既視感で、輪廻転生は事実ではないかと読者に思わせてしまうあたりも秀逸。
    そして魅力的なヒロイン。ミステリでここまで可愛らしいヒロインがいたでしょうか?なんて現を抜かしていると、あんまりな展開に絶望。そこから物語は一気に結末を迎えます。
    たくさんの人物の思惑が絡まって成された事件の構図は、トリックあり、作者らしい異形のロジックありと本格ミステリとしても申し分ないものです。
    事件が収束して迎えるラストも美しく、幻想的な趣を深めています。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

泡坂妻夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×