夜光亭の一夜 (宝引の辰捕者帳ミステリ傑作選) (創元推理文庫)

著者 :
制作 : 末國 善己 
  • 東京創元社
3.25
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 26
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488402211

作品紹介・あらすじ

幕末の江戸。神田千両町に暮らす岡っ引きの辰親分は、御用のかたわら福引きの一種である“宝引”作りをしていることから、「宝引の辰」と呼ばれている。辰親分は不可思議な事件に遭遇する度に、鮮やかに謎を解く! 殺された男と同じ彫り物をもつ女捜しの意外な顛末を綴る「鬼女の鱗」。謎の画家が残した吉祥画を専門に狙う、怪盗・自来也の真意を探る「自来也小町」。美貌の女手妻師・夜光亭浮城の手妻中に起きた、殺人と盗難事件の真相を暴く「夜光亭の一夜」。ミステリ界の魔術師が贈る、事件関係者の一人称視点から描かれた傑作13編を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 個人的には、岡っ引き、目明かしは好き。

  • 幕末の江戸。岡っ引の辰親分は、福引きの一種である“宝引”作りをしていることから、“宝引の辰”と呼ばれていた。親分は不可思議な事件に遭遇する度に、鮮やかに謎を解く!殺された男と同じ彫物をもつ女捜しの意外な顛末を綴る「鬼女の鱗」。美貌の女手妻師の芸の最中に起きた、殺人と盗難事件の真相を暴く「夜光亭の一夜」。ミステリ界の魔術師が贈る、傑作13編を収録する。

  • 宝引の辰「捕者帳」、傑作13編を収録。泡坂妻夫の捕者帳ならばハズレ無し。それぞれトリックやネタの趣向が違っていてコンパクトに纏めてくる鮮やかさ。面白いです。
    印象深いのは、やはり紋章上絵師でもある氏が描いた「鬼女の鱗」、手妻ネタであり、且つ、例のシリーズのキャラクターのアレですねとニヤリとさせる「夜光亭の一夜」、判じ物の「雛の宵宮」辺りかな。

  • 泡坂妻夫の捕者帖は初めて読んだ。

    面白い。

    なにせ泡坂妻夫が、
    紋章上絵師だから紋についてのあれこれが面白い。『鬼女の鱗』
    職人だからその気風が面白い。『江戸桜小紋』
    江戸っ子だから、その描写が面白い。『にっころ河岸』
    手品師だから、手妻と舞台についてが面白い。『夜光亭の一夜』

    どれも色とりどりの魅力がある。さすが選りすぐりの傑作集だ。

    泡坂妻夫は、現代ものをいくつか読んだけれども、ちょっとクサいところがある。

    なんだか読んでいる時にふっと立ち上るクサさがあるのだ。
    描写なのか、言葉使いなのか、人物の風体なのか、性質なのか、書かれた時代のせいなのか・・・・・・具体的に挙げられなくて申し訳ない。
    さながら古い箪笥を開けた時のにおいがある。

    それが、捕物帖となれば、なんと色鮮やかになることか。

    着物の描写も、風景の描写も、目に浮かぶように美しい。

    そして語り口がよい。

    『「どうだい、松つぁん、この眺めは、芬芳鮮美てえか、実に、強的なもんだ」
     窓香に言われるまでもありません。新大橋に立つと、両岸、取り分けて向島のあたりは薄紅色の雲が覆っているよう。皮には屋形船や荷船が往き交い、木のせいか通行の人の足取りも浮き浮きとしている。
     新大橋を渡り、前に下るとすぐ小名木川の河口で、万年橋から海辺大工町、船大工が多く住んでいる町で、小名木川沿いに進むと高橋。扇橋を渡って、猿江、五本松、大島のあたりに来ると、もう深川の末で、広広と畑地が拡がり、遠くには葛西、鴻ノ台の丘陵が煙って見栄、桜の並木はさらに豊か。川面に散る花弁は銀鱗のようで、まことに長閑な風景ですが、窓香は急に脚を止めたり、きょろきょろと落ち着きません。
    「はて・・・・・・このあたりだったと思うんだがなあ」』(88頁)

    声に出しても心地よい。
    字面も目に鮮やかな文字を眺めながら、名作時代劇のナレーションをしているような、
    高座にあがって、古い噺を一席申し上げているような、
    なんともいえない心持ちでいるのだが、しかし、残念なことがある。

    私の言葉は、江戸のものではないのだ。

    これはどうしても江戸の、かわいた風の、どこかぱりぱりとした、粋な声音と言葉でなければならない。

    近頃、朗読された形の本が流行だという。
    ここはぜひ、江戸の落語家か、江戸出身の声優に読んでいただきたい。
    私は詳しくないのだけれど、落語の経験もあるという声優、森田成一はどうだろう。

    ぜひ聞きたい。関係者の方、あつく強くお願いいたします。

  • 泡坂妻夫は今となっては懐かしい「幻影城」でお目にかかって以来のファン。現代ものは登場人物の言い回しとか、情景描写とか、いつの時代?という古臭さを感じさせて、しかもそれが作品の魅力だったりする。
    時代物は文句なく大好き!無理目な展開やトリックがあるが、それもご愛敬。江戸の言葉、季節の風物着物の柄すべて丁寧で、読んでいるのが心地よい。
    表題にもなった『夜光亭の一夜』は手妻師浮城はあの人の…と想像が膨らむ。
    心がざわついてしまう時に短編一つ読んで寝ようかなと手に取る一冊。
    唯一気に入らないのが表紙。辰親分、もうちょっといい男のイメージなんだけど。せっかくの森美夏さんなのに。

  • 捕物帳は様々な著者が手掛けているが、泡坂妻夫の本作は矢張りミステリとしての完成度が高かった。泡坂妻夫、最近、ちょくちょく復刊されていて嬉しい。
    ふと思ったが、今、人気のミステリ作家が捕物帳を書いたらどういうものが出来るのかなぁ。宮部みゆきみたいに両方書く人気作家はいるが、若手の競作みたいな企画は難しいんだろうか。うーん、何処か出してくれないかな〜。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

泡坂妻夫の作品

ツイートする
×