第三閲覧室 (創元推理文庫 M き 2-4)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488406059

作品紹介・あらすじ

学長の私的なコレクションを収めた第三閲覧室で死体が発見される。事件の背景にあるのは大学内の複雑な人間関係か、それとも膨大な数の稀覯本か?図書館運営主任が疑われるなか、彼の無実を確信する古書店主が事件の調査に乗り出す。現場周辺で目撃された謎の女性、奇妙なダイイング・メッセージなど、事件には不可解な点が散見され…紀田ミステリを代表する長編本格推理。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/1/13購入

  • タイトル買い。「第三閲覧室」って響きがなんかイイ。第一とか第二じゃダメ。絶対。

  •  大学図書館で起きた変死事件を巡る長編推理小説。
     学長人事の駆け引きや幻の稀覯本の真贋など、事件の背景は細かく描かれるが、これは図書館ミステリというよりも、書誌学ミステリと言えよう。
     著者の緻密で膨大な書誌的見識が物語のバックボーンとはされてはいるものの、それが厚過ぎることで却って、推理小説としては構成が歪になっている印象を受けた。
     事件の枠組みは解明されても、動機が薄くて卑小だったり、探偵役が明確でなかったり、嫌疑を掛けられた運営主任の本筋と無関係なプロローグ的日常の描写があまりに冗長であったり、それでいてその悲劇的な現状に何の先行きも打開も提示せずに寸詰まりのぶつ切り状態の扱いで、正直なところ、推理物としての完成度は中途半端で拍子抜けを食らった。
     本格ミステリとしての精練を追求するよりも、如何に多くの書誌学的情報を盛り込めるかを重視しているような作品づくりを匂わせたことで、読後感が物足りないものとなってしまったのが残念なところである。

  • 全体的に古くさいし、ミステリとしてはなんじゃこりゃ?な感じですが。
    その古くささ、というか古びた匂いが本書の魅力だと思います。
    「本」にまつわる話が意外に面白くて、結局最後までちゃんと読んでしまった。
    ていうか、それのみ?(^_^;)

  • 大学の図書館と古書稀覯書にまつわる長編ミステリ。ミステリ的仕掛けはオーソドックスですが、古書に関しての記述が面白く楽しみました。ただ、事件が起こるまでやたらと詳細に記述があるのに、後半解決に至る部分で駆け足になっている感があるのは、ちと残念。しかし古書に囚われてしまった人々の執念怨念は凄まじいですな。くわばらくわばら。

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著者プロフィール

評論家・作家。書誌学、メディア論を専門とし、評論活動を行うほか、創作も手がける。
主な著書に『紀田順一郎著作集』全八巻(三一書房)、『日記の虚実』(筑摩書房)、『古本屋探偵の事件簿』(創元推理文庫)、『蔵書一代』(松籟社)など。荒俣宏と雑誌「幻想と怪奇」(三崎書房/歳月社)を創刊、のち叢書「世界幻想文学大系」(国書刊行会)を共同編纂した。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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