死角に消えた殺人者 (創元推理文庫 M て 1-8 天藤真推理小説全集 8)
- 東京創元社 (2000年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488408084
感想・レビュー・書評
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冒頭の、関係のない4人の転落死、その事件を解決すべく結成される遺族会、そして一癖も二癖もあるいかがわしいそのメンバー、結末直前のどんでん返し、そして4人が同乗して死に至った経緯のコミカルさ、これらを取り出してみると正に天藤ワールドのエッセンスが詰まっているのだが、どこか空虚な感じが残っており、充実感がない。それは主人公令子の行動と共にストーリーが語られることにあると思うのだ。
今回の主人公は決して読者の共感を得る存在ではないだろう。勝ち気で考え方に偏りがあり、しかも厚顔無恥な所もあり、移り気が激しい。この移り気の激しい令子の行動がまた短絡的で探偵ごっこの域を出てないために、徒に時を費やしている印象が非常に強かった。
また、死んだ母親が令子の導き手として頻繁に出てくるのはどうしたことだろうか?
こういう寓話めいた構成は今までの天藤作品には全く見られなかったのに今回に限って何故このような手法を取り入れたのだろうか?作者も年を取り、ある意味、独特の死生観を持つに至ったのだろうか。これが結末にも演出として使われていたのは逆効果で、温かい余韻を持たせようという作者の魂胆が見え、私にはあざとく感じたのである。
まあたまにはこういうのもあるんでしょうな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
崖下に落下し大破した自動車の中から収容された男女四人の遺体。運転席に人気のないことから、事故ではなく殺人事件と判断されるが、この被害者四人の間の接点が見つからず、捜査は行き詰まる。
被害者の一人娘である主人公は犯人への復讐を決意し自ら調査を開始する――。
あらすじだけ書くと2時間ドラマのようになってしまうのですが(実際、前半部分は読んでる最中もちょっと2時間ドラマっぽいなと思いながら読んでました)。
派手さはないですが、次々に怪しいと思っていた同乗者達が潔白になっていった後半からの展開が、さすが天藤真って感じで面白かったです。 -
大どんでん返しに驚いた。どの作品もそうですが、人物描写が僕の好きな感じで、途中で止めることできずに一気に読んでしまった。
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シリアスな展開でありながらどこかユーモラス、と言うのがこの人の魅力だと思う。今回も良く考えればもの凄い悲惨な事件のはずなのにキャラの魅力が凄くてずっと面白いと思いながら読み進められる。主人公の令子の天真爛漫さとか直情潔癖さとかが鼻に付くんだけどそれ以外の脇役たちの魅力が高くその令子の魅力も強くなってるような気がする。しかもこの作品に使われているトリックの凄さといったら!ミステリに慣れていれば慣れているだけこのトリックには騙されるのではないか。二転三転する真相解明の場面、サスペンスフルな展開、どれもこれも本当にすばらしい。
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傑作、秀作を次々発表した天藤真の創元推理文庫シリーズ8冊目。
今までの素晴らしい作品群が嘘のようなひどい出来です。 -
3+
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雨の中、崖の下に転落した車。
乗客の一人であった母の乗るこの車が事故ではなく謀殺であると知らされた娘は、事件の真相を解くために奔走する!!