大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 161
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488408091

感想・レビュー・書評

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  • ★★★
    膨大な紀州の山々を所有する日本有数の大富豪、柳川家の女主人は齢82歳にして未だ矍鑠たるとし子刀自。
    身長140センチにも満たない可愛らしいおばあさんだが、所有する土地財産の目録はすべて頭に入り、一度会った人合った出来事は忘れず、常に公平で慈善事業を行い、彼女を知る人たちからは生神のように慕われている。

    そんなとし子刀自を狙う仮面の三人の若者。刑務所で知り合った彼らは、出所後の再出発の為にとし子刀自を誘拐し手身代金を得よう、地道な努力を重ねていた。

    山歩きのとし子刀自の前に飛び出す三人。
    そこから日本のみならず世界の注目する大誘拐の数日間が幕を開ける。
    ★★★

    愉快痛快無心で楽しめるミステリー。
    解説にもありますが、まさにとし子おばあちゃんがいてこそ作り上げられた展開、トリック。
    前科付きでありながら一本筋の通った純朴な誘拐犯たちの主導権を握ってしまうとし子刀自。獅子の風格と、狐の抜け目なさと、それにパンダの親しさを兼ね揃えた人格者による世界大注目の大活劇となったらわくわくドキドキです。
    悪い結末には絶対ならないなあという安心感を持ちながら読めるミステリーもいいですね。

  •  刑務所から出所した三人組は社会復帰の元手を稼ぐため企てたのは誘拐だった。ターゲットは紀州随一の大富豪の当主柳川とし子。そして破天荒な誘拐劇が幕を開ける!

     誘拐や劇場型犯罪の作品は犯人側と警察側の心理戦や頭脳戦、刻一刻と変わる状況などもあってシリアスで息詰まる展開のものが多いイメージがあるのですが、この作品はいい意味でユーモラスで息詰まるというよりも、この後どうするの? っていうワクワク感があります。

     その理由は悪人になりきれない犯人たちの性格やキャラクターというのもあると思いますが、何よりも大きいのはとし子の存在だと思います。彼女の言動や口調というものがどっしりとしていながら、でも茶目っ気たっぷりでそういう可愛らしさが大きいのかな、と思います。

     また作品中の登場人物は基本関西弁なのですが、それも大きいと思います。関西弁って怖い、って言われることもありますが、これを読んでるとほっこりとしますね。

     キャラクターも魅力的ですが、誘拐事件自体の展開も非常にド派手! テレビに中継をさせたり、ヘリを飛ばせたりと本来水面下で進むはずの誘拐が非常にド派手に描かれます。それでいて計画の細部はしっかりと練られているのもすごい! 大胆さと繊細さを兼ね備えた完全犯罪計画やそれが進行していく様子は読んでいて楽しかったです。

     それも伏線だったのか、っていうことも最後に明かしてくれて、非常に評価の高い作品ですが、評価が高いだけあって面白かったです。やっぱり古典の有名どころは押さえておくべきだなあ、と改めて思いました。

    第32回日本推理作家協会賞

  • 5 

    テクノロジーが進んだ現在でも、今もって色あせない最高のエンターテインメント小説のひとつ。与えられるに相応しい賛辞の数々は巻末の解説に譲る。付け加えるならば、本作は、犯人側と捜査・家族側の視点が入れ替わりながら描かれるが、その切り替えが極めて絶妙であること。世間の評価がどんなに高くても、自分にとって必ずしも面白いとは限らないが、本作は後世まで愛され続けるだろう名作だと確信してやまない。

  • 文藝春秋の「東西ミステリーベスト100」で
    はじめて本書を知ったのですが
    今まで知らないでいた事が恥ずかしくなる
    くらいの傑作でした。

    誘拐もののミステリーは、自分では結構読んでいるつもりで
    岡嶋二人の『99%の誘拐』がベストだと思っていたのですが
    見事に覆されました。

  • 天藤真推理小説全集の「大誘拐」です。

    これ映画になりましたよね。
    観ていませんが話題になってたのは何となく覚えています。

    文庫本で読みました。
    とっても面白かったです。
    笑ってしまう面白さです。
    犯人のキャラクターも、ほんと憎めなくて何よりおばぁちゃんお見事でした。
    読み終わったら爽快な気分になるお話です。
    推理小説全集・・というからには17集もありまして。
    でもこの本とても面白かったので他のも是非読んでみたいと思います。

  • 大富豪柳川とし子刀自を誘拐した。犯人の提示した身代金が低すぎる、と刀自が意義を唱え…。


    滑稽とも思えるスケールの大きさと、緻密な犯行の対比にドキドキが止まらない。
    警察、マスコミ、国と次第に大きくなる反響に巻き込まれていった。

    冷静沈着で肝が据わっている刀自にすっかり魅入られてしまい、
    この人に仕えたい、という気持ちになった。
    その記憶力、思慮深さ、正確な計算などが見事だ。
    サマーウォーズの栄ばあちゃんと並んで、大好きなばあちゃんになった。

    そして他の登場人物たちも負けていない。
    犯人たち、和歌山県警本部長井狩、刀自の息子たち。
    するべきことを全力で行う姿勢は読んでいて気持ちがいい。

    さあ大誘拐の結末や如何に。

  • おばあちゃんが最高でした。トリックやアイデアはもちろんだけど、このおばあちゃんを生み出した作者に感服。微笑ましいラストも素敵でした。

  • 10年弱ぶりに再読。結末を知っていても大いに楽しめた。誘拐されたおばあちゃんを始め、犯人の3人組、それを追う本部長、魅力的な登場人物が繰り広げる大胆な誘拐劇にワクワクしっぱなしであった。

  • 評判どおりの一冊。刀自の魅力満載。

  • とにかく楽しい。個性的なキャラが生き生きとして動き回り、そのたびに事件が大きくなっていく。記憶の中に僅かにある和歌山の風景がドンドン膨らんでいく。映画化も納得の、とてもビジュアル的な小説だった。

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