空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 498
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413019

感想・レビュー・書評

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  • 読み始め…16.5.20
    読み終わり…16.5.23

    女子大生の私と、落語家円紫師匠の名コンビが人の死なない日常ミステリの謎を解き明かす「円紫さんと私」シリーズの第一作目「空飛ぶ馬」

    私は古本屋さん廻りが大好きな読書家で落語好き。なかでも円紫さんのファンという私は、ひょんなことから円紫さんと対面する機会に恵まれ以後知り合いとなり、私の出来わした日常のどこにでもありがちななにげない謎が、円紫さんの冴えた頭脳でみごとに解き明かされていくというほのぼのミステリ。。

    主人公の女子大生、私の趣味としている古書と落語がとにかくたくさん登場します。ことに落語は私の趣味でありながら、もう一人の主人公である円紫さんのお仕事でもありますからそりゃぁもう...。。

    落語には今までそれほど興味はありませんでした。ですけどこれもまたひとつの出会い。幸いにも登場するのが古典落語なら伝統的なもの。さすれば検索検索っとググってみれば、容易く動画でお噺を聴くことができました。

    「織部の霊」
    円紫さんはマジシャン??まるで手品の種明かしを見せられているようなみごとな謎解き。
    古典落語《夢の酒》円紫さんの解説があったおかげかとてもわかりやすくて、はじめてちゃんと聴いた落語にすんなりと大笑い♪

    「砂糖合戦」
    人間ウオッチングが招いた謎でした。こんな悪戯ありそでなさそな、なさそでありそう?
    古典落語《強情灸》こちらも単純でわかりやすくて笑えまました♪

    「胡桃の中の鳥」
    この謎だけはあまりにもすんなり解いてしまった円紫さんにえ~~っ!と疑念の一声。円紫さんはやっぱりマジシャンじゃないのかしら....
    古典落語《五人廻し》ひとつ前に読んだ本が遊郭のことだったから興味津々。専門用語にもほうほうとうなずけて、やっぱり読むということは読めば読んだだけの価値があるものだなぁとつくづくしつつ大笑い♪

    「赤頭巾」「空飛ぶ馬」
    こちらはブラックユーモアからのほのぼのおとぎ話。
    古典落語《一眼国》ミイラ取りがミイラになっちゃった~というお噺でした。(文中解説あり)

  • 面白かったけど、ちょっと文章が…
    後半の2編はあまり違和感なく読めました。

  • 初北村。日常の謎と言われるものを初めて読みました(^^ 主人公の女子大生わたしと落語家の春桜亭円紫師匠との掛け合いが心地よいカンジで心温まりました!いつものミステリにちょっと飽きたら、こういうのを挟むと良いかも...(^^*

  • 最初からクセのある内容が続き、取っ付きにくい印象を持ったが、私の好きな落語の「鼠穴」が出てきてから俄然興味が湧いてきた。

    次回作も挑戦したい。

  • およそ十年ぶりの再読。北村薫さんのデビュー作にして円紫師匠シリーズの第1作。
    文学的、知的好奇心、向上心を刺激される。同時に自分のあまりにもの知識のなさ、今までの不勉強を痛感させられる。
    感情表現も情景表現も豊かというか巧みというか、読むことが楽しく感じられる。

  • 最初の出版が1989年ということだから、もう四半世紀前ということになる。
    ちょっと昔の、女子大生が『私』だ。
    おっとりしていて、インテリで、たくさん本を読み、神田の古書店も覗き、いい子だ。
    いっしょに女子大生を満喫するのも楽しい。

    殺人事件が起こるミステリではなく、『私』がふと疑問をいだく日常の謎を、噺家の『円紫』さんが説き明かしてくれる。
    その謎解きによって、『私』は、物事の考え方や、人間というものの嫌なところや良いところを学んで成長しているような気がする。
    『織部の霊』
    …割腹に見えた謎がイマイチわからなかった…
    私と円紫さんの出会い
    『砂糖合戦』
    マクベスの3人の魔女
    お砂糖の謎は、最近出た本に同じような手口があったなあ…
    この話を知らなかったのかな?
    『胡桃の中の鳥』
    幼児には母親が全て
    『赤頭巾』
    本当は怖いグリム童話…的な
    『空飛ぶ馬』
    ホッとするお話で落ち着いた
    地元に一生懸命貢献する2代目オーナーは、うちの近所にもいます。
    良いお話。

  • 一度は通り過ぎてしまうけれど、うん?ちょっと待てよ…と振り返ってしまうような、ささやかな日常のミステリー。
    人間の悪意を見せつけられた謎の後に優しい謎。
    同じ町が舞台のミステリー。『赤頭巾』から『空飛ぶ馬』への流れが心地いい。
    それと落語。興味が湧いた。

  • 「太宰治の辞書」から一気に遡る旅もとうとう終わり。そうスタートに舞い戻ったのだ。
    初読の時には印象のイマイチだった「織部の霊」「砂糖合戦」「赤頭巾」だったけれど、それもこれも円紫さんと『私』の仲をより近いものにしてくれていると考えれば必要悪であるのだ。振り返ると後味の悪い逸話もあったが、最後の最後に(本当の読み方では最初の最後に)この表題作「空飛ぶ馬」を読めたのは無上の喜びといえる。このシリーズはこれからも大事な宝物になる本なのだ。

  • ものすごく久しぶりにしっかりと丁寧に書かれた小説を読んだ。
    文字が作る情景、自分を見出せない恋に恋する主人公。
    ミステリとしてはどうか?
    日常に潜む、という前提にこだわり過ぎた感あり。
    でもまた読もう、至福の読書のひとときよ。

  • 辻原登さんの「熱い読書 冷たい読書」で「夜の蝉」の評を読む。理に落ちず、韜晦せず、情味に欠けず、あきさせない、とあり、一つのシーンをはっと息をのむほどの美しさと紹介している。

    本屋で平積みされていたのは、よく見ていたが、表紙のチョット可愛い、でも普通っぽい女の娘に気後れして手にしたことがなかった。女の子の考えていることなんてオジサンには判らないと苦手意識が働いたワケ。
    落語家の謎解きものと知り、なにより辻原さんが会話文章の素晴らしさを褒めるのだからと買い求める。

    旅行の宿で友人とじゃれ合って、ちょと涙ぐむあたりとか、「口紅の引き方ぐらい、姉さんに習っといた方がいいぞ」という父の心の嘘を読み、彼女もまた≪意志≫を心の中で語るあたり。僕が知らない女の子の感情に触れるよう。北村薫さんって女性だったっけと、本当に不思議に思った。

    授業をサボったり、語学の授業についていけなかったり、主人公は普通の学生らしいところもあるが、読書量が凄い。ブクロブにいたらフォローさせて戴きたいぐらい。円紫さんや大学の先生、喫茶店のマスターのオジサン達も彼女のファンになったようだ。品のいい子なんだろう。作中の記述が表紙のイラストの造形に繋がっていくような印象。イラストは高野文子さん。

    日常の謎を落語家、円紫さんが解き明かす処が主題。そのやり取りも彼女の成長の糧に繋がっていくのだろう。この後も読み続けようと思う。

    円紫さんの顔のイメージが思い浮かばない。お内裏様のようなとあるけれど、髪型とか書いてなかったような。
    タイトルや表紙イラストがもっと内容をわからせるものだったら、早くに読んでいたのかな。まあ、こんなロングセラーに何をバカ言ってんだというような意見だが。高野さんに円紫さんを描いてもらってたら良かったんじゃないかな。勿論、読み終えた今となっては、何の文句もございません。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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