空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 3697
レビュー : 498
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413019

感想・レビュー・書評

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  • 織部の霊
    砂糖合戦
    胡桃の中の鳥
    赤頭巾
    空飛ぶ馬
    の五編。
    日常にあふれる謎。少年が見た悪夢。終始無言の甘いもの我慢大会。決まった時間に現れる赤頭巾ちゃん。消えた木馬。……
    赤頭巾は特にオススメ。謎ー解明ーめでたしめでたし?ー辛い世の中!

    落語がよく出てくるので、いい機会だと聴いてみた。かなり面白いです。同じ噺でも、語り手が違うと全く違った印象になります!
    談志さんの『鼠穴』を一度聴いて下さい。泣きそうになりました。気が付くとグイッと画面に食い入ってる自分に驚きです。
    つまらない、古そう、言葉分かるか不安、どうせお堅い噺なんでしょ?
    と ん で も な い ‼︎
    新しい発見ができて、ワクワクする本でした。

  •  女子大生の私と落語家の円紫さんが日常の不思議な謎に挑む短編集。

     いわゆる日常の謎系統のミステリーのパイオニア的な作品でもあります。そういう意味ではミステリーとして一読の価値ありです。ただ最近では日常の謎系のミステリーは数多くあるので、今読むと動機やロジックといったあたりで目新しさはないかもしれないです。

     個人的にこの本で印象的だったのは、そうした日常の謎から浮かび上がる様々な人の顔です。新本格が叩かれていた時代、殺人という日常からは遠い世界の謎から浮かび上がる人の顔というものは、確かに現実世界では浮かび上がりにくいものだったかもしれませんが、日常の謎から浮かび上がってくる人の顔というものは、その顔がいい人の顔であっても、悪い人の顔であっても、身近に感じられるものだったと思います。そうしたものを取り上げたことがこの本のパイオニアたるゆえんなのだと思います。
    現にこの作品にでてくる悪い顔というものはなんとなく分かってしまうとても身近なものです。

     そうであってもその話たちにあまり後味の悪さを感じさせないのは、私と円紫さんの暖かさのおかげであり、作者の北村薫さんの優しさの表れのおかげでしょう。以前宮部みゆきさんの『木暮写眞館』を読んだ時も思ったのですが、悪意を描きつつも、人の優しさを信じていることが読み取れるような気がします。

     その表れだと感じるのが最終話の表題作『空飛ぶ馬』。それまでの短編が悪意を描いたり、背景がシリアスだったりしたのですが、それらをすべて包み込むくらいの優しい短編でした。北村さんは絶対「人」というものが好きなのだと思います!

     「紅茶に砂糖を何杯も入れ続ける喫茶店の女の子の謎」「一日だけ消えた木馬の謎」という題材の良さだけでなく、私と円紫さん、大学の教授や友人との会話ややり取りをしっかりと織り込み、彼らの日常もしっかりと描き切って読ませるようになっていることも、ここから始まる日常の謎ミステリの歴史の上では大きかったように思います。

    1989年版このミステリーがすごい!2位
    このミステリーがすごい!ベストオブベスト7位

  • 「空飛ぶ馬」北村薫◆女子大生〈私〉の日常に潜む謎の数々。彼女の話から噺家・円紫師匠の推理が導き出すのは人間の心の光と闇。久々に日常系ミステリーを読みました。犯罪すれすれのお話もありますが、犯人を捕まえることよりも「なぜ」を考えるところに主人公たちの、人を見る目の温かさを感じます。

  • つらいものはつらい。仕方がない。あうあわないはどうしても発生する。それが、好きな作者で人気がある話としてもだ。

    どうでもいいと思われる日常的な話がつらつらつらと記述されていてどうしても目が滑っていく。内容が頭の中に入っていかない。面白みが感じられない。それは時代的なものも影響しているのかもしれないが、どうしても主人公である私に共感することができなくて愉しむことができない。

    ミステリーと思わずに読むことができればそれはそれで愉しいのかもしれないが、頭の中で期待するような事件を求めてしまい、提示されるまで時間がかかることから疲弊してしまう。

    さらに、古典文学や落語への造詣を要求されるから、さらに厳しい。一つずつ追いかけていけばいいのかもしれないが、さすがにそこまでの思い入れを抱くことはできない。

    そんなわけで個人的な評価はこれ。ファンの方申し訳ない。

  • スキップ以来の北村薫さんの小説。
    こちらが、著者のデビュー作品だったんですね。

    主人公の女子大生と探偵役の噺家の円紫師匠コンビの物語。
    全部で、五つのお話が収録されています。
    どの話も、大事件と言うものはなく、軽いミステリータッチの作風がほとんどでした。全体的にきれいな文書で読みやすいと思いました。登場人物たちが分かりやすい性格と言うのも一つの理由だと思います。円紫さんはいたずら好きのおじさまで、正ちゃんは、負けず嫌いといった具合でしょうか。

    作品の中では砂糖合戦が楽しかったですね。

    しかし、話を聞いただけで、事件の全貌が分かると言うのは最近だと謎解きはディナーの後でが一番新しいのかな。

    シリーズ化されているようなので、引き続き読みたいと思います。

  • ほのぼのとした感じもあり、よかったです。作者が男性だと途中から思いました...

  • 貧乏大学生をやっていたころ、仕送りが入金されると、喜んで河原町の駸々堂まで自転車を走らせた。
    『我らが隣人の犯罪』でデビューした宮部みゆきさんの長編『パーフェクト・ブルー』は、金欠ゆえにすぐには読めなかった。その日、「ようやく買える!」と思ってでかけた店に、宮部さんの本と並んで平積みになっていたのが『空飛ぶ馬』だった。そして、財布に余裕があったことから、ついついこの本も買ってしまった。
    おいしいものは最後に食べる性格のわたしは、その晩、まず『空飛ぶ馬』から読み始めた。そして、夢中になった。こっちがメイン・ディッシュだったのか。
    読み終えてすぐにもう一度最初から読み返して、気づいたら夜が明けていた。

  • これがデビュー作とは知らなかった。
    いわゆる日常の謎なんだけど、案外重たい謎が多い。

  • 日常の謎,という大上段のミステリィ題材を確立した作品なのだが,本書ではまだ主人公達が立ちきっていない印象.シリーズを通して,“私”の人としての成長を追えることを望む.

  • 今の私には、新鮮には感じられないが、日常の謎の元祖として読んでよかった。自分に落語の知識があれば、もっと楽しめたかも。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『ヴェネツィア便り』『小萩のかんざし いとま申して3』『中野のお父さんは謎を解くか』など。

「2019年 『遠い唇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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