秋の花 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.70
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本棚登録 : 2004
レビュー : 208
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413033

感想・レビュー・書評

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  • 円紫さんシリーズで初めて人が死ぬお話。
    これまでは日常の何気ない謎を円紫さんが解くというほのぼのしたものが
    多かった(たまにヒヤリとする話もあったが・・・)ので、新鮮な感じ。

    私達は今を生きているけれど突然それが終わってしまったり、
    身近な誰かがいなくなってしまったりすることは別に特別なことではない。
    運命の悪意というのはどこにでもあるのだと思わせられた。

    円紫さんの登場が物語りの本当に最後の方だったので、まだかまだかと
    待ち焦がれたが、円紫さんが出てきたときの安心感はすごい。
    強烈なキャラというわけではないが、すごく魅力的な人で、自分の周りに
    こういう人がいてくれたらなぁと主人公が羨ましくなる。。

  • 6月8日読了。「このミステリーがすごい!」1992年度の第12位の作品。女子大生の「私」が直面する日常の謎を落語家・円紫が解決するお馴染みのシリーズ第3弾。文化祭の前に墜落死した女子高生、放心状態のその友人を救うべく奔走する先輩の「私」が、命のはかなさなどについて思いを巡らす・・・。起きてしまったことへの葛藤と、葛藤する人を見守るしかない周囲の歯がゆさ、被害者となってしまった遺族のやり切れなさなど。また仲の良い友人たちとダベるうちに、何気に鋭い人間観察・人生観に触れて鼻白んだり、自分の未熟さに身もだえしたり。「謎」「犯人」はまことに他愛ないものではあるが、丁寧に描かれた、人々へのやさしい視点がなんとも心に残る・・・。「事件」を解決してからの方が、本当に大変なんだよな、現実世界も。

  • あまりにも凄くてびっくりした。
    北村薫の力を見せつけられた作品。

  • 秋海棠。断腸花。腸を絶つ苦しみ、断腸の思い。
    人を思ってなく涙が落ち、そこから生えた。

    主人公「私」の成長を見守れる喜び。

  • ○2010/03/20 
    本の雰囲気としては、人も死んでるし重いものではあるんだけど。楽しい。読んでる時間が楽しかった。
    ふと思い返してみると冗長な気もしてしまうけど、読んでるといろんな表現がちりばめてあってそんなこと感じない。ふとしたところにハッとするようなフレーズとか日常の何でもないようだけど少しハッとする出来事なんかがあったりして全く飽きない。
    前二作と違って短編を集めたわけでなく、初めてのしっかり形をとった長編だったけど(そういえばわたしには北村さんの長編自体が初だ)、違和感も何もなく自然に構成してある。円紫さんの影が薄いかなとも思うが、その分”女子”を意識した部分もけっこう多かった。
    すごいなと純粋に。人死にのけっこうヘビーなテーマだけど、これが一番好きかもなあ。

  • (ネタバレ)
    秋の花。秋海棠。
    田山花袋はこの花から自分の家を断腸亭と呼んだ。
    秋海棠の美しさは「断腸の思い。腸を断つほど苦しみ」そこから「人を思って泣く、涙が落ちて、咲いた」という美しいエピソードで締められる。
    恐ろしく上手な作品。この作品を円紫(作者北村氏?)は「御神酒徳利」だという。もともと対だったモノが一つになってしまった奇妙さ。不安。いや正しくは一つになったのではなく、一つにしてしまったと気づいた時の気まずさ、これをあるものは「神の見えざる手」と呼び、あるものは占に答えを求める。
    だけど、許してもらうとか物事がはっきりするには、現実の『救おう』とする優しさしかないという。
    残酷でまっすぐなもの語り。
    この残酷さや一途さは「ひばり」同じ。スゴイな北村薫。

  • とても仲の良い幼馴染の真理子と利恵。ところが文化祭の準備中、真理子が屋上から飛び降りて亡くなってしまい――抜け殻のようになってしまった利恵と、二人の先輩であり、利恵を心配する「私」。靄に包まれたように明らかにならないこの事件、円紫師匠を頼ってみるが、過酷な真相が待ちうけていた。

    今までの日常ミステリとは違って、より一層推理小説感が増しています。誰かが亡くなっているということも考えれば、前作よりもずっと作品を包む雰囲気は辛くて重いです。未来に突然暗幕を引かれた彼女と、引いてしまい、独り重い罰に身を沈める彼女。彼女が「私」に話す、その事件以前の無邪気な自分を苦しく思うシーンで、私にも覚えがある所為でかなり辛かったしまた泣きたくなりました。
    さっき読み終えたばかりですが、彼女を「許す」ことは出来なくても、「救う」ことが出来れば、いや救わなければ、どうか笑えるようになってほしい、そう感じます。

    それにしても「私」の博覧強記は何とかならんもんか……ある意味むかつくところもあるぞ。私は海外文学はちっとも読んでないので、張り合うつもりもないですがw しかし「八犬伝の世界」まで読んでんのか……勿論八犬伝は原文で読んでるんですね? とか言いたくなったビキビキ

  • 読み終えた瞬間、空っぽになっていた自分の中に洪水みたいな量の感情が溢れかえって泣きそうになりました。救うことは出来る。

  • 円紫さんシリーズ第3弾。

    悲しい話です。

    今までも人間の醜い部分に
    あまりにもさらっと触れてあるのが
    逆にふっと悲しみを誘ったりしましたが・・・

    今回はドストレートに悲しいお話です。

    そして、親の偉大さが身に染みる話。
    いざという時にどういうふうに振る舞うかで
    救われる若い魂があるのだと知りました。

  • 円紫さんシリーズ3作目。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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