秋の花 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 2004
レビュー : 209
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413033

感想・レビュー・書評

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  • 初の長篇にして「日常の謎」からの卒業作。
    初出当時は重くてあまり好きではなかったけれど、今はこれも「わたし」に必要な一作だったと思える。

  • 絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死―親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった…。

  • これこそ北村薫の真骨頂か。胸が締め付けられるような思いになる。最後にしか出てこなかったが、円紫さんの判断は本当に素晴らしい。

  • 正直なところ、昔読んだときは他の話と比べてあまり好きではなかった、そのあまりの重さゆえに。
    今になってしっくるくるのは、少し大人になったということなのかもしれない。

  • 最後の最後に円紫さん登場。ほんとに、かみさまみたいな人だ。
    河川敷に降りる天使の梯子と、手を差し伸べる円紫さんと、見つめる私。死んだ子の母親が生きている子を脱がしていく。そして最後の台詞が…これで締めるか!という…。断腸の救い。
    私の文学論も、彼女たちの言葉も思い出も、ラストへの導きなんだなあ。

  • 学園祭前夜に起こってしまった悲劇。
    双子のようにいつも一緒にいた一人が転落死してしまったら、残された者は...。私が一生懸命に添いながらも、悲劇の原因を探ぐり始める。
    残された友人、残された母親...残されたものたちの想いにも触れながら、事件を探り、円紫さんと真相にたどり着く先で、「私」自身が、生と死に向き合い苦悶することで、成長していく姿がとても愛しく思えました。

  • 二冊目が姉をテーマにしたもの、であればこれは母がテーマのようだ。文化祭ー目前にさて屋上から一人の女子高生が転落した。果たして事故なのか?自殺なのか?それとも…
    いつもながら円紫さんの推理には脱帽。切なすぎる結末は衝撃的でもあった。

  • 解説もすばらしい。主人公たちの会話に出てくる『野菊の墓』にそんな意味があるとは考えもしなかった。
    こうしたミステリーは謎を追うのに急ぐあまり、こういったディテールに隠された作者の想いに気づきにくい。”作者は無駄なことは書かない”ということをもっと気にかけて読まなければ。

  • シリーズ3冊目。再読。長編1篇収録。ここまで読んできて、テーマが明確な2冊目「姉」と3冊目「母(親)」だと思いました。どちらも好きですが、私の琴線に触れる言葉や場面の多かったのはこちら。謎自体は、非常に辛いものですが、だからこその「母(親)」なのかもしれません。
    2冊目にある何気ない布石が、繋がり、話が始まります。津田さんの母親の素晴らしさが、この本の一番の魅力だと思います。出てくる場面は少ないですし、それほど話す言葉が出てくるわけでもありませんが、彼女の強さ、優しさ、清廉さがなければこの話は、成り立たないだろうし救われないだろうと思いました。円紫さんも、謎解きが始まった当たりから、親の立場で大切なことを沢山伝えようとしており(作者の言葉なんでしょうけれど)それも、とても好きです。ですが、一つだけ、同意できないところがありました。「もろさ」は、肯定と同時に否定してほしかったです(p.244のくだり)。続きの「生きた」ことがどう残るのかのところは、好きです。)

    少し、好きなところ、気になった所を書き出します。
    p.139-140。正ちゃんによる展開。特に「馬鹿だなあ。本当に悪い奴が相手だったら、動けなくなったらおしまいだよ」の科白のところ。「私」のそれに対する考え「・・・芥子粒ほどの救いもない・・・」のところも。一箇所には絞れませんが、この会話の展開が、宮部みゆき氏の話の一場面を思い出させます。車にはねられた女性の話のところです。

    p.182。葛飾の娘、手児奈。無学な私は、葛飾が地名と知りませんでした。「手児奈=下総国勝鹿(葛飾)の真間(現在の千葉県市川市)に奈良時代以前に住んでいたとされる女性の名前。(Wikiより)」だそうです。

    p.193。ムクロジ。ソープナッツ(soapnut)。無患子(むくろじ)の実の中の黒い種は、「羽根突きの羽根」の先の黒い玉に使われるそうです。

    p.193。ヨウシュヤマゴボウ。別名、アメリカヤマゴボウ。American Pokeweed (Phytolacca americana)。納得。よく見かけるはずです。

    p.221。人は生まれるところを選ぶことは出来ない。・・・どのような人間として生まれるかも選べない。気が付いた時には否応無しに存在する《自分》というものを育てるのは、ある時からは自分自身であろう。それは大きな、不安な仕事である。

    p.223。面長の顔の形は・・・。どれを与えるかを選ぶことは出来ないが、親は子に、さまざまなものを伝える。・・・・四十を越した時、津田さんの顔に現れる筈のものだったのかもしれない。

    p(251からの流れを受けて)255-p.256。「・・・しかし、僕だったら、・・・《許す》ことは出来そうにありません。ただ-」「救うことは出来る。そして、救わねばならないと、思います。・・・」

    p.256。「-眠りました」

  • 円紫さんと私シリーズ

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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