六の宮の姫君 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 239
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413040

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫の円紫さんと私シリーズの四作目に当たるこの作品。

    ミステリーとしては、異色の書誌学ミステリー。
    その内容は出版社でバイトをしている主人公が生きた芥川龍之介にあった異なる大作家から芥川が自身の作品「六の宮の姫君」について放った「あれは玉突きだね。・・・いや、というよりはキャッチボールだ」という一言の理由を探る。

    北村薫自身の早稲田大学在学時の卒業論文をもとにして作られたこの作品。小説というよりはほとんど論文ですが、芥川と彼の周りの人々の関わりを掘り下げながら進むこの作品を読んでいれば当時の文豪たちに思いを馳せずにはいられません。文豪たちが自身の意見をぶつけ合い、高め合ったこんな時代があったのです。



    主人公が余りにも優秀な文学少女なので辟易する人もいますが、文学部に在籍している学生などは一度は読むべき作品だと思います。

  • 作者自身のお蔵入りした卒論が基になっているという本作。読みながら何度も涙してしまった。芥川龍之介、菊池寛という文学史上の大御所が一人の人間として立ち上ってくるのがとても心地よかった。結びに引用された、菊池が芥川に送った結婚を祝う手紙の悲しい輝きは、まさに光の矢。

  • 北村薫の私と円紫さんシリーズ、実はそんなに得意ではない。
    私があんまり優等生すぎるのと、友人との会話が時代がかってるのと、円紫さんがまどろっこしいのと。だって、謎解けてるんだったら、さっさと謎解いてよ!と思うのだもの。

    なので、この六の宮の姫君、以前に友人から薦められたときには、途中まで読んでやめてしまった。でも、別の友人に薦められて、じゃ、読んでみるかねーと最初は乗り気でなく、読み始めたのだけど、芥川の文学論や、芥川と菊池寛の友人関係について描かれていて、ぐいぐい引き込まれるようにして読んだ。
    正直、それ以外の部分はいらないくらいと思うほど。
    実際、北村薫の早稲田時代の卒論がそのテーマだったらしい。読んでみたいな。菊池寛も全然読んだことがなかったのだが、読みたくなってしまった。

    しかし、レビューを読むと、みなさん、どっちかというと私や円紫さんファンで、文学論はいらないのね・・・そうか・・・

  • 芥川龍之介の「六の宮の姫君」という作品についての発言《あれは玉突きだね。……いや、というよりはキャッチボールだ》を解明すべく色々当たる主人公の調べた流れというか、作者の調べた流れを反映させたものというのが鼻についてあれなんだが、だんだんその芥川と菊池の関係に引き込まれていってしまいました萌えたところ引用しておきます。腐女子でさーせん。
    芥川にほんの少しでも嵌った経験があると、どうしても芥川の人物像に興味を持ってしまう時期ってあると思うのですが、それがあれば楽しめるかな? そういう少しマニアックなお話。

  • 読みながら、芥川って人は、
    ホントに生きにくい人だったのだなぁと
    個人的感想をもつ。
    時代が違っていれば、なんていう言葉もあるけれど、
    きっと、どの時代に生まれても、生きにくい人だったように思う。
    それを、作品にしたような人だ。

    にしても、やはり「私」は良い女子大生だ。
    これは、親も鼻が高いだろう。

  • 本題の謎解きにはそれほど興味がわきませんでしたが、主人公と正ちゃんの会話、主人公と円紫さんの会話、が心地よくて楽しく読みました。

    今どき、芥川や菊池の作品について熱く語らせる女の子を設定するとは、何とも不思議な作者です。
    語り口が心地よい作品です。

  • 春桜亭円紫もの。芥川龍之介の小説「六の宮の姫君」に隠された謎に迫る物語。円紫さんものなので推理小説としての謎は日常の謎なわけですが、今回はちょっと違って、芥川の小説の謎について迫るもの。なんか作者の卒論だったとかでなかったとか。なんというか、内容は芥川―菊池寛の関係等になり、かなり文学的な作品だったと思います。純文学等に通じていない私が読んでしまうと、結局のところ物語はわかるのだけれど、へえそうなんだ、レベルで終わってしまうのが惜しい。根っからの推理小説ファンで、国文を読んだことがない人にはちょっとオススメできないかな。

  •  北村薫。
     私はこの人の硬質な文体に、暫く男と信じて疑わなかった。女性作家特有の「女らしさ」の描写も無ければ、それをわざと省こうとする様子もない。
     だから女性と知った時には本当に驚いた。
     こんな論文みたいな文章を書ける作家がまだ日本にいるんだって気付かされて。それも寡作ではない人なのに。
     ただこの人は、凄く勧める人を選ぶ。
     この本は特にそうだけど、文芸史の知識や興味がないと絶望的になるほど、絶対に面白くない。
     言い切れる。
     芥川と菊池寛、谷崎や佐藤春夫なんかの文壇の人間関係を知っているとこれがムチャクチャ面白い。
     私はこのシリーズを何度も読み返しているが、少なくとも周りに「読めば?」という気にはなれないタイプである。
     芥川の残した『この作品はキャッチボールのようだ』という言葉を頼りに、文壇史と彼の想いを追いかけて行く主人公。
     ≪私の英雄(ヒーロー)≫
     そんな風に思える人間に逢い得たら、どんなにか幸せだろうか。

  • 円紫さんとわたしシリーズでは一番好きです。文学卒論を推理小説の
    世界に引っ張り込んだ異色の傑作です。作中に出てくる様々な日本の
    作家たちを追ってみたくなること間違いなし。

  • 一部で有名な卒論小説。こんな内容でミステリーにまとめられるのはさすが。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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