孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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  • レビュー :282
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488414023

作品紹介・あらすじ

紅一点会員のマリアが提供した"余りに推理研的な"夏休み-旅費稼ぎのバイトに憂き身をやつし、江神部長以下三名、宝捜しパズルに挑むべく赴いた南海の孤島。バカンスに集う男女、わけありの三年前、連絡船の再来は五日後。第一夜は平穏裏に更けるが、折しも嵐の第二夜、漠とした不安感は唐突に痛ましい現実へと形を変える。晨星落々、青空に陽光が戻っても心は晴れない…。

感想・レビュー・書評

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  • 大学の長い長い夏休みに仲間と南の島で宝捜し。
    これって新婚旅行で世界一周したり、ロケットで宇宙旅行に出かけるよりも魅力的だと思うのは私だけだろうか。
    しかも宝物は島に点在する25体のモアイ像のパズルを解かないと見つからない。
    モアイ像!?しかも木製!いやぁ、ワクワクする!!
    しかもしかも、江神部長が一緒なんだから、ダイヤモンドは手に入れたも同然ね☆
    モチさんと信長さんが不参加なのだけが残念‥。
    なんて、異常なテンションで読み始めて、さらに異様なテンションで読み終えた。

    異様なテンションになった理由は、もちろん宝捜しの結末と島で起きる事件の真相にドキドキしたからでもある。
    「お前には止められんかったな」と苦しそうに真相を話す江神さん。
    探偵役が推理を披露する場面としては異質かもしれない。
    静かで、罪を暴く人間も暴かれる人間も傷付き疲れ果てている。
    『月光ゲーム』も似た感覚があった。
    江神さんの話に耳を傾けて事件の真相の中に入っていくことに慣れたら、「犯人はあなただ」と指差す探偵役が軽薄に見えるようになるだろう。
    江神さんの語る真相しか信じられなくなるのではないかという気がする。

    学生アリスシリーズを読むのはまだ2冊目だけど、すっかり江神さんにハートを射抜かれてしまったみたい。
    そんな江神さんが私の今の異様なテンションの1番の理由。
    解説(改め“江神さんへのファンレター”)に江神さんの秘密が書かれていたのだ。
    解説で次作の話が出てくるなんて…。しかもものすごく気になる書き方…。
    これは『双頭の悪魔』を読まなくちゃ‥!
    この『孤島パズル』はなかなか見つけられなかったけれど、それより新しいのだから見つけ易いはず‥。たぶん。
    モアイ像もパズルも関係ないけど書店を回って宝捜し気分を味わうか、取り寄せてもらった方が早いか‥悩む。

  • 「学生アリス」シリーズの2作目。
    孤島を舞台としたクローズ・ド・サークルもののミステリーである。

    とても耐えられないような辛い出来事が起きたとき、何もかも忘れてしまえたりわからなくなってしまえたらどんなに楽だろうか。
    生きている限り、そのとき感じた痛みはどこまでも追いかけてきて忘れることなど出来ない。
    怨みはどれほど時間が経とうと薄れることはない。
    一方罪を犯した側の記憶は日々薄れていくだろう。
    大切なものを奪った者と奪われた者。
    相反する思いを抱きつつ生きていくしかない。

    「学生アリス」シリーズの魅力は何といっても江神の存在にある。
    冷静な判断力と深い洞察力、論理的に導き出される謎解きの答え。
    あたたかな人間性はときに犯人にさえ向けられる。
    犯人には犯人にしかわからない苦しみがあり、探偵には探偵にしかわからない苦しみがあるのだろう。
    読みやすいのにミステリーとしても十分に楽しめる物語だった。

  • 突然ですが、このシリーズの文庫本は字が小さい。
    字が小さいということは、一冊に折りたたまれている物語が濃密であるということ。
    字が小さい本を読んでいるととても満足した気持ちになります。情報量が多くてわくわくする。
    学生アリスシリーズはすべて東京創元社という出版社が刊行しているのですね。1ページあたりの文字数が多くて読みやすい。この出版社が好きになりました。
    孤島パズルは解説まで含めたら402ページある。
    小さな文字で綴られた大きな物語。
    今回もとてもとても面白かった。
    アリスは江神とともに、新たなサークル会員有馬マリアの伯父が所有する島へ出かける。そこにはパズルマニアの伯父が残したパズルがあった。島全体を使ったパズルを解くと、なんと時下数億円のダイヤモンドが手に入るという。わくわくしながら向かった島では、台風の上陸とともに、殺人事件の幕も上がることとなった…。
    今回も島という閉鎖状況での殺人事件。
    望月と織田がいない分、江神とアリス、マリアはパズルの謎と殺人事件の謎をまさに体を張って追い詰めていく。さらに江神さんが優しくてイケメンだったり、マリアとアリスがいちゃこらしていたりと大変盛りだくさんです。

    この新しい登場人物マリアが、わたしはとても好きです!
    マリアとアリスの微妙な距離感も青春という感じ。
    主人公のアリスは心中ではなかなか痛烈なことを考えていたりするのに言葉では出さない。しかしマリアはそこをあえて言葉にしたりする強さがある。ふたりは上手くお互いをカバーしあっているような気がします。いつか恋愛になるのか、双子みたいな親友になるのか分からないながら、シリーズの最後までこのコンビを見守りたいです。

    毎回ある「読者への挑戦」を受けて犯人を考えるのが楽しい。
    犯人当てれないですけどね…。

  • 本格ミステリ。こういうシンプルかつ美しいロジックを求めていたかもしれない。

    読者への挑戦は、ギリギリ真相を掠めたのが悔しい。いい塩梅なのである。手掛かりを論理的に考えれば、解ける。実に歯痒く、かつ目から鱗な、よくできた解決。

    読み返すと、作者はとても親切である。暗示があちらこちら…この大掛かりさは敬服。

    孤島のクローズドサークル、密室、青春あり、宝探しあり、盛りだくさん。
    エラリークイーン「オランダ靴の謎」が読後思いだされた。肩を並べるほどの、傑作である。

  • 誘われて訪れた孤島のどこかに、宝が眠っている。
    しかしそれを起こす前に、殺人が起きてしまった。

    3年前に死んだ従兄弟。
    この事件とそれは関係あるのか? と言われたら
    当然関係ある、と言えます。
    それが2時間ドラマ(?)のセオリーです。

    この事件の発端となった、モアイ達。
    当然のごとく、じわじわとどこまでも出てきますが
    事件よりもこちらがどうなのか、非常に気になります。
    漫画でもないですので、彼らの言葉と
    作中に出てくる図だけでが頼り。
    見えていたら、もうちょっと考えられるのに…。
    用事があってこられなかった、残り2名の気分を
    読みながら味わえる気がします。

    解答編を読みながら、分かるような分からないような。
    こういう移動パズル、あった気がします。

  • 確か有栖川作品で初めて読んだのがこの作品でした。
    孤島というザ・クローズド・サークルなロケーションに、島全体に仕掛けられた謎解き、そしてそこで起こる殺人事件の謎。有栖川作品の中でも個人的にロジックの美しさが非常に印象に残っている作品です。とある些細な(に感じる)手がかりから犯人指摘の流れが何て綺麗なんだろう。
    とてもいいミステリでもあり、青春小説でもありますね。夜のボートのシーンなど最初に読んだ学生当時からひどく憧れたものでした。ついにそんな体験は出来ずに終わりましたが・・・。

  • 学生アリスシリーズ2冊目。

    孤島に集まった人たちの中で起こる殺人事件。

    最初の、登場人物紹介のような場面で、まだ事件も起こる前から、ちょっと引っかかる人物が。

    が、謎解きの論理は別です。

    自分では解けなかったけれど、組み立てはとてもシンプルで論理的。なるほど、これが本格的謎解きものの醍醐味です。一作目より好き。

    ミステリーとしても、アリスとマリアと江神部長の三人の関係性も好き。アリスとマリアはなんだかとてもかわいいぞ。

    最初に気になっていた人がやっぱり犯人。そしたら、同じ作者の別シリーズの作中で、同じことを言ってる登場人物がいて笑えました。

  • 江神シリーズ第二弾。
    今回は孤島で台風が来て密室殺人が起きて無線が壊されてて・・・いかにもな要素てんこもりです。ミステリ好きの主人公たちが招かれてそのことに一言も言及しないのがむしろ不自然ですらある。
    で、これはこれでベタな面白さがある。変に凝りすぎたものじゃない本格が読みたくなったときにばっちりの一冊。

    しかし、銃で撃たれてから結構みんないろいろやってるのがちょっと不自然に感じました。太腿くらいならともかく・・・即死じゃないの?撃たれた経験ないんでよくわからないけども。

  • 犯人は雰囲気で目星がつくが
    論理は分かるはずもなく。
    江神さんの謎解きは分かりやすい(当たり前)
    読みやすい。面白い!
    愛に溢れた解説もよかった。
    マリアちゃんは戻ってくるのかなあ。

  • 有栖川有栖の古き良き本格ミステリを初読。富豪のプライベート島でのサマーバカンス。招待客合わせて13名のうち4名が次々と殺され、残り9名にはアリバイがなく全員容疑者。そんな状況でも、僕アリスと同級生のマリアはいいムードになったりして、キャピッと明るさも失わない。いーね。固定電話は来てなく、無線機も壊され、警察への連絡手段は週一回の船のみ。ケータイの無い時代だからこそ、アマチュア学生探偵が活躍できたのだ。しかもうれしい読者への挑戦付き。やってやろうじゃないの!
    (中略)
    やっほー。大体当たってた。ちょっと考えすぎた。タイトル通りパズル好きにオススメ

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