江神二郎の洞察 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
4.09
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本棚登録 : 398
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488414078

作品紹介・あらすじ

英都大学に入学したばかりの一九八八年四月、ある人とぶつかって落ちた一冊――中井英夫『虚無への供物』――が、僕、有栖川有栖の英都大学推理小説研究会(EMC)への入部のきっかけだった。アリス最初の事件ともいうべき「瑠璃荘事件」、著者デビュー短編「やけた線路の上の死体」、アリスと江神の大晦日の一夜を活写した「除夜を歩く」など、全九編を収録。昭和から平成へという時代の転換期を背景に、アリスの入学からマリアのEMC入部まで、個性的なEMCメンバーたちとの一年を瑞々しく描いたファン必携の短編集、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 学生アリスシリーズ初の短編集。
    名探偵・江神二郎のファンにはたまらない。
    タイトルからしてしびれるよね。
    アリスと江神部長の出会いから、マリアの入部までが時系列になっているのもありがたい。
    学生アリスシリーズはどれも長編大作なのだけど、その合間にもちゃんと推理研のみんなは学生してるんだなぁ、推理研らしい活動もしてるんだなぁ、というある種のリアリティを感じられました。

    特に好きなのは『除夜を歩く』。
    アリスと江神さんの会話がめちゃくちゃお洒落です。

    あぁ、月光ゲームから読み直したい。

  • 学生アリス、初短編集。アリスと江神部長との出会いから、マリア入部まで。順に読んでいくと自分もEMCに入部し、アリスたちと一緒に過ごしてきたかのように感じる素敵な一冊でした^^ う〜 また一作目から読みたくなってきた!!個人的に『除夜を歩く』が一番好き。

  • LINEノベルにて読了。アンソロジー所収の「船長が死んだ夜」以来、まとまった作品としては初読みの有栖川有栖作品がこの短編集というのはどうなんだろうという気もするが、LINEノベルのラインナップがこれだけなのだからしゃーない。所謂日常の謎系だが、大学在学中に書いたという実質的なデビュー短編も含まれ、学生アリスシリーズの骨子が最初から完成されていたことが判る。未読の長編について触れている箇所も少なくないので、まあそちらから読むのが本筋なんだろう。

    昭和~平成に移り変わる辺りでは笠井潔御大の『青銅の悲劇』を思い出し、「除夜を歩く」の作中作には麻耶雄嵩の「ノスタルジア」に思いを馳せてしまう偏ったミステリ読みとしては、「桜川のオフィーリア」のはっとするような美しさが逆に新鮮だった。いかに普段攻撃的なイヤミスに毒されているかが判る。

    • goya626さん
      有栖川有栖は、ときにいい短編があったりしますが、文章力がちょっと…
      有栖川有栖は、ときにいい短編があったりしますが、文章力がちょっと…
      2020/05/06
  • 江神シリーズの5作目で短編です。作品を重ねるごとに主要メンバーの人間像がくっきりとしてきて、物語に深みが増しているように思います。長編作より青春小説の味わいが強く、推理の切れ味を楽しむだけではもったいない作品です。彼らの成長をもっと読んでみたいという気になります。

  • 学生アリスの短編集。
    アリスの大学入学から月光ゲームの事件を通し、マリアがEMCに入部して、後藤パズルの事件が始まる直前までの短編集。
    「ハードロック・ラバーズ・オンリー」みたいなキレの良い短編も好きなんだけど、やっぱりシリーズの読者としては、「桜川のオフィーリア」や「四分間では短すぎる」みたいな、夏の事件で塞ぎこむ後輩への温かい先輩たちの心配りが見えるものにじんときてしまった。
    EMC、ほんとに素敵。
    「四分間では短すぎる」は、先輩3人が実に格好良くて、アリスじゃないけど「お見それしました」って感じに脱帽。すごく優しくて、これが一番好きかも。
    「除夜を歩く」の中の「あまりにもいろいろなことがあった年を、同じ体験をした先輩とともに送りたかったから。そんな気持ちを、両親ぼんやりと察してくれたようだ。という文章には本当にじんときた。登場人物たちには当然作者が多少は投影されるものだけれど、繊細なアリスと、彼への暖かく優しい眼差しが作者から生み出されていることに感動してしまう。シニカルで都会的でシュッとしてるけど、その中に若者への温かさ、人間讃歌みたいなものを感じさせてくれるから、私は有栖川作品が好きなんだよね。
    特に学生シリーズにはそれが顕著だと思う。
    「蕩尽に関する一考察」は初出が2003年ということで、近年よく聞く「無敵の人」の犯罪にいて考えてしまった。「孤島パズル」のとき、マリアは去年の事件について知ってるのかなと気になっていたので、答え合わせをしてもらった気分。
    それから、この短編集を通してアリスやマリアが呟くちょっとした言葉がとても好きだった。
    「名探偵も他人を信じることができる」
    「音楽は、いや、どんなものでも、僕が考えているよりもずっと広く、愛されることに向かって開けているのかもしれない。」
    「名探偵は、屍肉喰らいではない。」
    「名探偵がいても、やっぱり悲しい出来事は止められないんだ」
    「……名探偵が、悲劇を未然に防いだのね」

    ここから孤島パズルへシリーズが進むのだと思うと、胸が締め付けられるし、ここまできたのだと思うと月光ゲームで傷付いたアリスの心がここまで癒えたのかとホッとするしで、余韻がほんとに素敵な短編集だった。シリーズ読者が読むことを想定してる作品だから、そうじゃない人が読んだらちんぷんかんぷんかもしれないな。

  • 学生アリスの短編集。とりわけ最後の3作が面白い。「二十世紀的誘拐」はトリックと動機がリンクする良作。「除夜を歩く」は後期クイーン問題を江神とアリスで熱く語る。「蕩尽に関する一考察」は設定にやや難があるものの、狂人の論理は好きだ。

  • 英都大学推理小説研究会・EMC、いわゆる学生アリスシリーズの短篇集。
    春から春へと収録作品も時系列に進んでいる。途中で月光ゲームに遭遇し、アリスも落ち込んだり江神さんの探偵としての姿に救われたりと波乱にして有意義な大学生活を送っている。

    事件もロジカルなものばかりで江神さんの着眼点と閃きに恐れ入る。何回か読み直さないと分からない部分もあった。

    巻末の寄稿が皆川博子先生なのも嬉しい贅沢。

  • 良かった!
    基本的には長編が好きなんだけど、このシリーズに関しては短編の方が好きかも!!
    望月と信長の会話が良いし、気負わず楽しく読める。
    どの短編も良かったし時系列なのがいい!!

  • 平成最後の年越しに、昭和最後の日々の話を読んだ偶然にちょっとノスタルジーを感じた
    大好きだった江神部長に四半世紀ぶりに出会えて良かった
    30年前の大学生は、こんな風に言葉を交わしあって関係を築いていたのかと思うと羨ましく感じた
    教養とか、文化とか見につけていたら、人生変わっていたかしらなんて思ったりした年の瀬です

  • 江神二郎シリーズは孤島のパズル以来。カッコ良いよね、江神さん。好きだな。アリスも好きだけどね。
    今回は短編集。推理研の4人が日常の謎に挑む。マリアが推理研に入るキッカケになった出来事も語られている。
    1冊目からしっかり読んでおかなければ!

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著者プロフィール

有栖川 有栖(ありすがわ ありす)
1959年、大阪市東住吉区生まれの小説家・推理作家。有栖川有栖・創作塾の塾長。
同志社大学法学部法律学科卒業後に書店へ就職。それまでも学生時代から新人賞や雑誌への投稿を繰り返していたが、1989年江戸川乱歩賞に投稿した『月光ゲーム Yの悲劇 '88』が東京創元社編集長の目に止まり、大幅に改稿した上で刊行し、単行本デビューとなった。1994年、書店を退職して作家専業となる。1996年、咲くやこの花賞(文芸その他部門)受賞。1999年から綾辻行人と共作でテレビ番組『安楽椅子探偵』シリーズ原作を担当する。
2003年、第56回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した『マレー鉄道の謎』、2007年発表作で「本格ミステリ・ベスト10」で第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」で第3位、「黄金の本格ミステリー」に選出と高く評価された『女王国の城』など、多くの作品がミステリ賞で高く評価されている。
2000年11月より2005年6月まで、本格ミステリ作家クラブ初代会長を務める。

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