ハルさん (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 1610
レビュー : 242
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488414115

作品紹介・あらすじ

結婚式の日、お父さんのハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を――児童文学の気鋭が、頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った快作!

感想・レビュー・書評

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  • 名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』で紹介されていたので読みました。
    この作品は、女性が読まれてももちろんいいのですが、年頃の娘さんを持たれる男性が読まれると共感するかなと思いました。

    妻の瑠璃子さんと死別した人形作家のハルさんこと春日部晴彦は男手ひとつで、一人娘のふうちゃんこと風里を育て、今日はふうちゃんの結婚式の日。ふうちゃんの幼稚園の頃からの出来事を年齢順に回想していく連作短編集です。
    日常の謎ミステリーでもあります。
    ハルさんは、ふうちゃんのことがわからなくなると天国の瑠璃子さんに問いかけ、問題は瑠璃子さんの推理により解決されます。

    第一話 消えた卵焼き事件
    ふうちゃんの幼稚園で、隆くんのお弁当の卵焼きが消えたのはなぜか?
    第二話 夏休みの失踪
    小学四年生のふうちゃんが夏休み行方も告げずにいなくなります。ふうちゃんの行動力にはびっくりしました。
    第三話 涙の理由
    中学生のふうちゃんの涙の理由をハルさんはもしや「いじめ」に遭っているのではと思ってしまいますが…。
    第四話 サンタが指輪を持ってくる
    高校最後の冬休み、ふうちゃんはアルバイト先の花屋でアルバイト中にけがをして、お客さんの落としたプレゼントを拾います。
    第五話 人形の家
    ハルさんが作ったシリーズ物の人形の十二体のうちの一体がいなくなったとお客さんに相談されます。
    ふうちゃんが何故、結婚相手の男性の長谷さんを選んだのか判明します。

    ちょっと、ナイーブな男性ハルさんと、天国の聡明な瑠璃子さんの推理がいつも冴えていて、ふうちゃんの活発でものおじしない明るい雰囲気が全編を通しています。
    きっと、ふうちゃんも瑠璃子さんのような素敵な女性になるのでしょう。

    • まことさん
      kuroayameさん。初めまして。

      確か私の「ブッシュ孝子詩集」にいいね!をくださり、私の方で勝手にフォローさせていただきました。
      ...
      kuroayameさん。初めまして。

      確か私の「ブッシュ孝子詩集」にいいね!をくださり、私の方で勝手にフォローさせていただきました。
      初めての方にあの詩集をいいね!していただき、心が通じたのかなと思いとても嬉しかったのを覚えています。
      これからも、よろしくお願いします(__)
      2020/10/19
    • 魚雷屋の読書録さん
      娘は大学生で家をでています。娘というものは、成長するにしたがい、段々と父親との距離が開いていくのではないでしょうか。
      娘は大学生で家をでています。娘というものは、成長するにしたがい、段々と父親との距離が開いていくのではないでしょうか。
      2020/10/19
    • まことさん
      魚雷屋の読書録さん。

      私の父は50代で早逝しました。
      突然死だったので、死に目にもあえませんでした。
      生前は、喧嘩もしました。
      ...
      魚雷屋の読書録さん。

      私の父は50代で早逝しました。
      突然死だったので、死に目にもあえませんでした。
      生前は、喧嘩もしました。
      だけど、亡くなってからは後悔や恋しさが募るようになりました。
      月並みな言い方ですが、つかず離れず、娘さんと適度な距離をとりつつ交流していってはいかがでしょうか。
      2020/10/20
  • 前から読もうと思っていましたが、なかなか手に取らなかった1冊です。読んでみて、こりゃずるい。お父さんは泣いちゃうよ,と思いました。

    ストーリーはハルさん(春日部晴彦)が墓前で亡き妻(瑠璃子さん)に報告するところから始まります。

    「瑠璃子さん・・・ 今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ」

    結婚式に向かうハルさんの脳裏には、男手一つで育てたふうちゃんとの思い出がフラッシュバックしていく。幼稚園、小学校、中学、そして大人へと過ごした二人の月日が、小さな日常のミステリー仕立てで展開していきます。随所に出てくる、しっかり者の瑠璃子さんと、子育てに自信の無いハルさんとの会話(?)からも、ふうちゃんへの愛情があふれてきます。

    「お父さん。今までありがとう」
    「お母さんは、いつもお父さんと一緒にいて、見守ってくれてたから」

    こりゃ、絶対泣いてしまいます。

  • ハルさんがひとり娘のふうちゃんの結婚式を迎えるまでのほんのひと時の間に思い出す出来事。それは、彼女の成長とその頃に起きた日常の謎とを辿る記憶の旅のようでした。
    謎がひとつ解けていく度に、まるで心が浄化され透明になっていくような印象を残します。
    あとがきで藤野恵美さんは物語をつむぐことは祈りに似ているとおっしゃっています。きっとその祈りがわたしの心に届いたのでしょう。藤野さん自身、子どもの頃、私とはだれか、ひとはどこから来てどこへ行くのか、どうしてこの世界から暴力や悲しみはなくならないのか、どうすればしあわせになれるのか、なぜ愛しあって結婚したはずの両親は争ってばかりいるのか……答えのない問いをちいさな胸いっぱいに抱えられていたそうです。そんな彼女にとって、美しいロジックで謎が解かれる物語、探偵が秩序を回復する物語をよむことは、救いでもあったそうです。
    今日もどこかで、自分が生まれてきてよかったのだろうか、自分がいるから愛する人が泣くのだろうか、いろんな思いに小さな胸を痛めている子どもがいると思います。これからも藤野さんの描かれる世界が、そんな子どもたちの救いになりますように。これからも物語をつむいでいかれることを願っています。

  • 気持ちがほっこりするようなお話しでした。奥さんの瑠璃子さんを亡くして、男手一つでふうちゃんを育てるハルさん…。気弱で優しいハルさんに、ちょっと焦らされましたが、ふうちゃんを立派に育てて、最後は泣きそうになりました。
    この本は、好き嫌いがはっきり分かれそうですね。私はこんな、まったりした感じ…好きですけど。

  • チビちゃんの試合の応援をしつつ、大きくなっちゃったな、と寂しくもなって。
    そんな気持ちで読んでしまったから、ハルさんに同化。きゅーっとなる。

    ふうちゃんの大事な日にお墓参りに来たハルさん。瑠璃子さんを失ってからの日々を想う。
    ふうちゃんと二人になったハルさん。
    人付き合いが苦手で、人形作家にはなったけど、自信もなく、家事と仕事の両立が難しくて悶々とする日々。
    お友達と喧嘩しちゃう幼稚園。
    夏休みの大冒険の小学生。
    お父さんにちょっと冷たい中学生。
    初めてのアルバイトの高校生。
    お互いに忙しくなってしまった大学生。

    ふうちゃんの成長とともにハルさんも外に向かって行くのがジワリとくる。
    育児って親も育てるもんだね。
    情報が少なくても多くても、育児の不安は尽きないから。瑠璃子さんのように落ち着いて、じっくり考える時間をもたせてくれる存在が欲しい。切実に。
    それぞれの思い出にある小さな謎が最後にはパズルをはめるように大きな謎を埋めていく。
    なんでふうちゃんは彼を選んだのか。
    それが明らかになっていくと、今もがんばれる気が。
    こんな風にチビちゃんたちも育っていくだろうか。こんな未来が待っているといいな。
    最初から最初までヒリヒリもしつつ温かいお話だった。

  • 父(ハルさん、晴彦)と娘(ふうちゃん、風里)の二人家族の成長のお話。娘の結婚式当日の様子をバックグラウンドにして、5つの短編が結婚式の日の父の回想の形式で進行していく。短編は、娘の幼稚園、小学校、中学校、高校、大学のエピソードと進んでいく。それぞれでちょっとしたミステリー話があるが、幼稚園のお弁当の卵焼きがなくなって誰がとったか、というような他愛もない事件。それを解決するのが、ハルさんの無くなった奥さんである瑠璃子さんがハルさんに授けるほぼ解答に近いヒント。

    ミステリーとしてみたら、亡くなった人が現れて解決するし、その内容も途中でわかってしまう程度なので、反則でもあり、たいしたことはない。全体の構成も、娘の結婚式に収束していく父と娘の話なので、涙を誘うように書かれているありがちな話である。
    ただ、それと知りつつ目頭が熱くなるのは、作者の思うつぼに見事にはまった感あり。
    ふうちゃんが、結局はハルさんに似た人を選んだということが最後でわかり満足感で読了できる。

  • ほっこりあたたかい作品。
    妻に先立たれ、不器用ながら、懸命に娘を育ててきた、ハルさん。
    素直で、しっかり者に育っていく、ふうちゃん。
    5つの日常の謎を絡めているが、ミステリというより、親子の愛情物語として読む。
    最初の小さな探偵さんが、特に愛らしい。
    最後は、じーんと涙。

  • 妻を早くに亡くし、一人で娘を育てる人形作者が娘の結婚式で小さいころからを回想するように話が進む。のだが、なぞ解きを含むミステリーのように構成されているところが面白い。

  • 素敵な親子愛❣️

  • 主人公であるハルさんの、娘のふうちゃんへの深い愛情を感じることができる1冊。ふうちゃんの結婚式に参列した人々をきっかけに、ふうちゃんとの生活を一つ一つ回想していくストーリーです。
    成長に伴い親であるハルさんから少しずつ自立していくふうちゃん。嬉しいような寂しいような親の正直な気持ちが痛いほど共感できます。
    どこの家庭でも起こりうる日常の中の出来事が丁寧に描かれており、ハルさんとふうちゃんの生活、心理描写はとてもリアリティがあるのでどんどん物語に引き込まれます
    読み終えた時は、ハルさんと奥さんの瑠璃子さんと一緒にふうちゃんの成長を見守ってきたような気持ちになりました。結婚式のシーンではふうちゃんの親のような気持ちになってしまい、思わず涙が出てしまいます。
    お子さんのいる方はもちろん、子供としての目線で読んでも心が温かくなる一冊なので、幅広い年齢の方におすすめです!

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著者プロフィール

藤野恵美
『七時間目の怪談授業』『七時間目の占い入門』『お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿』(講談社・青い鳥文庫)をはじめ、『怪盗ファントム&ダークネス』シリーズ(ジャイブ・カラフル文庫)、『世界で一番のねこ』(アリス館)ほか、一般書ではコージーミステリ短編集『ハルさん』(東京創元社)が話題となり、2017年にテレビドラマ化されるなど児童、一般書の両部門で活躍。『しあわせなハリネズミ』は「ひとりで過ごすのが好き」だという息子をモデルにして書かれた。

「2019年 『しあわせなハリネズミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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