- 東京創元社 (2013年3月21日発売)
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感想 : 284件
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784488414115
感想・レビュー・書評
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名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』で紹介されていたので読みました。
この作品は、女性が読まれてももちろんいいのですが、年頃の娘さんを持たれる男性が読まれると共感するかなと思いました。
妻の瑠璃子さんと死別した人形作家のハルさんこと春日部晴彦は男手ひとつで、一人娘のふうちゃんこと風里を育て、今日はふうちゃんの結婚式の日。ふうちゃんの幼稚園の頃からの出来事を年齢順に回想していく連作短編集です。
日常の謎ミステリーでもあります。
ハルさんは、ふうちゃんのことがわからなくなると天国の瑠璃子さんに問いかけ、問題は瑠璃子さんの推理により解決されます。
第一話 消えた卵焼き事件
ふうちゃんの幼稚園で、隆くんのお弁当の卵焼きが消えたのはなぜか?
第二話 夏休みの失踪
小学四年生のふうちゃんが夏休み行方も告げずにいなくなります。ふうちゃんの行動力にはびっくりしました。
第三話 涙の理由
中学生のふうちゃんの涙の理由をハルさんはもしや「いじめ」に遭っているのではと思ってしまいますが…。
第四話 サンタが指輪を持ってくる
高校最後の冬休み、ふうちゃんはアルバイト先の花屋でアルバイト中にけがをして、お客さんの落としたプレゼントを拾います。
第五話 人形の家
ハルさんが作ったシリーズ物の人形の十二体のうちの一体がいなくなったとお客さんに相談されます。
ふうちゃんが何故、結婚相手の男性の長谷さんを選んだのか判明します。
ちょっと、ナイーブな男性ハルさんと、天国の聡明な瑠璃子さんの推理がいつも冴えていて、ふうちゃんの活発でものおじしない明るい雰囲気が全編を通しています。
きっと、ふうちゃんも瑠璃子さんのような素敵な女性になるのでしょう。 -
癒される本を読みたくて家の積ん読本の中から選んだ。
本作は『金曜日の本屋さん』にも登場した作品で、妻を亡くしたハルさんとひとり娘のふうちゃんの物語である。
ふうちゃんの結婚式の日にハルさんが思い出す五つの謎が、ふうちゃんの幼い頃から現在に至るまでの成長とともに描かれていく。
天国にいる妻の瑠璃子さんの協力を得ながら謎解きされていき、その優しい真相に心が温まった。
ハルさんの人柄が好き。人形作家という自分の好きなことを生業としている彼は、気弱で不器用だけれど、ふうちゃんをとても大切に想っている。ふうちゃんも反抗期などはあったが、やはりハルさんはかけがえのない存在なんだよね。
そういう互いを想いあう優しい気持ちがひしひしと感じられた。
今、当たり前のように過ごしているときも、いつかは…
と思うと、改めて子どもと一緒に過ごせる時間を大切にしたいなと思った。-
1Qさん♪
同じく反省の日々です(^-^;
ちっとも埋まらない理想と現実の差…(笑)
でもきっと1Qさんも娘さんの結婚式の日には泣いちゃうん...1Qさん♪
同じく反省の日々です(^-^;
ちっとも埋まらない理想と現実の差…(笑)
でもきっと1Qさんも娘さんの結婚式の日には泣いちゃうんじゃないかな~って思いますよ(⋆ˊᵕˋ )2023/12/14 -
ひろさん、やめてー!!!w
たぶん、泣いちゃう…
きっと、泣いちゃう…
間違いなく、泣いちゃう…
感謝される父親になれるように頑張ります!...ひろさん、やめてー!!!w
たぶん、泣いちゃう…
きっと、泣いちゃう…
間違いなく、泣いちゃう…
感謝される父親になれるように頑張ります!
(`・ω・´)ゞ
2023/12/14 -
2023/12/14
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父親と娘とのあたたかな日常の中に起こるミステリーです。
父親の不器用な優しさと娘の明るく真っ直ぐな姿に読んでいて癒されます。
ほっこりしたい時に読んでみたくなるお話です。
娘さんの結婚式に昔を思い出す父親の設定ですが、私としてはその後の父親が1人暮らしになる事がちょっと心配で。
その後の続きも読めたら良かった。 -
ミステリー形式ではあるが、全体として娘の成長と父娘の関係が優しく描かれている作品。
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男手一つで育て上げた娘を嫁がせる。感無量だろうな…。自信なさそうだけれど一生懸命に子育てをしているお父さん(ハルさん)の深く大きな愛情が素敵でした。
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児童文学作家さんが書かれたと納得。
年頃の娘を持つ身としては身につまされると言うか。
思い出は沢山あった方が良いですね。 -
ハルさんがひとり娘のふうちゃんの結婚式を迎えるまでのほんのひと時の間に思い出す出来事。それは、彼女の成長とその頃に起きた日常の謎とを辿る記憶の旅のようでした。
謎がひとつ解けていく度に、まるで心が浄化され透明になっていくような印象を残します。
あとがきで藤野恵美さんは物語をつむぐことは祈りに似ているとおっしゃっています。きっとその祈りがわたしの心に届いたのでしょう。藤野さん自身、子どもの頃、私とはだれか、ひとはどこから来てどこへ行くのか、どうしてこの世界から暴力や悲しみはなくならないのか、どうすればしあわせになれるのか、なぜ愛しあって結婚したはずの両親は争ってばかりいるのか……答えのない問いをちいさな胸いっぱいに抱えられていたそうです。そんな彼女にとって、美しいロジックで謎が解かれる物語、探偵が秩序を回復する物語をよむことは、救いでもあったそうです。
今日もどこかで、自分が生まれてきてよかったのだろうか、自分がいるから愛する人が泣くのだろうか、いろんな思いに小さな胸を痛めている子どもがいると思います。これからも藤野さんの描かれる世界が、そんな子どもたちの救いになりますように。これからも物語をつむいでいかれることを願っています。 -
児童書の作者ということでとても読みやすい。
そして登場人物たちにほんわか癒される。お洋服が作れて三つ編みができる優しいおとーさん最高だし、娘ふーちゃんもお母さん似のしっかり者でお父さん似の優しさの持ち主という素敵な女の子。そしてお互いに心配しつつも、最後は相手を信頼して任せるという関係性。
あとがきで、壮絶な幼少期を送った著者の理想の親子関係知り驚く。やはり現実は厳しいのね。
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前から読もうと思っていましたが、なかなか手に取らなかった1冊です。読んでみて、こりゃずるい。お父さんは泣いちゃうよ,と思いました。
ストーリーはハルさん(春日部晴彦)が墓前で亡き妻(瑠璃子さん)に報告するところから始まります。
「瑠璃子さん・・・ 今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ」
結婚式に向かうハルさんの脳裏には、男手一つで育てたふうちゃんとの思い出がフラッシュバックしていく。幼稚園、小学校、中学、そして大人へと過ごした二人の月日が、小さな日常のミステリー仕立てで展開していきます。随所に出てくる、しっかり者の瑠璃子さんと、子育てに自信の無いハルさんとの会話(?)からも、ふうちゃんへの愛情があふれてきます。
「お父さん。今までありがとう」
「お母さんは、いつもお父さんと一緒にいて、見守ってくれてたから」
こりゃ、絶対泣いてしまいます。 -
きっかけはブクログ談話室より、泣ける作品、さらにミステリ要素あり、ということで興味惹かれ購入、読了する。
父(ハルさん)と娘(ふうちゃん)の成長を、ミステリ的出来事を絡めて描いている。やや頼りない父親が娘の言動に振り回され右往左往し、途方にくれている時に救世主現る!なんと早くに逝ってしまった嫁、瑠璃子さん。これはファンタジー的展開だけど、散らされたヒント、伏線を回収しつつの回答でありミステリ的まとまりは高いレベルにあったと思う。
結婚当日に、父(ハルさん)が回想しつつ娘の成長を顧みるという構成になっており、娘を持つ父親には感情移入に容易い。自分的には事前情報があったおかげで、涙腺崩壊までには至らなかったが、ジ~ンとくるものはあった。
なんとなく長編を読むに心身不完全であった為、箸休め的一冊であった、次は長編に挑戦したいと思う。 -
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チビちゃんの試合の応援をしつつ、大きくなっちゃったな、と寂しくもなって。
そんな気持ちで読んでしまったから、ハルさんに同化。きゅーっとなる。
ふうちゃんの大事な日にお墓参りに来たハルさん。瑠璃子さんを失ってからの日々を想う。
ふうちゃんと二人になったハルさん。
人付き合いが苦手で、人形作家にはなったけど、自信もなく、家事と仕事の両立が難しくて悶々とする日々。
お友達と喧嘩しちゃう幼稚園。
夏休みの大冒険の小学生。
お父さんにちょっと冷たい中学生。
初めてのアルバイトの高校生。
お互いに忙しくなってしまった大学生。
ふうちゃんの成長とともにハルさんも外に向かって行くのがジワリとくる。
育児って親も育てるもんだね。
情報が少なくても多くても、育児の不安は尽きないから。瑠璃子さんのように落ち着いて、じっくり考える時間をもたせてくれる存在が欲しい。切実に。
それぞれの思い出にある小さな謎が最後にはパズルをはめるように大きな謎を埋めていく。
なんでふうちゃんは彼を選んだのか。
それが明らかになっていくと、今もがんばれる気が。
こんな風にチビちゃんたちも育っていくだろうか。こんな未来が待っているといいな。
最初から最初までヒリヒリもしつつ温かいお話だった。 -
気持ちがほっこりするようなお話しでした。奥さんの瑠璃子さんを亡くして、男手一つでふうちゃんを育てるハルさん…。気弱で優しいハルさんに、ちょっと焦らされましたが、ふうちゃんを立派に育てて、最後は泣きそうになりました。
この本は、好き嫌いがはっきり分かれそうですね。私はこんな、まったりした感じ…好きですけど。 -
一応ミステリー小説なのですが、感動を呼ぶ仄々ミステリーは初めて読みました。
ほろほろと熱い涙が流れます・・・。
作者曰く、『物語をつむぐことは祈りに似ています。つらいこともある世界ですが、ほんの少しでもあたたかな気持ちになっていただけたら幸いです。』
ええ、充分あたたかい気持ちになりました。
本格ミステリーでも密室殺人もありませんが、たまにはこんな作品もいいですね。(^_^) -
うちの長女もふうちゃんといいます。
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娘が結婚して家を出て行く…
やはり最後は泣ける。妻を亡くし男手1人で育てた父親ハルさんの思いを思うと切ない。親は子供の幸せが1番なのだから。 -
【読み終わって感じたこと】
心がじんわりと暖かくなる本。ふうちゃんは長谷さんがハルさんに似てるところがあるから選んだのかなと思った。
【印象に残ったシーン】
長谷さんがスピーチをする時に、ハルさんがふうちゃんのこれまでの成長を振り返るシーン。私も一緒にふうちゃんの成長を見てきた気分になっていた。
【好きなセリフ】
「お母さんは、いつもお父さんと一緒にいて、見守ってくれてたから」ふうちゃんも、ハルさんがお母さんと一緒に謎解きをしていたことに気づいていたのかなと思った。
【こういう人におすすめ】
・親子愛の本が好きな人
・心温まる小説が好きな人 -
『感想』
〇親にとって子どもはかけがえのないもの。子ども以上に思い出を大切に心に刻んでいる。
〇父から娘への愛情の物語であるのと同時に、夫が先立たれた妻を大事に思い続けている、夫婦の愛情の物語であった。ある意味他人同士の夫婦の方が愛情を保つのが難しい。それをきれいな形で繋ぎ続けていられることは羨ましい。
〇父娘と夫婦の絆が描かれる部分は良かったが、いい関係性の話しか出てこず、うまくいかなかった部分がまるでなかったかのように進むのは、リアリティに欠ける。またそれ以外のちょっとした事件の部分はあまり興味を引かなかった。
〇ふうちゃんの行動が理解できなかった。まあ娘の行動を父親が理解できないのは当然のことではあるが。 -
父(ハルさん、晴彦)と娘(ふうちゃん、風里)の二人家族の成長のお話。娘の結婚式当日の様子をバックグラウンドにして、5つの短編が結婚式の日の父の回想の形式で進行していく。短編は、娘の幼稚園、小学校、中学校、高校、大学のエピソードと進んでいく。それぞれでちょっとしたミステリー話があるが、幼稚園のお弁当の卵焼きがなくなって誰がとったか、というような他愛もない事件。それを解決するのが、ハルさんの無くなった奥さんである瑠璃子さんがハルさんに授けるほぼ解答に近いヒント。
ミステリーとしてみたら、亡くなった人が現れて解決するし、その内容も途中でわかってしまう程度なので、反則でもあり、たいしたことはない。全体の構成も、娘の結婚式に収束していく父と娘の話なので、涙を誘うように書かれているありがちな話である。
ただ、それと知りつつ目頭が熱くなるのは、作者の思うつぼに見事にはまった感あり。
ふうちゃんが、結局はハルさんに似た人を選んだということが最後でわかり満足感で読了できる。
著者プロフィール
藤野恵美の作品

確か私の「ブッシュ孝子詩集」にいいね!をくださり、私の方で勝手にフォローさせていただきました。
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確か私の「ブッシュ孝子詩集」にいいね!をくださり、私の方で勝手にフォローさせていただきました。
初めての方にあの詩集をいいね!していただき、心が通じたのかなと思いとても嬉しかったのを覚えています。
これからも、よろしくお願いします(__)
私の父は50代で早逝しました。
突然死だったので、死に目にもあえませんでした。
生前は、喧嘩もしました。
...
私の父は50代で早逝しました。
突然死だったので、死に目にもあえませんでした。
生前は、喧嘩もしました。
だけど、亡くなってからは後悔や恋しさが募るようになりました。
月並みな言い方ですが、つかず離れず、娘さんと適度な距離をとりつつ交流していってはいかがでしょうか。