バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 918
感想 : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488415013

感想・レビュー・書評

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  • この探偵さんはずいぶん理屈っぽい。回りくどい説明に飽きてきて、飛ばし読みしたシーンもあった。内容はわりと面白かった。

  • このシリーズは知人の紹介から読み始めたのだが、名探偵の推理法が現象学的本質直観に基づくという哲学に疎い人間にはあまりにも意味不明なものだったので、てっきり字面から事件のあらましを聞いただけで理屈もなく犯人を当てるトンデモな話かと思い込んでいた。

    実際に読んでみると駆のキャラクター造形のみならず所々に挟まれる蘊蓄や哲学的問答にさらに面食らってしまったが、解決編の推理自体はきちんと筋だっていて妙に安心した。むしろ合うひとにはこのバランスが妙にクセになると思う。

    駆が事件に対して全く積極的ではないことで、ミステリーにつきものの事件の最後まで探偵が真相を明らかにできないという問題を解決している点や、「なぜ犯人はわざわざ被害者の首を切ったのか?」という謎への答えには感心した。最後の思想的対決に作者の熱量を推理パート以上に感じるのもこのシリーズの異色さを表していると思う。

  • 憂鬱なパリの冬空の下に流される緋い鮮血。
    本格ミステリの様式を以って幕を開け、全ての現象はある人物の極めて悪魔的な企みに美しく帰結する。

  • はじめのうちは、外国の古典ミステリーみたいでおもしろい!と思ったけど、矢吹駆が出てきてイマイチになった。
    動機とかが、なんの伏線もなく唐突に矢吹駆にはわかって、知らん間に矢吹駆だけで解決してる。
    いろんな伏線から推理しながら読むのが楽しいのに、ミステリーの醍醐味ゼロ。
    そして、矢吹駆の言い回しが難しすぎる。
    本当に頭がいい人は、難しいことを簡単に説明できるものだ。

  • 評価が難しい作品。作品としての完成度はあまり高くないがそこに書かれている思想、それに合わせた探偵、ストーリーはなるほどと納得。ただ一人称視点が女性に思えないことだけは言っておきたい。

  • ヴァンダインの僧正殺人事件とエラリークイーンのYの悲劇の結末が好きな自分としてはテンションがあがった。

  • 殺人に手を染めるほどの思想的根拠を持たない一般市民に
    それを行わせるのは何だろうか
    軽薄な実存主義ではけして言い表せないほどの正義の重みだろうか
    いや違う
    正義によって糾弾される罪の意識が肝要なのだ
    みんな戦ってる
    おまえは戦わないのか?
    そういう類のやつだ
    しかしそんなものを真に受けたのだとしても
    いまここにある平和を偽りと断じ、ぶち壊しにかかる権利は誰にもない
    それはエゴである
    平和の裏には虐げられてる人がいて
    自分にはそういう権利があると考えてしまいがちだが
    それもエゴである
    まあエゴはエゴでいいんだけどね
    そんなものと革命の理想を一緒にするのは冒涜的でゆるせん
    矢吹駆はそういうやつ

  • ミステリが正(ただ)しくミステリであった時代のミステリ、とでもいうべき雰囲気で、一見正統派にも見えるが、底には小栗虫太郎的な何かが見え隠れする。危険で魅力的。

  • 三葛館一般 913.6||KA

    本格ミステリー小説作家・笠井潔が描く、矢吹駆シリーズ第一弾。
    主人公の矢吹駆は、”現象学”を用いて事件を推理する、謎が多い青年で、彼の独特なキャラクターが作品を面白くしていると思います。また、話の中には思想や哲学といった内容も散りばめられていて、単なるミステリーだけでないところもオススメです。

    (保健看護学部4年 S.O)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=82176

  • 矢吹駆の凄まじいイケメン描写に圧倒され、しばらく読まないだろうと思っていたが、思いきって読むことにした。

    やけに小難しく、かなり衒学的な小説だが、読んでみると意外と納得できる部分もある。

    追記:犯人やあの人物の正体は、はじめからかなりヒントが出ていたので予想通りだった(特に黒幕はタイトルだけでわかるかも…)。動機はほとんど推理不可能なものだったが。

    最後の黒幕との舌戦?や、たまに入る蘊蓄がいかにも文系という感じで笑えるくらいだったが、舞台が外国であることや、矢吹駆が日本語ではない言葉を話しているということでまぁ納得できる。

    ナディアが推理を披露して玉砕する点や、殺人の動機が思いもよらないものだった点から、アンチミステリー的な雰囲気を感じた。小説の探偵が語る推理は、本当に正解かどうかなんて誰にもわからないというような。

    それにしても、ナディアは今まで私が読んだ小説の中には出てこない強烈なタイプの女の子だった。

    思想モデル:永田洋子、マルクス

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著者プロフィール

■協力
1947年生まれ。比田井洵、奥好寛、吉田雅夫の諸先生にフルートを師事。1970年東京大学理学部数学科卒業後、スイス、チューリヒ音楽院に留学し、アンドレ・ジョネ教授に1975年まで師事。同年卒業と同時にバーゼル交響楽団にソロフルーティストとして入団し、2009年定年退職。1987年-92年カールスルーエ音楽大学講師、1999年-2012年バーゼル音楽大学フルート科教授。2002年、上皇后バーゼル訪問の折にフルートと尺八の為の《秋の風》(Gerald Bennett がこの機会のために作曲)を歓迎式典で演奏。ペーター?ルーカス・グラーフの依頼によって彼の著書、『CHECK-UP』と『The Singing Flute』を日本語に翻訳。

「2021年 『フルートの響きを豊かにする52の質問~ペーター=ルーカス・グラーフ 舞台裏の哲学~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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