薔薇の女―ベランジュ家殺人事件 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488415037

感想・レビュー・書評

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  • やっと読んだーーー!

    出だしは凄惨な場面から始まって戦慄モノでしたが
    進むにつれて、ペダンティックな部分あり、
    いかにも推理小説風あり、歯がゆい恋愛あり、
    道化役みたいなオジさんありで
    鍋料理みたいな1冊でした。

    薔薇、双子、異国で活躍する日本人、猟奇殺人、親子関係の崩壊、…ってコレ、
    浦沢直樹のMONSTERに似てるな…と、最後の最後で思いました。
    あの漫画のテイストが好きなら、この「薔薇の女」もかなり好みなんじゃないかと思われます。

  • バラバラ屍体のパーツを組み合わせて造られる究極の人体…

    島田荘司「占星術殺人事件」の2年後に発表された今作は、驚天動地のトリック一発から逆算して書かれたような「占星術」とはまた違った、丁寧に組み上げられた論理仕掛けの摩天楼の屋上に着陸する。

  • 火曜日の深夜に、一人暮らしの娘を襲う連続殺人犯。
    被害者の娘は、いずれも絹紐で絞殺され、死体の一部を持ち去られていた。現場には、赤い薔薇が撒かれ、「アンドロギュヌス」という血の署名が残されていた。連続殺人事件を繋ぐ細い糸とは何か。矢吹駆シリーズ第3作。

    面白かった!
    楽しむよりも理解する事に必死にならなければならなかった前2作に比べて、今作のなんと面白い事か!事件の説明が巧みになったのか、事件がセンセーショナルでのめり込めたからかは、よく分からないが、不思議と混乱せずに読み通す事ができた。駆のたれる講釈が、性倒錯に関する内容で、少し興味を惹いたのも大きかったかもしれない。

    ミステリィとしての完成度が高い。
    シャルル・ロワゾーとベアトリス・ベランジュ殺害におけるアリバイトリックや、双子の使い方等々、中々読み応えがあるミステリィに仕上がっていた。ミステリィ要素が勝ちすぎると、矢吹駆っぽくなくなるのか。読んでいる方としては、こちらの方が面白いのだが、評価は割れているようだ。小難しい講釈をさらりと読んでいるようでは、このシリーズを本当の意味で愛しきれていないのかもしれないが。

    ナディアと駆の関係は、微動だにしない。
    動かざること山の如しな状態。ナディアは、結構ぐいぐい距離を詰めていこうとしているのだが、駆の無関心っぷりが半端ない。ヒロインに興味を示さない探偵役というのは、往々にしてその内にデレてくるものだが、その予兆さえも感じさせないクールさ。ナディアの恋が実る日はくるのか。もはや、わくわくする事さえも許されない空虚感。駆が少しでもデレる日が来るのを願って、シリーズを読み進めるとしよう。

  • 火曜日ごとに繰り返される猟奇殺人。<火曜日の謎><切断の謎><薔薇の謎><被害者の謎><アンドロギュヌスという署名の謎>から非業の死を遂げた女優ドミニクとの関連が浮上。事件の情報提供者とドミニクの妹ベアトリスがホテルで殺される事件が発生。15年前に起こった<ブレストの切り裂き魔>との関連。肉の両性具有人形の発見。

    スピーディーな事件の展開と提示される謎は、読み応え十分。特に、ベアトリスが自宅とホテルの間を何度も移動した謎、「不在証明が不必要な人間がなぜ不在証明工作をやらなければならなかったのか」という謎が面白い。
    しかし、矢吹駆が説明した真相は肩透かし気味。解答に切れや鮮やかさは感じられない。犯人の正体は二重に意外だし、矢吹駆が警察にある人物を監視するように依頼した本当の意味、肉の両性具有人形の現場で胸部が持ち去られていた理由などは面白いが、アリバイトリックで使われた方法がイマイチ。また、矢吹駆の語った内容は、事件の状況はうまく説明できてはいるが、必然性に乏しいと感じる。犯人が犯行に至った心理の説明も、難解で理解しがたい。
    文庫本の解説を見ると、本書で取り扱っている思想は、バタイユという人物のものらしい。浅学の私は初めて聞く名前。バタイユを模したルノワールと矢吹駆との対話は難解だ。
    この後の「哲学者の密室」と「オイディプス症候群」では重厚さが増して、ページ数も大幅に増えるが、不可解な事件の状況に対する論理的解釈の議論の比重が増す一方で、真相自体は地味で意外性に乏しいものに変貌していく。

  • かなりひどい評判だったがなかなか面白かった。わりと分かりやすい内容だったということもあるが、誰が、なぜやったのかをきっちりと説明されていて、個人的にはかなりすっきりした。まぁ登場人物紹介に出ていた人物が、はじめからほとんど死んでいて、最後にはさらに減ったことには笑ったが。

    ルノワールが、経済と性犯罪の関係を説明している部分が特に面白かった。

    ところで、ヤン=ジルベールで合っているのだろうか?唐突すぎてわからなかった。

    思想モデル:ジョルジュ・バタイユ

  • 4- 

  • 笠井潔さんの矢吹駆シリーズ、第3作。
    火曜日の夜に起こる、若い女性の連続殺人事件におなじみの矢吹駆とナディアが挑みます。

    笠井さんの作品の特徴には、哲学やら現代思想について、登場人物同士て対話したり議論したりするのが多いんだけど、難しくってついていけてない部分がある。
    ちょっと残念。頑張って勉強しなきゃなぁ。

  •  ロシュフォール家殺人事件から数ヶ月を経た晩秋。奇怪な連続猟奇殺人事件が起きる。犯人は、①火曜日の深更に、②独り暮らしの娘を襲い、③絹紐で絞殺した後、④屍体の一部を切断のうえ持ち去る。現場に⑤赤い薔薇を撒き、⑥<アンドロギュヌス>と血の署名を残す……。被害者間の共通点を見出せず苦悩する捜査陣を尻目に、現象学を以って易々とミッシングリンクを拾い上げる日本人、矢吹駆。捜査が進むうち、事件は十数年前に起きた連続猟奇殺人事件とも関係していることも判明し……。

     現象学を以って、「性犯罪には、二種類の特徴が挙げられる。性的な過剰エネルギーの爆発的な解放としてのものと、希少性の観念的充填を根拠とするもの」と説く日本人哲学者は、この事件に何を見出すのか。


     今巻では、哲学×物語的な面は抑えられ、推理小説としての面が際立っている。だからだろうか、前二作と比べると、どうしても物語の密度が淡く感じられた。これはあとがき・解説にも触れられている通り、作者の心境の変化によるものだろう。
     だが単体として、推理小説として読むなら、散りばめられた謎とその解読にいたる過程は楽しめた。推理小説が好きな人ならば、読まないよりは読んだ方が、悪くない。

  • 異常性欲と社会的理性が交錯するとき
    両性具有者を模した人肉人形が企画制作される
    ビューティフルドリーマーがその子宮より産み落とした悪夢である

  • 途中でつまんなくなったので完読せず。なんだかキザったらしい主人公。シリーズ物らしいのでキャラクターが分からないせいでつまらないのかも。

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著者プロフィール

■協力
1947年生まれ。比田井洵、奥好寛、吉田雅夫の諸先生にフルートを師事。1970年東京大学理学部数学科卒業後、スイス、チューリヒ音楽院に留学し、アンドレ・ジョネ教授に1975年まで師事。同年卒業と同時にバーゼル交響楽団にソロフルーティストとして入団し、2009年定年退職。1987年-92年カールスルーエ音楽大学講師、1999年-2012年バーゼル音楽大学フルート科教授。2002年、上皇后バーゼル訪問の折にフルートと尺八の為の《秋の風》(Gerald Bennett がこの機会のために作曲)を歓迎式典で演奏。ペーター?ルーカス・グラーフの依頼によって彼の著書、『CHECK-UP』と『The Singing Flute』を日本語に翻訳。

「2021年 『フルートの響きを豊かにする52の質問~ペーター=ルーカス・グラーフ 舞台裏の哲学~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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