ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M わ 1-1)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488417017

感想・レビュー・書評

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  • 若竹七海を年に10冊は読もう、シリーズの今年は2冊目。満を侍して唯一の若竹七海本人が探偵役(?)の「デビュー作」が登場。改めて、デビュー作には(瑕疵はありながら)作家の全てが出るのはホントだと思う。

    というか、出過ぎじゃないか?

    この小さな文庫本にどれだけの才能を詰め込めば気が済むのか?

    小さな建設コンサルタント会社の社内報の編集長に抜擢されたOL(古い!)の若竹七海は、毎回短編小説を書いてくれる奇特者を探していた。運良く承知してくれた知人の知人は、条件を言ってきたという。「もともとあった日記を脚色して書くので、作者は匿名にさせて欲しい」と‥‥。若竹は呑む。謎の覆面作家が送ってきた12編は、意外にもバラエティ豊かな季節性豊かなミステリ作品だった。

    ホントにこれを書いていた時期はOL生活真っ只中だった若竹七海の短編集、12編は全部きちんとオチのあるミステリだった。しかも、本格アリ、ホラーアリ、日常系アリ、青春モノアリ、イヤミスこそはなかったが、末尾に二段構えで見せるどんでん返しは、よく考えればイヤミスとも言えなくもない。

    最後の文庫本「あとがき」さえ、私はこれも作品内なのではと疑心暗鬼になったし、逢坂剛の解説さえ疑っていた。まぁ作家デビュー31年目の今年(そう言えば去年何もしなかったのか?)、これをもう一つひっくり返して再販すれば面白いんじゃないのか?あ、ゴメン。要らないことを書いてしまった‥‥。

    • aoi-soraさん
      kuma0504さん、始めまして。
      沢山のいいね!と、フォローを、ありがとうございます。
      本棚を拝見しました(^^)
      とにかく興味深い...
      kuma0504さん、始めまして。
      沢山のいいね!と、フォローを、ありがとうございます。
      本棚を拝見しました(^^)
      とにかく興味深い本が沢山で、レビューでのkuma0504さんの旅行記?
      が楽しいですね。

      どうぞよろしくおねがいします♪
      2022/06/01
    • kuma0504さん
      aoi-soraさん、こんにちは。
      涙活4人組を見たら、お一人フォローしていない人がいる!ということで急いでフォローさせてもらいました(^^...
      aoi-soraさん、こんにちは。
      涙活4人組を見たら、お一人フォローしていない人がいる!ということで急いでフォローさせてもらいました(^^;)。

      まだまだ見逃しているレビュアーがいるんだ!ということなんですね。

      レビューとしては反則の旅レポート、楽しんでくださりありがとうございます♪こちらこそ、よろしくお願いします。
      2022/06/01
  • ずっと読みたかった若竹さんのデビュー作。不穏な感じとコミカルな感じがいいバランス。〝仕掛け〟深読みしすぎて社内報の内容やら各月のタイトル並びやら疑ったりしたが、パズル的ではなく最後そういう着地するのかと納得。この雰囲気好き。

  • なかなかの読みごたえ。
    表紙のミントグリーン(かな?)のストライプ柄の爽やかなイメージからは、ちょっと想像できない結末へと運ばれていく。

    「匿名作家」による月々の短編小説を読む前に、必ず挿入されている社内報「ルネッサンス」の見出し。ここに伏線が?と目を凝らす。
    連続短編小説の作風は毎月ミステリ。なのに何やら怪談めいたりファンタジーっぽくなった月が出てくる。うん?季節が夏だからか、はたまたここに何かのメッセージが?と勘ぐりたくなる。

    匿名作家からの最後の手紙は不穏さを残したまま読み終えてしまった。真夜中の2時。電話を何度も鳴らすのは誰?もしかして……
    はたして小説に隠された真実は明らかにされるのか。それとも匿名作家の運命もろとも闇に葬り去られるのか。
    じっくり腰を落ち着け読もうとすればするほど、何やら座り心地の悪さにモゾモゾしてしまう。
    雲を掴むようなこのモヤモヤ感。この正体はなんなのか?その答えにわたしは届きそうで届かない。

  • 若竹七海さんのデビュー作だという本書。

    社内報に掲載された、匿名作家による12の短編で構成されています。
    目次を開くと、「ぜひ本文より先に読んでほしい解説」が目に留まったので、仰せの通り解説から読ませて頂きました。
    こちらによると、“短編集の体裁をとっているものの、あとになって一編一編が全体に関わってくるので読み流さないように・・”との事。
    一応、それを肝に銘じて、話の本文は勿論、社内報「ルネッサンス」の目次まで注意して読もうとしたのですが、却って気が散ってしまう為、普通に読むことにした次第です。
    各話、何かしらの“謎”がある事は共通していて、時には“奇譚”のような話もあり、なかなかの読み応えで楽しめました。
    そして、「ちょっと長めの編集後記」で各話の思わぬ構成や繋がりについての考察(推理)が知らされ、さらにラストの「配達された最後の手紙」にて明かされる事情に唸らされます。
    結局、“真相は藪の中”という感じですが、とりあえず、もう一度最初から読み返してみようと思わせる一冊です。

  • 中堅建設会社に勤める若竹七海は社内報の編集長に任ぜられた。その中に短編小説の連載が企画されており、困った若竹は小説を書いている大学の先輩に依頼するも断られ、代わりに匿名の作家を紹介された。

    匿名作家はゼロから創作する事は出来ないが、自分の体験や人伝に聞いた話を小説風にアレンジすることが出来る。これはその匿名作家の1年分の連作短編。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    若竹さんの本は結構読んでいて、皮肉が効いた世界観が好きです。これもかなり皮肉は効いてますが…これまで読んだ若竹作品とは若干異なる。

    柴田よしきさんとか近藤史恵さん、あとミステリーじゃないけど柚木麻子さんの小説は食べ物の描写が上手くて、思わず作ってみたくなり、食べてみたくなる。若竹さんの作品にはそういうものがあまりなかった。あ、御子柴くんは例外ですね。

    ところが、ここに出てくると主人公の匿名作家が作る料理や彼が友人と飲み食いしている場面が出てくると、ついその料理を食べてみたくなる。

    それから、本書には植物の描写が細かく載っていて、その辺も面白い。梨木果歩ほどじゃないにしろ、植物の持つ逸話やドラマは興味深い。この辺も他の若竹作品には見られないかな。

    どうやらこれは若竹さんのデビュー作だったようです。その後の作風と比べて、どことなく女性的で少しだけウェットです。

    個々の物語も面白いのですが、全体通したミステリーが…なかなか

  • 好きな著者だったので。

    懐かしい。
    かつて社内報というものがあった。
    いや、今でもあるのだろうが、
    この社内報がはじまった1990年は奇しくもバブル崩壊がはじまった年、
    経費節減と言う名のもとに発行回数を減らされ、
    環境保護と言う名のもとに紙からネットに変わり、
    個人情報保護と言う名のもとに余計なことを載せないようになった。

    たぶん、何か隠れているんだろうなーと思いながら深く追求せず、
    つらつらと社内報の目次を見ているだけでも楽しかった。
    いかにも、という感じで。
    社内倶楽部へのご招待とか、私の趣味とか、
    我社のひつじ年生まれの女性一挙24人大紹介とか。

    月刊の社内報に掲載されている小説、一年間分のお話。
    桜をめぐる話だがミステリーっぽい「桜嫌い」も面白かったし、
    商店街の野球チームが登場する「あっという間」も面白かった。
    もちろん、社内報全体を含めた最後のオチも。

    「黒後家蜘蛛の会」とか府中の大國魂神社とか桜上水公園とか、
    知っている名前が出て来て楽しい。

  • 「平安時代もそうだったらしい」って知ってるわけないが、「平成の御代に生きていて良かったわ」と思わせられた。
    すなわち、女性の作家めざましい台頭。出るわ出るわ素敵なつわもの作家が。
    若竹七海さんもその一人と見受けた。

    面白い。実に好もしい。
    凝っている。
    入れ子入れ子の箱、箱根寄木細工にありましたよね。私は折り紙で作ったのを知ってますが、箱の中に少し寸法の小さな箱は入っていて、またその中に箱が…と続くもの。
    そんな感じの短編集なんだけど、ああもう、これを話したら種明かしになっちゃう。

    すぐ読めそうな短編集なんだけど、社内報の編集長になった若竹七海さん編集する「ルネッサンス」の目次が12ヶ月分あって、それを私はじっくり見て楽しみましたね。編集っていうものに興味があるのでね。(これは私だけか)
    謎解きのヒントがぎっしりも気に入りましたね。

    若竹七海さんデビュー作。お薦めです。

  • 社内報の編集長に抜擢された「若竹七海」。
    社内報の中で短編ミステリを掲載することになり、学生時代の先輩の知人に依頼することになる。
    1年間12本の短編ミステリをゾクっとしたり、たまにクスッとしながら楽しんでいたら、ラストで二度三度とびっくり!
    思わず初めから読み直した。

    あらゆる所に初めは気付かなかった仕掛けが施されてあり唸ってしまう。
    これが若竹七海さんのデビュー作!
    細部に凝っていて、最後の最後にだめ押しで妙な余韻を残されて…。
    若竹さんの他の作品もますます追ってみたくなった!

  • 31

    おお面白かった~!
    最初の四月の短編が合わなくて全然読み進めれなかったんだけど、そこから怒涛の面白さ!
    ミステリーだったりほっこりだったりいろんな味の短編が12話もあってお得感があるし
    最後の謎解きがゾワワってして面白かった!

    面白いだけで終わるんじゃなくきちんと分析するのがすごいね。
    若竹七海さんの小説初めて読んだけど、あとがきで拙い自分の文章はそのままで文庫化したってあって、ぜんぜん拙くないぞ~って思った。

    面白かった~!
    お気に入りの話を上げていこうとしたけどほぼだったからやめておきます!

    2019.04.28

  • 多分面白かったのだと思う。
    そんなに真剣に読んでいなかったから、七海が最後に推察していく様子も、なんとなくしか伝わってこず。
    でも真剣に読んでいたら、読み応えがあったと思う。
    ーーー
    社内報の編集長に抜擢され、若竹七海の不完全燃焼ぎみなOL生活はどこへやら。慣れぬカメラ片手に月刊『ルネッサンス』創刊に向け、準備おさおさ怠りなく。そこへ、「小説を載せろ」のお達し。プロを頼む予算とてなく社内万歳ともいかず、すまじきものは宮仕えと嘆く間もあらばこそ、大学時代の先輩に泣きついてみれば匿名作家仲介と相成る。かくして月々の物語が誌上を彩り……

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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