心のなかの冷たい何か (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 263
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488417024

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて、嫌な気分になる。
    あぁ、桐野夏生サンのミロシリーズに似ているんだ。
    やけに攻撃的で、自己顕示欲が半端なく強く、精神的余裕がない感じの女性が探偵業を始めるという話をハードボイルドに書くというね。

    プロットが古いのは、実際だいぶ前の作品だから仕方ない。
    でも文章の書き方は楽しめた。
    第1部は、話を複雑に仕組んであって、なおかつ読むのが楽しみなほどサスペンス。そして終わりに話の複雑さに気付き、やられた感を突きつける。その調子で読み始めた第2部で気分は消沈。
    ぐだぐだと探偵業がすすむ話は眠たくなった。
    主人公・若竹さんの人柄に好感もてないせいも多分にあるだろう。



    ( ・_ゝ・)<人の心理は謎だ、というミステリー。

  • 「わたし」こと若竹七海の毒に当てられ、暴走気味の探偵行に若干引きつつも、その辺のイタさをまたしも逆手にとっていて感心することしきりである。そうはいっても奇策を弄して読者を煙に巻くというんではなく、その根っこには直球勝負を望んでいる作家像が見え隠れする。「わたし」の友人で、ロマンス作家でもあるラビのこんな台詞に若竹七海の作家魂をみた気がする。「でも映画や小説や音楽やそんなもののなかからストーリーや状況を使いながらも、もっとなにか本当のことを下敷きにして話ってのは作られていくもんさ」。

  • 第1部の終わりで混乱。
    今まで誰目線で読んでいたのか。
    これは続けてもう1度読むと理解できて面白いのかもしれない。
    ーーー
    失業中のわたしこと若竹七海が旅先で知り合った一ノ瀬妙子。強烈な印象を残した彼女は、不意に電話をよこしてクリスマス・イヴの約束を取りつけたかと思うと、間もなく自殺を図り、植物状態になっているという。悲報に接した折も折、当の妙子から鬼気迫る「手記」が届いた。これは何なのか、彼女の身に何が起こったというのだろう? 真相を求めて、体当たりの探偵行が始まる。

  • 若竹七海、ノンシリーズの初期作品。
    著者ならではの、探偵役のキャラクターがよい。表面はドライでクールな20代半ば以降の女探偵だが、他人とのコミュニケーションに悩み、自分の限界に苛立ち、世の中の理不尽さに憤慨する、つまりいかにも人間らしい内面を持っている。
    淡白になりすぎず、かといってクドクならない絶妙な書き口とこの人物描写によって、少しだけひねってある話をとても良好なエンタメに化かしていると思う。
    昔より、よさが分かるのが嬉しい。人物の造形は特に。
    3+

  •  再読。思っていた以上に薄暗かった……。

     最近のコージー的な若竹の印象が強かったからさ。そういえば初期はこういう系統だったっけな……。いやなんつーかまあ内容は全然覚えてなかったんですけどね。
     こう、救いがないよなぁ。等身大というか、そう簡単にハッピーエンドにはならないと思い知らされるというか、現実的に考えて、すべてが丸く収まるだなんてことがありえるはずもないのよねっていう。
     一部の部分は綺麗に騙されましたよね。どうにもこの「わたし」がなんか印象違うなぁと思ったらそもそも思ってた人物と違ったっていう。ありきたりな手なんだけど綺麗に引っかかった。上手いなぁ。
     いやに男と女の性別に関する記述が多い話だったなという印象。この時代はこれくらいが普通だったのかしら。男だからこう、女はこういうところがある、みたいな。読んでいてさすがにちょっといらっとくる。
     後半の自殺未遂について探っている部分も、ちょっといろいろと発想が飛び過ぎてないか、と。正直、宝石販売をやってたのが一ノ瀬妙子自身だった、とか、想像力逞しすぎやしませんかね。いろいろと強引なところがあるよなぁ。まあ素人探偵の一人称で、論理ガチガチの本格ものじゃないからこれはこれで「味」なのかなと思わなくもない。最終的には面白かった、っていう感想に落ち着くしな。
     毒殺魔の手記の部分がすごく好きです。若竹七海、こういうマッドっぽいのも書けたんだなぁ、と改めて。
     会話のやりとりとかところどころ笑える部分もあって、ああこのあたりは昔から変わってないなって思いました。
     抜粋。主人公のセリフ。


    「ねえ、リキ。おチンさまって、いったいなあに」


     聞いてやるなよそんなことをよww

  • 『ぼくのミステリな日常』の続編的?作品、主人公はリストラされたOL若竹七海。
    文庫化に15年もかかるとは!
    あの時代の推理小説なので、今は当たり前の小物が出てきません(携帯とかメールとか。
    あとがきで著者の若竹さんが書いているけれど、「パソコンが立ち上がるまでに、気絶するぐらい時間がかかった」そんな時代のミステリ。
    その頃はまだ子供だったけど、懐かしい空気です。

    若竹七海さんのシリーズでは他に、葉村晶が探偵役の物もおもしろいです。
    切れ味抜群。

  • 時代が小説に追いついた。
    フィクションだからこそ、面白かったであろうこの作品。類似の犯罪が今や普通に起きているこの現実。出版当時に読んでみたかった。
    とはいうものの、第一部は「わたし」のミスリードにすっかりハマり、思わずページを遡って見直してしまった。第一部だけなら★4第二部はやや失速気味。

  • ちょっと読みにくさはあった(;^ω^)ものの、前半はさくっと読めたし、途中で「えっ!?どゆこと!?」ってなる部分もあって、面白かった(*^ω^*)
    後半から読みにくさが出てきたかな(﹡•﹏•﹡)
    ラストは賛否両論だろうけど、主人公の取った選択肢には賛同かな₍₍( ´ ᵕ ` *)⁾⁾

  • 1部の終わりから2部の最初が全然理解できなくて、難解な小説だなあ思ってしまい、ミステリー読みにしては頭が凝り固まっているのが情けなってしまった。

  • 「手記」の内容と作中で実際に起きたこととが最初の方では明確に区別されていなかったので、途中で登場人物の把握がしづらかった。
    主人公は真実を知ろうと突き進む過程で人の暗部にさらされ、自分も傷ついてしまう。読んでいる私も感傷的になってしまった。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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