踊るジョーカー (名探偵音野順の事件簿 ) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 673
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488419110

感想・レビュー・書評

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  • 北山氏の著作では2冊目、短編集。彼の創造した探偵「音野順の事件簿シリーズ」としてシリーズ化されている。

    氏の作風として物理トリックにこだわるところは短編も同じであり、その都度ニヤリとしてしまう。それより今作の大きな特徴は作品の構成そのものにあると思う。

    ひきこもりの名探偵音野順が探偵で、ワトソン役は友人であり彼の手がけた事件を小説にしている作家白瀬である。探偵とワトソン役のキャラ造詣には一工夫あり、過去の類型を見ないよう努力はしているのだろう。まぁ、ラノベ的であり、二人のやりとり、さらに岩飛警部などもからみ、ユーモアの点でも楽しめる。

    しかしながら探偵の様式美に徹底的にこだわった作風であることが殊に嬉しく思えた読後感だった。様式美は解説で言及されており、作風を一言で表すなら正鵠を射ている。

    事件が起きて不可思議があって、探偵登場、手がかりが発見、探偵の推理完了、一同揃ったところで種あかし、犯人確保、という一連の流れが共通して存在する。そこに氏お得意の物理トリックが絡む。お約束だけど飽きない、「寅さん」の世界がそこにある。お気楽に読めながらもクセになる味が確かにある良品であった。

  • まず各章のタイトルセンスが素晴らしいです。「踊るジョーカー」に「時間泥棒」。ファンシーでキュートな章題に反して実は至極直截的だったり。読み終わってからその意味に気付き、はっとさせられます。
    トランプを利用することに二重の意味を持たせている「踊る〜」、犯罪における手段と目的が逆転した「見えないダイイング・メッセージ」、まさしくバレンタインに相応しい真相の「毒入りバレンタイン・チョコ」事件など、独創性のある発想も魅力です。

    音野の最弱探偵っぷりも愉しいですが、白瀬も普通人のフリして意外とぶっ飛んでますよね? 面白すぎる。

  • 面白くなかった。新年早々残念……。
    主人公のキャラ設定に惹かれたけど、
    それが逆に面白くなくしてる。山場もオチもない。トリックも読者に考えさせるような仕組みでもなし。だからと言って盛り上がる謎解きがあるわけでもなし。犯人もすぐわかる。まぁ、これは、犯人はこの人だからーと読者に読みすすませようという作家の作戦なのかもしれないが、トリック同様もりあがるわけでもないので、逆に意気消沈

  • 私的には、イマイチです。

    探偵役がここまで気弱である必要性も感じられないし、だからといって、そのキャラ設定が生かされてるかというと、そうでもない。ここまで気弱にするのなら、「気弱であるからこそのナニカ」とか、または「普段の気弱とのギャップ」とか、物語的な「気弱の必然性」があってほしいと思う。

    ワトソン役が、気弱探偵役を牽引するわけだけど、この人も、気弱探偵をただ叱咤激励し、時には持ち上げ、本来探偵が述べるべきセリフを横から述べるだけのように見えてしまいます。

    巻末にあるように、ギャップのあるコンビってのは、様式美なんですねぇ。

    トリックは、推理クイズや推理パズル的。リアリティはないけれど、意外性とかあって、おもしろいです。読み口も軽くて、殺人事件を扱っていてもサラッとした印象。軽いものを楽しみたいときにはぴったりかも。

    ストーリー展開や物語性を重視するタイプの人には向かないけれど、探偵役のキャラクター性を楽しめる方には良いと思うので、ドラマ化したらおもしろいのでは?

  • 仕事中に、帰りたい、できない、無理などと呟く探偵。素晴らしいw
    最後の解説を読んでなるほど。
    ミステリーにおいて、探偵がコンビであることは様式美なのだなあと。
    いいコンビを作れてるこの物語はそこでまず成功していると言えるのかも。とても面白かった。

  • 引きこもり探偵って最近流行ってるのか…(食傷)とあまり期待せずに読んだら、あら…面白いじゃないの^^←

    既読の某引きこもり探偵は非常に相性が悪かったのですが、「引きこもりたい探偵と構いたがりワトソン」という似たような設定の今作を読んで、何故あれほど肌に合わなかったか改めて発見しました。既読の方は内省の度が過ぎる、と感じたんですね、多分。対して本作は、人間描写はサラッと軽口。嫌みがない。

    「ううう」とか唸るいい年の男なんてイヤだ、とか普通なら一蹴して終わりなんですが、今作は装丁の可愛らしい絵柄が、そんなひねくれ読者の心理を優しく巧妙に「いや待てよ…アリだなコレ」な方向に操作してくれます^^

    肝心要のミステリは……無理があるな〜^^なトリック目白押しです。でも、何故でしょう、許せちゃうんですね〜^^私恒例の「トリックは現実味なくても面白くてなんぼ」ルールが遺憾なく発動された短編集でした^^

    これは、作者の文章と装丁の相乗効果で、良い意味でハードルが下がったお陰もあるかも。狙ってたら、スゴい。



    ●踊るジョーカー…地下室の二重密室で発見された死体。被害者の腹部を貫く凶器のナイフは、同時に大量のトランプを貫いていた。密室の謎と、かさばるナイフの隠し場所の意外な盲点。

    ●時間泥棒…高級美術品には見向きもせず、時計ばかりを盗んでいく犯人の意図とは。

    ●見えないダイイング・メッセージ…何者かに殺害された社長が死の間際に残したのは、カメラで撮った室内風景の写真だった。状況から、金庫の暗証番号を示唆しているものと思われたが…。名探偵の兄、登場編。

    ●毒入りバレンタイン・チョコ…32個のチョコのうち一つだけに混入された毒は、無差別殺人を目論んだものだったのか。名探偵のライバル、登場編。

    ●ゆきだるまが殺しにやってくる…富豪の令嬢と結婚する条件は、完璧なゆきだるまを作ること!? 遭難を免れた名探偵はひょんなことからこのレースに巻き込まれるが、殺人事件が発生してしまう。犯人はゆきだるま以外に考えられない条件下、名探偵の謎解きが始まる

  • 登場人物たちも事件も魅力的です。
    各編のタイトルは有名作品をもじっているのかな?
    気軽に楽しく、笑いながら読めました。

    【踊るジョーカー】お弁当持参の探偵がかわいい。密室のトリックの他にももう一捻りあり、ちょっとばかばかしいのが楽しい。トランプの装飾品も派手でいいです。
    【時間泥棒】謎はとても魅力的。真相はまぁ、特筆することもないですが、やっぱりキャラクターが良くておもしろいです。
    【見えないダイイング・メッセージ】ダイイング・メッセージもおもしろかったですが、そこからさらに展開があったのも良かったです。
    【毒入りバレンタイン・チョコ】トリックは無視がありそう。でもとってもこわい犯人です。こんなにリスクと手間隙かけて、この動機か…。
    【ゆきだるまが殺しにやってくる】凶器を持ったゆきだるま、怖くていいです。最後にこんな仕掛けが!というところからのオチに笑いました。

  • 気弱な探偵・音野順と、推理作家の助手・白瀬が事件を解決する短編集


    「踊るジョーカー」
    トランプがバラまかれた地下密室で殺人事件が発生
    被害者はトランプの束が刺さった短剣で殺されていた

    「時間泥棒」
    高価な美術品を持つ姉弟が住む家から
    アナログ時計だけが盗まれた理由とは

    「見えないダイイング・メッセージ」
    被害者が死の直前に撮ったポラロイド写真を手がかりに
    金庫の暗証番号を解いてほしいと依頼を受ける

    「毒入りバレンタイン・チョコ」
    複数の人物が食べていたチョコの中から
    毒入りチョコを被害者ただ一人に確実に食べさせた方法とは

    「ゆきだるまが殺しにやってくる」
    雪山の豪邸で花婿候補者が外にあった雪だるまの前で殺害される
    凶器のバールは雪だるまの手にあり死体の周りには足跡がない雪密室だった


    <感想>
    「謎がすべて解けるまで探偵は推理を話さない」という探偵ものの”お約束”を
    気弱で臆病な性格だから結論が出るまで話さないという人物像にしているのが
    よくいる探偵と真逆の性格でありシックリくる設定でとても良かった。
    短編なので無駄なくサクサク読めて面白かったし
    探偵カワイイし、助手と刑事もナイスキャラなので次作が楽しみ。

  • とにかく楽しいw 創元推理文庫は、日本人作家の作品でも奥付には英語のタイトルが付されていて、本作は“THE ADVENTURE OF THE WEEKEST DETECTIVE” 笑えるけど、音野順そのまんま。
    ワトソン役の推理作家である白瀬や敵役!?の岩飛警部に支えられ、一生懸命、名探偵やってる姿が微笑ましい。
    それでいて、一つ一つの事件の雰囲気は、ミステリーに引き込まれ始めた頃に読み漁った本格の匂いがプンプン。
    まるでマイクロフトのような、安楽椅子探偵の才能抜群的な兄がいたりといった小技も楽しい、本当に楽しいづくしの本作!
    こんな本に出会えて良かったと思える一冊!求む、続編の早急な文庫化ww

  • ■『M-1グランプリ2019』、むちゃくちゃ面白かった! 「かまいたち」の、自分の非を1mmも認めようとしない山内。「ペコパ」の、ツッこみを寸止めして逆に優しくボケを受けとめる松陰寺、そして「ミルクボーイ」の、全肯定と全否定を延々繰りかえす内海。もはや、”うまい”とか当たり前で、何か、より強烈で斬新な ”血の通ったキャラクター”を創造した方が勝ち、みたいに思えた。
    ■ミステリー小説も新しいトリックはもはや当たり前。コンビ漫才師を彷彿とさせるホームズ‐ワトソン役をどんな魅力的なキャラクター設定するかが読者からすれば、その作品にどれだけ入り込めるか、次回作にどれだけ期待を寄せられるか、に大きく関わっているのではないだろうか。
    ■本書『踊るジョーカー』では、ホームズ役が気弱で探偵業には全く乗り気でない草食系男子、音野くん。ワトソン役がそんな音野くんの保護者兼ミステリー作家の「私」、白瀬。うん、確かに新しいキャラクター設定ではある。が、山内、松陰寺そして内海の、あぜんとするようなキャラの力強さには遠く及ばない。この程度では、『M(ミステリー)-1』予選落ち必至なのだ。

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビューする。代表作として、デビュー作に端を発する『『瑠璃城』殺人事件』(講談社ノベルス)などの一連の<城シリーズ>などがある。

「2020年 『ステイホームの密室殺人 1 コロナ時代のミステリー小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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