クララ殺し (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488420154

作品紹介・あらすじ

大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向うでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきた……。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る冷酷な殺人ゲーム!

感想・レビュー・書評

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  • アリス殺しより混乱しながら読んだ。相変わらず揚げ足の取り合いのような会話だった。
    ホフマン宇宙の人達の人物像があまりイメージ出来なかった。最後のスキュデリの推理はもっと混乱して、"くらら"だか"クララ"だか訳分かんなくなった…笑
    わちゃわちゃになりながら、ゆっくりじっくりと読んだ。
    次はオズの魔法使いか〜読もうか迷うな。

  • ここの所不思議の国の夢ばかり見ている大学院生の井森健は、ある晩夢の中で、いつもと違う緑豊かな山の中へ迷い込む。そこにはクララと名乗る車いすの美少女がいた。
    翌朝、大学へ向かった井森は、校門前でクララと同じ姿の少女くららと出会う。彼女は何者かに命を狙われていると言い、井森に助力を求めるが……。


    不思議の国の住人が殺されていくミステリ、『アリス殺し』の続編にあたる一冊。
    「クララ」は何の物語の登場人物なのか考えていたのですが、ドイツの作家エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンの作品群がモチーフになっているようです。
    わたしは『くるみ割り人形』のしかもあらすじ位しか知らなかったのですが、他の作品も知っているときっとより楽しめると思います。

    前作に引き続き、現実世界とどこかリンクしている不思議な世界で起こる事件。夢の中の世界(=ホフマン宇宙)に迷い込んだの蜥蜴のビル、ビルと夢で繋がっている大学院生の井森が、現実と夢の世界の両方から謎を解き明かそうとします。

    『アリス殺し』と比べ、ストーリーは少し複雑です。登場人物も多いですし、ホフマン宇宙には動いてしゃべる人形がいたり、記憶が改ざんできる人間がいたり。現実とホフマン宇宙でそれぞれ同じ名前の人がいたりするので、どっちの世界のだれの話をしているのか混乱しがちでした。
    それでも、他の作品にはない世界観と作風なので、ファンタジー(SF?)的なミステリを求めている方にとってはやっぱり唯一無二。

    なお、同作者さんの他の作品に出ているキャラクターなんかも出てきますので、他の作品も多く読んでいれば読んでいるほどより面白いと思います。

  • だいぶ前に「アリス殺し」を読んで、そのビミョウな面白さに次も読もうと思っていたのだけど、なかなか中古本屋で見当たらず、ようやくこの前見つけることが出来た。
    前の感想に『続編にも井森(ビル)は出てくるようだけど、どういうことになってるんだろうなぁ?』と書いたのだけど、「アリス殺し」より前の話ってことね、普通に出て来たな。

    しかし、前作はまあまあ楽しめたと思っていたが、次々と変わった人物が出て来るし、ホフマン宇宙と地球の間のアーヴァタールの関係がややこしいし、話がどこに向かっているのか仕事に疲れた頭では全く話が繋がらず、途中で何回か諦めかけた。最後まで行けたのは、「大きな森の小さな密室」で出会っていた進藤礼都や徳さんのお蔭かも。
    自分の頭が悪くて理解できずに星をつけるのは申し訳ないが、でも★★。

    最後についていた「E.T.A.ホフマン作品小解題」を先に読んでいたほうが良かったな。

  • 前作読んでたのでこの世界の仕組みはなんとなく理解してる(といっても未読だった場合と比べたら1ミリ程度の知識)。
    でもここは前作と違うと言われたら…そうなんだね!とビルみたいに思ってしまう。
    話してるとイライラするだろうけど、ビルのキャラが良い。頭が足りないように見えて鋭く本質をついてくる。

    解説まで読み終わり、ホフマンの物語をしっかり読んでおきたいと思った。
    このシリーズはめちゃくちゃで、でもしっかり繋がってて…。今回も引き込まれてしまった。
    決めた。このシリーズは続けて読む。

  • メルヘン殺し第二弾はクララの住むホフマン宇宙において地球にアーヴァタールを持つ人たちが引き起こすミステリ。不思議の国の蜥蜴ビルはなぜか巻き込まれて...

    トリックや真祖には驚きましたが、全体的にアリスの方が好きです*ˊᵕˋ*
    途中アーヴァタールがこんがらがってしまい、整理し直しながら読みました。

  • “クララ”と言われて、ついハイジに出てくる少女を思い浮かべていたが…違った。ホフマン物語が今回関係するらしく、1回ひるむ…。でも、読むのを諦めなくてよかった。一苦労するがストーリーが巧みなので、グイグイ引き込まれ、アドレナリンが大放出。このシリーズの醍醐味である、「彼(彼女)は誰のアーヴァタールなのか?」の謎解きの面白さは健在。残虐なのにコミカル。グロイのに読んでしまう吸引力。「中毒性がある」という言葉が、一番しっくりくる本だなと痛感した。

  • 前作に比べ、ホフマン宇宙の登場人物が多くちょっとしか出ない人もいるため、誰が誰だかこんがらがりがちです・・・。
    ビルは段々可愛く見えてきました。

    「名前ならあるよ。『ビル』っていうんだよ、人さん」

  • 前作の方がインパクトはあったものの、やはりこのシリーズは面白い。「くるみ割り人形」以外の元ネタがわからなかったので、ホフマン宇宙がわかりにくかった。ホラーが苦手な身としては、今作はグロが控えめなのでとっつきやすかった。井森がビルのキャラに近づいたような気もして少し笑えた。

  • クララとあったので、『アルプスの少女ハイジ』モチーフかと楽しみに読んでみた。
    実際にはそれだけではない、様々な作品が登場してくる。
    前作に引き続き、相変わらずの作品で読み疲れたが
    だんだんこの不思議な作風を楽しく感じられるようになってきた。
    次作も読みたいと思うくらいである。

  • 前作「アリス殺し」が面白かったのと、ビル/井森くんが主役だったので読んだ。ハイジがモチーフになっているのかと思いきや、ホフマンという作家の作品がモチーフらしい。元ネタを知らなくても読めたけど、知っている方がもっと楽しめるかも。けっこう複雑な謎解きだったので正直ちゃんと理解していない。でも世界観が好きなのとビルが可愛いので続編も読もうと思う。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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