人魚は空に還る (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 616
感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488421113

作品紹介・あらすじ

富豪の夫人の元に売られてゆくことが決まった浅草の見世物小屋の人魚が、最後に口にした願いは観覧車へ乗ることだった。だが客車が頂上に辿りついたとき、人魚は泡となって消えてしまい-。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きる彼らの交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれる作品集第一弾。表題作を含む五話収録。

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌記者と絵師が、謎を解決する話。

    シリーズ1作目

  • 三木笙子さんの本は「竜の雨降る探偵社」に続いて2冊目。明治時代の東京を舞台に、雑誌記者と売れっ子画家のコンビが謎を解く短編集。

    ミキモトの真珠、人魚と小川未明、浮世絵。美しいものが美しく描かれる後味がよいミステリー。
    竜の雨降る〜もそうだったが、耽美でBL味がある。美形万歳。

  • 一言で言うとキレイな作品
    時代背景も江戸時代から明治に変わる難しい時代

    結構、コメントを起こすのも難しい作品かも…

  • 無理やりワトソン役を買って出る礼に探偵役を押し付けられる(まぁ、ついつい謎解きをしてしまうからでもあるけれど)高広のキャラ立て゛バランス良くて楽しい。
    物語は明治末期という時代背景に合って少しだけ翳ってて悲しい。でも読後感がさらっとして、優しい。

  • 知識と伝手とたゆまぬ情報収集と信頼を取り得る美貌と名声が揃ってる二人が成り行きで身の回りの事件を解決してゆくお話。並び立ててみるとなかなかにチートなスペックだと思う。
    美貌の天才画家に振り回される主人公という紹介を読んで、どんな破天荒な造形のキャラが出てくるかと思いきや、意外と人間味にあふれていて社交的。主人公の実直な人柄も相俟って大変好感の持てるコンビだった。腰が低く誠実な探偵役と面白がってけしかける助手役という対比も面白い。
    話の内容も地に足がついていて、大きな起伏はないもののそれが良い、という雰囲気。今ではない時代を感じさせる空気感の表現もよくて、落ち着いて読み進められる。

    一番好きなのはやはり表題作の人魚のお話。文章から浮かび上がる情景が美しい。
    怪盗ロータスが気になるので続きも読みたい。

  • なめらかで綺麗なミステリィ。
    比較的ステロタイプなキャラクタで、王道。
    しかし、その王道こそが、魅力でもある。
    王道を王道たらしめているものは、やはり、才能であるのだから。
    能力の伴わない「王道」は、陳腐な紛い物でしかない、と思う。
    この作品は、きちんとした「王道」。

    なんと言っても後味が良い。
    すっきり、さっぱり、さらさら。なんとも爽やか。

  • 表題作「人魚は空に還る」の最後、小川が筆名を明かすところでアッと膝を打った。ただ「赤い蝋燭と人魚」は笑顔になりようのない物語だったと記憶しているのだが。

    すっきりした文章で、全体が穏やかにまとまっている。ミステリを期待すると今ひとつかもしれない。系統としては坂木司さんの作品に近いが、やや及ばない印象。ホームズ役とワトソン役の逆転がキモなので、その新鮮さがどれだけ読ませるか。今後に期待。

  • これは天才絵師の安楽椅子探偵じゃないところがいい。
    時代も明治なら、人付き合いの距離感とか善意なんかが不自然じゃなく受け入れられて、無理矢理な日常の謎ではなくちゃんと事件なところとか、短編でだらだらしていない感じも好みで面白かった。
    続きも読みたい。

  • キャラ設定が入り込みづらい感じ。

  • 明治時代の帝都東京で不思議な事件に巻き込まれるお人好しの雑誌記者と美貌の天才絵師。絵師が探偵役かと思いきや、お人好しで優しい記者が探偵役(しかも武芸にも通じているらしいという)というギャップ。殺伐とした事件ではなく、ちょっと不思議な幻想的な出来事が題材で、人情味があって優しい雰囲気に仕上がっている。事件が当時の時勢を反映しているのも面白い。
    切なく幻想的な雰囲気の第三話「人魚は空に還る」と、鮮やかな怪盗の手口を通して被害者側の行動の謎が明かされる第四話「怪盗ロータス」が好みです。
    読み口は軽めで、登場人物に嫌味がなく読後感が非常に爽やか。
    続編も読みたい。

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著者プロフィール

1975年生まれ。秋田県出身。2008年、第2回ミステリーズ!新人賞最終候補作となった短編を改稿、連作化した短編集『人魚は空に還る』(東京創元社)でデビュー。他の著書に『クラーク巴里探偵録』(幻冬舎)、『百年の記憶 哀しみを刻む石』(講談社)などがある。

「2019年 『赤レンガの御庭番』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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