人魚は空に還る (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488421113

感想・レビュー・書評

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  • 時は明治。司法大臣を父にもつ新聞記者・高広と、美しいが高飛車で変わり者の絵師・礼が織り成す帝都探偵奇譚。
    ミステリーというほどではない謎解きものだけれど、明治という時代を美しく情景的に描写してある文章にひきこまれます。

    最初は設定からして、礼がホームズ役、高広がワトソン役かと思っていたら、逆だというのにはちょっとビックリした。
    礼はノリノリで話を聞いてくびをつっこむのに推理は高広にまかせている自称ワトソンだし、高広は自分に自信がないせいか推理をするにも弱気だしそれを告げるときもかなり弱々しい。でもそれが、よくある推理モノでホームズ役とワトソン役がいるコンビの話とはまた違って、この作者のふんわりとした描写に合っていてよかったと思う。

    謎はあまり深くない話の短編集だけれど、今後はロータスというエキセントリックな存在との対決でドキドキ感も味わえるのではないかしら。

  •  いいコンビがここにもいる…

     時代設定もまたいいよね。

  • 三木笙子さんの本は「竜の雨降る探偵社」に続いて2冊目。明治時代の東京を舞台に、雑誌記者と売れっ子画家のコンビが謎を解く短編集。

    ミキモトの真珠、人魚と小川未明、浮世絵。美しいものが美しく描かれる後味がよいミステリー。
    竜の雨降る〜もそうだったが、耽美でBL味がある。美形万歳。

  • 一言で言うとキレイな作品
    時代背景も江戸時代から明治に変わる難しい時代

    結構、コメントを起こすのも難しい作品かも…

  • どうか、この心を、誰かがわかってくれますように。

    超絶美形の天才絵師・有村礼と、雑誌記者・里見高広の“帝都探偵絵図”シリーズ第一作。礼がこよなく愛するホームズの物語を翻訳する、それが高広の役割。そして、二人が出会った謎を、優しく解き明かす高広。ちょっと不思議なホームズとワトソンの物語。短編集で、どの物語も、切なさと優しさに満ちている。ままならぬ浮世で、それでも優しく、誠実に生きようとする、不器用な切なさに。

    「人魚は空に還る」浅草で話題の興業「蝋燭座」の出し物の目玉は人魚。しかし、人魚を買い取る人が現れ――。空に還った人魚の秘密とは。さりげなく小川未明が登場する表題作。真相を見抜いた高広は、しかしその罪を問おうとはしない。彼が真相を語るのは、礼のため。

  • 20150728 読了

  • なんとなく衝動買い。全体読みやすく面白いと思います

    このシリーズは初めてだったので油断していましたが、少しキャラクターが綺麗すぎると申しますか漫画的な空気感なのが個人的には少し苦手でした。

  • ホームズ、ルパン繋がりで読み直し。
    ただどうも、1話目の落ちのつっこみが気になってしまって…。

  • 幻想的な事件を廻る、お人好しなホームズ・高広(雑誌記者)と美形ワトソン・礼(売れっ子天才絵師)。一話完結短編集。
    最初、美形な方がホームズでお人好しの方がワトソンかと思ったけど、違いました。
    ちゃんとその理由も、文庫版の書き下ろしで説明されているので、読むなら文庫がお薦め。

    全体的に題材が綺麗で幻想的だと思いました。舞台が明治時代というのも相まって、良い雰囲気を醸し出しています。私は「人魚は空に還る」と「点灯人」が好き。特に「人魚~」の方はトリックや内容が気になって夢中になって読みました。

    p114〈『じゃが、美しいものは美しいから価値があるのではないぞ。美しいものに接した人間が、勇気づけられ、正しい心を持てるから価値があるんじゃ。だがそれをいちいち説明しておると面倒じゃから、簡単に「綺麗なものはよい」と言っておるのだろうな』〉

    この小説内では特に「美しいものを大切にする」ということを意識している印象を受けました。礼の絵や容姿は何かと美しいと言われるし、各章でも何かしら「美しいもの」が注目され、それについて語ることがあったので。

    主役コンビが付かづ離れず(しかし離れる事を心配しつつ)展開してますのでそういう人物関係が好きな人も楽しめるのでは。

  • 明治40年代の帝都東京、雑誌記者と天才絵師が数々の謎を解き明かす連作短編集。

    クールビューティの天才と心優しい凡人のコンビであるならば、天才が探偵役、凡人が記述者役になりがちであるが、今作は「あえて」凡人を探偵役にしている。
    だが、その代わりに、あまり天才が機能していないようにも思える。

    表題作で、人魚が空へ≪還る≫景色は、本当に美しかった。

著者プロフィール

1975年生まれ。秋田県出身。2008年、第2回ミステリーズ!新人賞最終候補作となった短編を改稿、連作化した短編集『人魚は空に還る』(東京創元社)でデビュー。他の著書に『クラーク巴里探偵録』(幻冬舎)、『百年の記憶 哀しみを刻む石』(講談社)などがある。

「2019年 『赤レンガの御庭番』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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