文豪たちの怪しい宴 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 301
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488422059

作品紹介・あらすじ

討論会からの帰り道、ふと立ち寄ったバー〈スリーバレー〉。そこでの女性バーテンダーとの会話から、彼女が日ごろから感じていた夏目漱石の『こころ』に関する疑問点を論議する羽目に。文学部教授である私が、こんな場末のバーで講義することになるとは。しかも、途中からやってきた宮田という男は、あろうことか『こころ』を○×小説と断言したことで議論は白熱し……。さらに太宰治『走れメロス』、宮澤賢治『銀河鉄道の夜』、芥川龍之介『藪の中』のあれやこれやと、“鯨流”文学談義で贈る、文庫創刊60周年書き下ろし最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて鯨さんの作品を読んだのでまだよく作風がわからないのですが、面白かった。軽い読み物なんですが、文芸作品が題材になっていると俄然興味が湧きます。古典(もはや古典でしょう)が苦手でもさわりに触れられる満足感があるんじゃないかなと思う。実際また読もうかなって思えたし、これシリーズになっているといいんだけど。『藪の中』がとりあげられていたのでなぜかたかまりました。

  • 日本文学×新解釈=新視点!な1冊。

    大学時代、日本文学科で数々有名な作品を読んで考察をしてきた身としては、日本文学を少し王道から逸れた見方をすることで生まれた新解釈が面白い1冊でした。

    さらに、突拍子もない解釈を無理やり進めるのではなく、本文の中の一説や文豪自身の背景などを引き合いに出しながら順を追ってロジックを組み立てていく様にページを捲る手が止まりませんでした。

    個人的には「走れメロス」の回が面白かったです。中学で必ず触れる作品ながらも話が進む事に「確かにそういえば!」と思わされる箇所が随所にありました。

    続編も機会があれば読もうと思います。

  • 「こころ」はクライムノベル。
    では犯人は?その動機は?なぜ一人だけ名前があるのか?
    収録作の中ではこれが一番面白かった。
    「銀河鉄道の夜」は前々から現実で衝撃の事実を知った主人公があっけなく気持ちを切り替えて家路を急ぐのが不思議に思っていたのでそこを突っ込んでほしかった。

  • 登録前

    子どもの頃に読んだ桜川東子シリーズが面白すぎて期待をしすぎてしまった感が否めない。
    面白いことは面白かったけど桜川東子シリーズを読んでしまうと個人的に星5までは付け難い。

  • 「邪馬台国はどこですか」が面白すぎて、あの邪馬台国をもう一度、と思いながら鯨氏の著作を読んでいる。
    今回は、邪馬台国はどこですかの舞台であるスリーバレーと宮田一郎が登場するということで、続編の「金閣寺は燃えているか」と併せて購入してしまった。


    基本的に、一つの疑問から掘り下げられるか、という作り方をしているのだろうと思われる。

    第1話 「こころ」:先生の遺書が、遺書としては長すぎる。先生以外が書いたのではないか?

    第2話 「走れメロス」:妹の結婚式は本当は半年後に予定されていたのに、城に戻るために翌日結婚式を挙げさせた。あまりにも現実離れしている。

    第3話 「銀河鉄道の夜」:?何が着想の大元なのかもわからない。あえて挙げるなら「虔十公園林」か?しかし、これは「銀河鉄道の夜」の作中ですらない。

    第4話: 「藪の中」:真砂だけ検非違使への供述ではなく、清水での独白である。

    第4話は、ミステリ作家の本領発揮かとも思われるが、それでも邪馬台国には及ばない

    もっとも、これら元となった名作を読んでみよう、読み返してみようと思えるのは良いことだと思う。

  • 有名文学にこんな一面が?たら思うような説が盛り沢山。自分が無知なだけだけど、こんな読み方がどのくらいされているのだろう。鯨作品では、バーと談義の相性が良すぎる。バーテンダーのノリがいいことと、疑問が的を得ていることも。こういう視点でもう一度4作品を読むと、読みやすくなったり印象が変わったりして楽しいだろうなー。 『こころ』が百合小説って!と思ったけど、宮田説を聞いていると、そうかも…って思ってしまう。 これは作者の考え?凄いです。 鯨作品、読み返そう。『走れメロス』と『銀河鉄道な夜』、特に、『藪の中』!

  • 『邪馬台国はどこですか?』シリーズと同じバー「スリーバレー」を舞台に、有名な文学作品に新たな解釈が加えられる。

    『こころ』は百合小説、『走れメロス』はセリヌンティウスが見た夢、『銀河鉄道の夜』は健司と父親の物語、『藪の中』は犯人が特定できる。

    バーテンダーは松永に代わり、『歴史はバーで作られる』のミサキに交代。

    急角度から切り込んでくる宮田の新説は面白い。しかし、相手の文学者で語り手でもある曽根原は居丈高で、端々にミサキを意識した心情をつぶやくのは余計。
    (地の文が中立のものと曽根原のものとが入れ替わりながら物語が進む)

  • それぞれの捉え方。それぞれの解釈。いろいろあって面白い。

  • 首を傾げる部分はあったが(特にメロスと銀河鉄道の夜)面白かった
    歴史ものと違って文学は読んだことがあるとどうしても一家言持ってしまうところがあるので「そうかな〜…」と思いやすいかも
    漱石のこころは百合小説である説が1番好き

  • 久しぶりに鯨先生の本を読みました。読みやすく面白いので最後まで一気読みでした。一話目の落ちはこれが正解なのではと思わせるもので満足でした。

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著者プロフィール

鯨統一郎
一九九八年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。大胆な歴史解釈から、日本の常識を覆す独自の作品が話題を呼ぶ。以来、歴史だけではなく幅広い題材を用いて、次々と推理小説を発表している。著書に「喫茶〈ひとつぶの涙〉事件簿」シリーズ、「ハウスワーク代行・亜美の日記」シリーズ、「女子大生桜川東子の推理」シリーズ、「歴女美人探偵アルキメデス」シリーズ、『タイムメール』『女子大生つぐみと古事記の謎』『作家で十年いきのびる方法』など多数。

「2022年 『カルトからの大脱出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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