金閣寺は燃えているか?: 文豪たちの怪しい宴 (創元推理文庫 M く 3-6)

著者 :
  • 東京創元社
3.08
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本棚登録 : 118
感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488422066

作品紹介・あらすじ

大学教授の曽根原は、ふと気づくとバー〈スリーバレー〉の前に足が向いている。女性バーテンダー・ミサキの魅力なのか、文学談義のせいなのかは分からない。ある晩、ミサキが質問を繰り出したのは、川端康成の『雪国』についてだった。『雪国』はミステリでなはいか、というミサキの疑問に、途中から入店してきた宮田が珍妙な回答を話し始めて……。さらに、田山花袋『蒲団』、梶尾基次郎『檸檬』、三島由紀夫『金閣寺』と日本文学界の名作の新解釈で贈る、鯨統一郎最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 文豪たちの怪しい宴
    邪馬台国のスリーリバー、歴史はバーでつくられるのミサキが話題にゆかりの酒とツマミを用意して、文学談義をエンジョイするというストーリー。鯨本の突拍子なさが楽しいところだが、そんなに突拍子なくもないのが、ちょっと寂しいところだが、短くてちょっと昼飯時にながら読みするのに良い感じだった。
    自分の考えと、同じ路線か違う路線かとかはともかく、一つの文学の楽しみ方だと思う。
    時代は変わるよどこまでも〜〜。
    川端康成〜雪国にかける橋
    田山花袋〜欲望という名の蒲団
    梶井基次郎〜時計仕掛けのレモン
    三島由紀夫〜金閣寺は燃えているか?
     田山花袋の『蒲団』をラノベの先駆としているのが面白かった。さらに各有名文学作品をラノベ風タイトルでクイズにするところとか、そのままゲームに出来そう。あと、
    p70
    ”「上方で使われていた掛け布団が関東に普及したのは江戸も後期になってからだ。『蒲団』で描かれた明治時代の後期にも関東では掻巻が残っていたんだろうね。」”
    私の故郷(関西)では掻巻というのはない。実際文献などでは知っていたが、実際使われているものだという認識はなかった。新潟に越してきて、普通に寝具コーナーで今も売られているのを教えてもらい、それは是非とも使わねば!と、嬉々として購入した。以来、愛用している。今では掻巻ファンとなり、色々なマテリアルの掻巻を3種類使い分けている。本書では明治の後期にも関東では残っているなどというセリフが見られるが、令和の現在でも、関東にちゃんと残っているのを声を大にして言いたい。
    というわけで、レビュー的には金閣寺に関係ないことばっかり書きました(笑)。

  • 川端康成「雪国」
    田山花袋「布団」
    梶井基次郎「檸檬」
    三島由紀夫「金閣寺」
    どれも知っているけど、深く見解を持ってこなくて、自分て浅いなーって思い知らされる一冊。
    ここまで議論できると楽しかったり悔しかったり新発見があったり…
    急に大学時代の先生が出てきたのは驚き。
    著者は色んなこと考えてるんだなー
    いつも思っても見なかったこと言い出す宮田が面白い。頭は柔らかい方が得。

  • 『文豪たちの怪しい宴』の続編。前作と同じスタイルで、宮田の切り口は面白いが、やはり曽根原の心の声が鬱陶しい。

    今回のテーマは四つ。
    川端康成『雪国』は怪談。
    田山花袋『蒲団』はラノベのはしり。
    梶井基次郎『檸檬』は文壇デビューへの確信。
    三島由紀夫『金閣寺』はクーデターの予告書で、自決は『金閣寺』を完成させるためのパフォーマンスだった。

  • 川端康成「雪国」
    田山花袋「布団」
    梶井基次郎「檸檬」
    三島由紀夫「金閣寺」

    日本文学史に名を残す名作。
    古今の評論家によって評論され、
    あらゆる方面から分析され尽くされ、
    既に評価が定まった作品。

    それが鯨統一郎にかかると、
    まったく違う新しい一面を見せる。

    「雪国」は怪談。

    「布団」はラノベの祖。
    ラノベ風にタイトルをつけると、
    「文学少女の育て方」にニヤニヤさせられる。
    同じく
    「坊ちゃん」は「マドンナとテストと無鉄砲」
    「痴人の愛」は「嘘つきナオミと壊れた譲治」
    と、この遊び面白すぎる。
    ちなみに「やはり俺は恥の多い人生を送っている」
    というのもあり、太宰のあの名作だ。

    「檸檬」では、
    丸善の書棚に置いた檸檬は爆弾の象徴ではなく、
    文壇に送り込んだ自分の著作「檸檬」を、
    表しているという。

    三島由紀夫「金閣寺」では、
    三島の人生そのものが語られる。
    三島が自死したのは、
    「金閣寺」を完成させるためであり、
    自衛隊市ヶ谷駐屯地に立てこもったのも、
    政治活動ではなく芸術活動だという。

    鯨統一郎のすごいところは、
    本当にそうかもしれないと思わせる推理力。
    疑問に感じられる点を突きつけられ、
    仮説が積み上げられ、まんまと信じ込まされる。

    このシリーズ面白い。

  • 今回も楽しく読めました。「なるほど、そういう解釈か」と思わせるものばかりで、文芸評論を楽しく分かりやすく読んでいるような気に今回もなりました。ただし曽根原先生はやはり好きになりません。

  • 文学ミステリー第2弾。
    原典を知らないこともあり「雪国」「檸檬」はすんなり納得させられました。雪国の冒頭で国境を越えて、長いトンネル、たどり着いたのが白い世界ですから異界感ありますし、檸檬はそのままなるほどと感心してしまいました。歴史ミステリーとも「ビブリオ」とも違った文学ミステリーでジャンルとしても新鮮でした。読み解き方はいろいろあるなと思う一方、著者の言いたいことや狙いが著しく外れた場合本人はどう思っているのだろう。自身のせい?読者の読解力のせい?

  • 鯨さんのバー談義もの。ついつい買っちゃうな。

    あっさり読めた。でも誰も考えなかった新解釈を披露するって大変だな。
    「雪国」「蒲団」は読んでいないな。そうか。掻い巻きなんだな。今の若い子は掻い巻き知らないだろうな。

    すれ違った美女はあの彼女だよね。次にはちゃんと登場するかな。

  • 読了備忘録。

  •  スリーバレーといえば、鯨統一郎の出世作『邪馬台国はどこですか?』の舞台になった店ではないか。同書を何度も読み返した自分としては、否が応でも期待が高まる。
     バーテンダーが松永からミサキ嬢に交替したのは、早乙女静香を欠いてヒロイン成分が不足したせいだろう。
     『雪国』は未読なのでピンと来なかった。それでも冒頭の一節は暗唱できるのだから、名作の波及力は凄い。
     田山花袋が日本のラノベの原点という指摘は、解決も含めて面白い。自分も『電波女と青春男』を、純文学まであと一歩の設定、と感じたものだ。
     梶井基次郎の『檸檬』が文壇に投じられた爆弾というのは、ちょっと苦しい気がした。強引な力技を楽しむべきなのだろうか。
     表題作。全ての小説は自伝へのグラデーションだと思う。こと三島作品に関しては、大半が遺書のように読める。『金閣寺』に限らず、他の作品でも成立しそうだ。

  • 三島由紀夫の件は、結構的をいていると思う。

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著者プロフィール

鯨統一郎
一九九八年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。大胆な歴史解釈から、日本の常識を覆す独自の作品が話題を呼ぶ。以来、歴史だけではなく幅広い題材を用いて、次々と推理小説を発表している。著書に「喫茶〈ひとつぶの涙〉事件簿」シリーズ、「女子大生桜川東子の推理」シリーズ、『幸せのコイン』『タイムスリップ信長vs三国志』『歴女美人探偵アルキメデス 大河伝説殺人紀行』『歴史はバーで作られる』『崇徳院を追いかけて』『作家で十年いきのびる方法』など多数。

「2019年 『恋と掃除と謎解きと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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