龍の耳を君に (デフ・ヴォイス) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
4.19
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本棚登録 : 424
感想 : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488422219

作品紹介・あらすじ

手話通訳士の荒井尚人は、コミュニティ通訳のほか、法廷や警察で事件の被疑者となったろう者の通訳をする生活の中、場面緘黙症の少年に手話を教えることになった。めきめきと上達した少年はある日、殺人事件について手話で話し始める――。NPO職員が殺害された現場は、少年の自宅の目の前だった。果たして少年の手話での証言は認められるのか? ろう者と聴者の間で苦悩する手話通訳士を描いた『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(文春文庫)に続くシリーズ第2弾、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • この作品は丸山正樹さんのデビュー作の『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』の続編です。

    第一作で主人公の荒井尚人は警察に勤める安斉みゆきと恋人同士でしたが、この作品ではみゆきの職業柄、結婚はしていませんが、荒井はみゆきと娘の小学二年生の美和と一緒に暮らすようになりました。

    荒井はろう者の親から生まれた聴こえる子のコーダであり、ろう者ののために通訳や法廷・警察での手話通訳の仕事をしています。

    まず、同居を始めた荒木と荒木を「アラチャン」と呼んで慕う美和とのやりとりが自然でとてもいいと思いました。美和は手話を覚えていきますが、みゆきは手話が覚えられず、二人のやりとりにイライラしてしまう場面もありますが。

    そして荒木は美和の友だちの英知からも慕われます。英知は場面かく黙症ですが、とても愛らしい気質をそなえていて、天性のいいものを持っています。

    第3話がメインのストーリーですが、最後の謎解きは読んでいるうちに大体わかってしまいましたが、それも読者に花を持たせる作者の意図かと思いました。
    読み終わって清々しさが残りました。


    以下途中までのストーリー。

    第1話 弁護側の証人
    荒井が法廷での手話通訳をしたとある事件。
    林部学という40代のろう者の強盗事件の弁護人の片貝の手話通訳を引き受けます。
    林部は無罪を主張しています。

    第2話 風の記憶
    五歳の時に聴力を失った新開浩二が同じ視聴覚障害者ばかり狙った事件を何件も起こしました。
    刑事の津村は「なんで聴覚障碍者ばかりを狙うんだ。仲間だろう」と質問します。

    第3話 龍の耳を君に
    美和の同級生で仲の良い場面かく黙症(言葉を話したり理解する能力は正常なのに、特定の状況では話すことができない)の少年漆原英知に荒井は手話を教え、時々面倒をみています。そして英知が殺人事件の現場を目撃しているのに荒井は気づきます。
    英知の母親の漆原真紀子が容疑者として逮捕されてしまいます。
    英知の目撃証言で、母親を助けることはできるのか。

  • フォロワーの皆様の感想を読み、直ぐにAmazonでポチったものの、積読になっていた本。

    この頃老眼が進行し、小さい文字が若干苦手に。。。
    この本は私には少々文字が小さかった^^;


    いやしかし、読み始めたらページを捲る手が止まらない。

    前回作の何倍も面白い。
    ストーリーもさることながら、手話や聾者の世界は勿論、場面緘黙症などの発達障害等、自分が全く知らなかった世界を知ることが出来る。

    本作は一冊の中にボリュームぎっしり。両耳が聞こえない作曲家として活動していた佐村河内守や、森友学園を彷彿させるような社会的な問題にも触れつつも、本編のストーリーがとても興味深く、結末までワクワク感が続いた。

    ミステリー要素も多分にあり、ミステリー好きにも好まれそうな一冊。自信を持っておすすめ出来る良書でした!

  • 丸山正樹『龍の耳を君に デフ・ヴォイス』創元推理文庫。

    傑作『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』の続編。

    龍の耳と書いて聾という字になる。龍の耳を持つことは……「僕は、龍の耳を持っている」……涙が出るような小さな少年の振り絞った勇気あふれる言葉だ。

    デフ・ヴォイスとは、ろう者の発する明瞭でない声、何を言っているか判然としない言葉のこと。コーダとは、ろう者の両親から産まれた聴者のこと。著者は一般の人が全く知らない聴覚障害者について誤解することが無いよう非常に気を使ってその実態を極めて詳しく、正確に描いていることが良く解る。こうした聴覚障害者の世界で展開される感動のミステリー。前作にも増して本作も面白かった。本当に良い作品を読んだ。

    ろう者の両親と子供時代を過ごした『コーダ』の新井尚人は警察事務官を辞め、手話通訳士を本業に聴覚障害者のコミュニティ通訳と法廷や警察で事件の被疑者となったろう者の通訳を行っていた。ある時、新井尚人は同居女性の娘に頼まれ、場面緘黙症の少年に手話を教えるが、手話を覚えた少年はNPO職員の殺人事件について語り始める……

    本体価格780円
    ★★★★★

  • ムク助さんの本棚で見つけ図書館予約

    ご同様に前作『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』から読めばよかったと後悔

    でも面白かった
    というか興味深かった

    「ろう」について
    なーんにも知らなかったといことを知った

    「手話」を一くくりにしていたが、違うんですね!
    通訳士についても。技量が問われるんだろうなあと。

    聞こえないという様々な不自由さの上に、偏見・誤解

    また発達障害や緘黙症、なども織り込まれ一気に読んだ

    ≪ 音のない 世界を生きる 龍の耳 ≫

    • ムク助さん
      わぁ、ありがとうございます。
      とても嬉しいです(o^^o)

      私もとても興味深く読みました。
      知らない世界を覗くことができるので面白いですよ...
      わぁ、ありがとうございます。
      とても嬉しいです(o^^o)

      私もとても興味深く読みました。
      知らない世界を覗くことができるので面白いですよね。
      デフ・ヴォイスも是非!
      2022/05/14
    • はまだかよこさん
      ムク助さんへ
      コメントありがとうございます。

      知らないことを知っていく
      読書の醍醐味ですね。

      ムク助さんより30歳年上ですが...
      ムク助さんへ
      コメントありがとうございます。

      知らないことを知っていく
      読書の醍醐味ですね。

      ムク助さんより30歳年上ですが
      知らないことばかりに驚かされる毎日です。

      これからもよろしくお願いいたします。
      2022/05/14
    • ムク助さん
      はまだかよこさん

      はい、こちらこそよろしくお願いします^ ^
      はまだかよこさん

      はい、こちらこそよろしくお願いします^ ^
      2022/05/14
  • 解説の頭木さんいうところの障害や難病を『ミステリの味付けに使う』話や感涙を売りにする話を私は好きでない。がそんな心配はいらず、手話にまつわる知識と端正なミステリと感動をぎゅっと詰めた優しい物語だった。面白い!シリーズ読破したい。

  • デフ・ヴォイス第二弾
    このシリーズ好きです。

    前回より2年経ってました。
    恋人とその子供と暮らすようになった荒井
    子供(美和)のクラスメイトである不登校児えいち君の話に殺人事件がからんで、またまた面白かった!

    場面緘黙症、発達障害、サヴァン症候群などなど
    今回も色々と勉強になりましたm(_ _)m

    タイトルの龍の耳を君に…
    このくだり…泣けました(T ^ T)


  • 様々な社会問題等を巧みに盛り込んだミステリー。何を書いてもネタバレになりそう...。前作も圧倒されましたが、本作も頁を捲る手が止まりませんでした。終盤の英知のセリフが胸アツです! さあ、次作を探してこよう。

  • 第一作「デフ・ヴォイス」がとても読み心地の良い話でしたので、間を置かす第二作となるこの本を読ませていただきました。

    あいかわらず読みやすく明晰なフラットな語り口で、過剰な感動や悲劇をあおることないストーリーが展開されていきます。ミステリとしての意外性、ろう者を取り巻く環境、登場人物それぞれの個性の描き方、それぞれのバランスが取れていて、やっぱりとても親しみやすい世界観に浸ることができました。全く知らなかった彼らの世界の一端を少しでも知れたような気がしました。

    緘黙症の少年が手話に活路を見出す姿をやさしく見守ってほっと息を吐けるエピソードの一方で、一篇目の証言ではだれもがわかる終盤の「声」の使い方が印象的で、鋭く心に刺さるように思いました。証言者と同じ心情を持ったこと、わかってしまったことは、第一作目の冒頭に感じた感覚と同じものでした。どこか後ろめたく、申し訳ないような思い。けれど、それに引きずられることなく、「ではこれから、何ができるか」を考えていければなと思うのです。
    わずかでも、なにかできれば、もっと知れれば、知りたい、と思うようになりました。そういう気持ちにさせてくれた作品でした。

  • 聾という字がなぜ「龍の耳」と書くのか。冒頭のその文章から鳥肌が立った。手話通訳士である荒井が関わることになった三つの事件を描く連作短編集。読み進めるほどに繋がっていくミステリーの仕掛けも、ろう者や手話の活かし方も真摯さが伝わってくる。

    前作と同じく、ろう者たちのことを“特別”に描いていないところがいいなと。ろう者であることを武器にせず、あくまでありのままのドラマを描くことで伝えようとしている感じが好き。

    第2話の『風の記憶』は、ろう者がろう者を騙す犯罪について書かれていて衝撃だった。ろう者として生きることや、本当の仲間とは誰なのか。被害者や加害者が抱く複雑な心境が語られて重々しいテーマを、風の音がやさしく吹き抜けて洗い流していくような読後感だった。

    そして、表題作である第3話。場面緘黙症で話せない少年・英知が目撃した殺人は証言として認められるのか。ミステリーとしても一捻り入れつつ、手話という言語をこうして活かすのかと驚かされた作品。英知くんが荒井たちとのやり取りを通じて、“龍の耳”という言葉と勇気を掴んでいくのは胸が熱くなった。

    「特性自体は変わらなくても、生活していく上で何の支障も感じなくなったら、それはもう『障害』とは言えなくなる…いつか、そんな日が来ればいいですね……」

    この言葉と英知と美和の姿に希望を感じてよかった。自分や相手が持つ特性や気質を障害にしないためにはどうすればいいのか。そのための架け橋となる物語でもあると思う。

    荒井や瑠美のコーダとしての物語や葛藤をもう少し深掘りしてほしかったのだけが気になった。「家族を作りあげる」という意味では、漆原一家と出会えたのは二人にとっても大きな経験だったと思う。彼らがどう成長するかがシリーズとしては大事なので、テーマ性だけじゃなくそこも絡めてくれたらうれしい。共通の言葉があっても、みゆきとすれ違ってしまうのは切ないね。

  • 『デフ・ヴォィス』 シリーズ第2弾。

    『デフ・ヴォィス』は丸山正樹さんのデビュー作。
    著者自身、続編を書こうと考えたことはなかったと言われる。

    『デフ・ヴォイス ー法廷の通訳士ー』は
    読書コミュニティサイト「読書メーター」でじわじわと話題になり
    (私が利用しているのは「ブクログ」)
    「読みたい文庫ランキング」の日・週・月間のランキングで1位を獲得。
    ぜひ読んでほしい、と推す書店員さんも多く、世に知られるようになった本。

    「第6回全国高等学校ビブリオバトル全国大会」で
    『デフ・ヴォイス』を紹介した女子高生が優勝したことでも話題になった。



    デフ Deaf=聴こえない人。
    「聾(ろう)者」とは「ろう者」自らが誇りを持って呼ぶ呼び方。
    私たちは何と呼ぶだろう…
    私自身「ろう者」と呼ぶことは、この本を読むまでなかった…

    「ろう者」の言語である手話には
    「日本語手話」と「音声手話」の2種類があることもこの本で知った。

    「コーダ(Chidren of Deaf Adults)」とは
    ろう者同士の間に生まれた耳の聞こえる子ども。
    コーダは音声日本語よりも先に手話を覚えると言われており
    本質的には「ろう者」と考えられているそうだ。

    本の中で、コーダである主人公の荒井は、
    「聴者」でも「ろう者」でもない自分に悩む。

    この本のタイトルにもなっている「龍の耳」
    龍はツノで音を感知するため、耳が必要なくなり退化した。
    使われなくなった龍の耳は、海に落ちてタツノオトシゴになった。
    だから龍には耳がない。
    「聾」と言う字は、「龍の耳」と書く。

    初めて知ること、考えさせられることの多いこの本。
    実はミステリーで、ミステリーとしての面白さもある。
    読み応えのある一冊。

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