名探偵に薔薇を (創元推理文庫) (創元推理文庫 M し 1-1)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 2251
感想 : 283
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488423018

作品紹介・あらすじ

創作童話『メルヘン小人地獄』をなぞるように発生した事件を名探偵が推理。

感想・レビュー・書評

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  •  以前から気になっていた本。2部構成になっていて、第一部メルヘン小人地獄は、謎の毒薬「小人地獄」(スゴイ名前だ)をめぐる殺人事件。第二部毒杯パズルは、それから2年後の「小人地獄」が使われた殺人事件。登場人物は重複しており、探偵役も同一人物である。

     第二部こそがメインであり、第一部はプロローグにすぎないと思った。ラストは、何ともやるせない。メルヘンで始まり、メルヘンで終わるミステリ。第8回鮎川哲也賞最終候補作だが、受賞してもおかしくない作品だと感じた

  • 虚構推理で有名な著者の長編デビュー作。
    本作は二部構成となっていて、第一部は完璧な毒薬「小人地獄」と童話を用いた見立て殺人、そして話の後半に現れる名探偵の活躍といった、THE本格ミステリといった様相で面白かったです。

    一転して第二部は名探偵、瀬川みゆきが語り手を務め、一部の名探偵の活躍とついになるような、名探偵の苦悩が話しの焦点となっています。

    そして、最後に判明するタイトルの意味を知った時、切なく、やりきれない気持ちになりました...

    "探偵"を描いた小説として、傑作です。

  • ミステリとしても小説としても面白い。

    一部二部構成になっていて、この二部のために一部があったのかと。

    一部の展開から二部は全く想像できませんでしたし、二部の展開もよきです。


    お気に入りの一冊になりました。

  • グロテスクな描写があるので、
    耐性がない方は気を付けてください。
    私は想像力が豊かゆえに
    少し気持ち悪くなりました。

    瀬川みゆきのキャラが好きです。
    あんまり思い詰めないで幸せになってほしい。

    二転三転した第二部には
    ハラハラさせられました。

    第一部よりも第二部のほうが
    スピード感があり、あっという間でした。
    一気読みしたほうが楽しめると思います。

    フィクションで良かった。
    こんな恐ろしくて悲しい話、現実にはしたくない。

    第二部のための第一部。
    布石にしていまうあたり、さすがです。

    読み終わって分かるタイトルの素晴らしさ。
    『名探偵に薔薇を』以外考えられません。

  • 虚構推理を読んでからたどり着いた作品である。
    内容的には少しファンタジー的な要素もあり、2部構成となっている。

    この作品は推理小説と言うよりは、名探偵の孤独感なるものに重きをおいた作品と感じた。
    世に名探偵は沢山いるが、あまりこのように孤独さを感じさせることはない。
    実は名探偵は辛く悲しいのだと感じた。

    その上で、帯にあった
    「タイトルはこれ以外ありえない」
    そう、この作品は
    名探偵に薔薇を
    である。
    読後に意味がわかり、納得のいく帯である。


    説明
    怪文書『メルヘン小人地獄』がマスコミ各社に届いた。その創作童話ではハンナ、ニコラス、フローラが順々に殺される。やがて、メルヘンをなぞったように血祭りにあげられた死体が発見され、現場には「ハンナはつるそう」の文字が……。不敵な犯人に立ち向かう、名探偵の推理は如何に? 第八回鮎川哲也賞最終候補作、文庫オリジナル刊行。

  • のっけから「どういうこと?」となり、引き込まれる。
    一部はグロいというか感じたことのない気持ち悪さを感じるのは確か。二部に漂うドロっとした空気感はなんとも…
    良くも悪くも心に残ってしまう。

  • 一気読み確実。心が震える傑作。多くの人に読んでもらいたい。

  • 探偵とはなんと因果な存在なのであろうか。

    瀬川みゆきの醸し出す圧倒的なプレッシャーは凄い。登場するや否や物語の空気を支配してしまう存在感・緊張感。
    読み終えたいま思えば、その瀬川の存在感そのものが読者へのチャフに作用しているのかもしれない。

    放浪先でも否応なしに事件に巻き込まれて、それらを解決しながら旅費を作ってきたというようにあるが、よく考えたらクセの強すぎる話である。
    大学内でも難事件を解決して名探偵と呼ばれている…ってのも見ようによっては滑稽だ。

    が、読者はそんな瀬川の作る’場’に踏み込んだが最期、彼女に全幅の信頼を寄せてしまう。それだけに第二部終盤、p288・13行目の衝撃度は計り知れない。

    そこからの話の回収は確かにパズルの解けるが如くであるが、瀬川の救済という部分の描写においては私は納得がいかなかった。

    彼女には惜しみなく薔薇を差し上げるべきである。


    11刷
    2021.7.28

  • 第一部よりも、第二部の方がスピード感があり、さらに人間的なドラマがあるが故に、名探偵と称される瀬川も惑わされている。ラストでは自分の存在意義をもとめて名探偵であろうとする彼女の「助けて」という悲鳴にも近い声がありありと聞こえる、気がする。
    私は単純なので、ミステリを読むとき挑戦はできない(そもそも謎解きの楽しみは求めていない)のだけれど、先入観だけは捨てて読もうと決めている。が、今回も無理だった。結局、人は見たいものしか見れない、そこを突くのが、ミステリ作家の腕でもあるのか。
    タイトルは謎。作中に登場する少女を百合に例え、それにかけて何か花をもってくるのであれば、名探偵にこの世界が少しでも優しくあれ、という意味を込めてせめて棘のない花を選んで欲しかった。たとえば「名探偵にたんぽぽを」とか。(うーん。タイトルとしてはいまいちだ)
    誰かすっきりする答えを教えてください。
    それにしても、帯はよろしくないかと。解説の最後もまた然り。

  • 2015.1.25(土)読了。
    ミステリー小説を探して、すごく評価されているようなものを読んで、それなら読んでみようと購入。期待が大き過ぎたのか…はたまた私が読み崩せなかったのか…ヒットしませんでした。2部は面白いかな?と思ったけど、二転三転し過ぎです。最後も取って付けたような気さえします。残念だー。残念です。

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著者プロフィール

【城平京(しろだいら・きょう)】
奈良県出身。代表作に漫画原作『絶園のテンペスト』『スパイラル~推理の絆~』、小説『虚構推理 』『名探偵に薔薇を』『雨の日も神様と相撲を』など。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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