慟哭 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 1024
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488425012

感想・レビュー・書評

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  • 誰だって幸せになりたいと思ってる。
    人生を懸けられるような仕事をしたい。温かい家庭を築きたい……
    彼がただ願ったはずだろう人生を、どうして他人は許してくれなかったのだろう。どうして共に歩んでくれなかったのだろう。
    他人のせいにしちゃいけない。よく分かってる。分かってるのに、彼が可哀想で堪らなくなる。

    彼はどうすればよかったの?何がいけなかったの?どこで歯車が狂ったの?どこからやり直せばよかったの?
    目を逸らした、耳をふさいだ、認めたくなかった、そんなことに。そうなる前に。きっと彼には、いくつもの気づかなくっちゃいけなかったことがあったんだと思う。

    ぽっかりと開いた胸の穴。
    それを閉じるためなら、人は悪魔にさえ魂を売ってしまう。

  • 黒魔術によって娘をよみがえらせようとした松本。そんな事で人間が生き返るわけないのに…失敗しても繰り返し儀式を行う松本はなんて哀れなんだろう。
    松本は人を殺して絶対に許せないけど、誰しも娘を殺されたらやはり気が狂ってしまうのではないか。その時そばにいて支えてくれる人がいたなら松本も立ち直れたかもしれない。
    松本は孤独だった。親としての愛情はあった、それを口に出す事ができていたなら…。
    ―佐伯は無表情に、娘の頬を撫で続けた。それは佐伯の慟哭だった。―

  • いろんなネットの小説ランキングで紹介されててきになって読んだ小説。

    2つの話が交互に展開していくので、だんだん話が一緒になるのかなと思っていたが全く違った。

    話の内容も面白いが、話の時系列?展開?なんて言ったらいいかわからないが、最後まで読まないと話全体の内容がわからないという楽しめた小説でした。

  • どうこく。読み方がなかなか覚えられない。

    こういう構成を好んで読んでたせいか、中盤でうっすら結末がみえてしまった。
    この手のものは90年代前半からあったんだなぁ、これが元祖なのかなぁ。

    もともとミステリー物は得意じゃないかつ、出てくる題材も題材だったので、
    最後ギリギリまで続くもんやりした薄気味悪さは個人的に結構こたえた。
    最後ギリギリからのスピード感は気持ちよかった。
    「これで後味悪い終わり方だったらきついなー」とおもっていたけれど、スッキリ読み終えれた。
    須藤と丘本には救われた。

  • 幼女連続殺人事件を捜査する警察と新興宗教にはまっていく男の2つのストーリーが同時進行していきます。
    こういう驚く展開は面白いです。2つのストーリーが交わったとき素直に驚きました(笑)
    面白かったけど、ただ、主人公の娘への愛情の描写だったり、解決されない殺人だったり、何かが足らず、違和感が残ります。後味もすっきりはしないです。あと聞き慣れない四字熟語が多いなと(笑)
    作者のデビュー作で20年近く前の作品だけど楽しめました。

  • 面白くて一気読み。
    捜査側のストーリーと犯人側のストーリーが交互に書かれているのかなと思い読んでいたがそうではないことに気付かされる。
    自分の想像を超えてくれる快感があるからミステリはやめられない。
    本作もその一つ。

  • ★4.0
    北村薫の「読み終えてみれば≪仰天≫」の言葉通り、終盤の僅か数ページでまさかの展開。確かに、序盤から時間軸のズレが気になったし、彼を見たことがある人たちも登場していた。そして、彼の娘は連続幼女誘拐殺人事件の犠牲者になったのだろうと予想はついた。が、これまでの彼の行動を振り返ってみても、タイトルに冠された慟哭するまでの感情は抱けず、一歩引いたところから彼を憐れむばかり。新興宗教や警察の内側からの描写、家族の希薄な関係性等、これがデビュー作とは思えないほど完成されていて、ただただ巧いと唸るしかない。

  • これは面白い♪続きが気になって、眠いけど読む!ってなったのは久しぶりです。新興宗教と幼女連続誘拐殺人事件。絡んでいくのだろう、とは思っていたのですが最後の方までどちらかと言えばパラレルで、あれ?終わっちゃうよ?あれ?という焦りを何故か私が感じてしまう不思議。警察ならば聞き込みは二人…な発想を読んだ時に「もしかして…」とは思いましたが、そっか、そういうトリックでそう繋げるのか!と驚きました。色々な複雑な人生をたどり、誰からの救いも得られず、また望みもしなかった結末は憐れで。彼の慟哭は余りにも悲しすぎました。

  • 驚きでも、悲しみでも、落胆や虚無でもない、何とも言えないやり切れない思いに包まれました。あんなにも強く、自分にも厳しかった人が、深い悲しみによってこんなにまで墜ちていってしまうのか、結局は新興宗教にすがってしまう程の弱さが何処かに潜んでいたのか、と考えると人間が慟哭したときどうなるかわからないという一種恐怖にも似た感情を覚えました。結局誰一人として救われなかったことがいたたまれないです。

  • 面白かった! 警視庁捜査一課課長の佐伯と新興宗教にのめりこんでいく「彼」の二つの視点から展開されていきます。中盤あたりで佐伯課長と「彼」が同一人物じゃないかとは感じたけど、やっぱ違うのか?と考えながらも読む手がどんどん進み、終盤の架橋では二つの視点が収斂していく感じはとても楽しめました。最後の一行の後味の悪さもぞっとする感じで良かった。久しぶりに面白い叙述トリックものを読めました。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。93年『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で山本周五郎賞を受賞。他書に『天使の屍』『崩れる』『灰色の虹』『新月譚』『微笑む人』『ドミノ倒し』『私に似た人』『我が心の底の光』など多数。

「2018年 『女が死んでいる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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