タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)

著者 : 近藤史恵
  • 東京創元社 (2014年4月27日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488427047

作品紹介

ビストロ・パ・マルへようこそ。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ! 客たちの巻き込まれた不思議な事件や不可解な出来事。その謎を解くのは、シェフ三舟。傑作連作短編集。

タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 物語の舞台は下町にある小さなフレンチ・レストラン。
    美味しいフランス料理を作ってくれるのは三舟シェフと志村さん。
    美味しいワインを薦めてくれるのはソムリエの金子さん。
    お客さんを優しい眼差しで見守ってくれるのはギャルソンの高築さん。

    「パ・マル」の料理の美味しさと、居心地の良さが物語から伝わってくる。
    迎えてくれる4人の人柄もいい。
    読んでいるとだんだんと肩の力が抜けてくる。
    悩みの多い毎日には、美味しい料理と癒しの空間がどうしても必要ということでしょう。
    「パ・マル」を愛してやまない常連さん達にも、悩みや迷いはあって、
    彼らは居心地のいいレストランで美味しい料理を食べることで、一時の癒しを得る。
    そんな気はなかったのにあまりの居心地の良さに、ついつい抱えている悩みや迷いが口をついて出てしまったりするわけですね。
    そうるすと、優しい「パ・マル」のシェフ達は常連さんのそんな言葉を聞き流すことなく、解決の糸口を探してくれるのです。
    美味しい料理を作ることも、さらりと謎を解決してくれることも、どちらもまるで魔法のよう。
    これぞ究極の癒しではないでしょうか?

    私がこの本を手に取ったのは気力が底をついてしまっていた時。
    好きな歌を聴いても全く心が動かされなくて、これはまずいと思った。
    どうしたらいいのか分からなかったけど、とにかく何でもいいから心動かせるものを探さないといけないと思い、本屋に駆け込んで見つけたのがこの本。
    前から存在は知っていたし、興味はあったけど、いつか読めたらいいなくらいだった。
    でもその時は、「これだ」「この本だ」と確信出来た。
    分かるんですね。今自分に必要なものって。
    本屋さんを出てからは歩きながら(というより、信号で止まったりする度に)待ちきれないみたいに読んでいた。
    さっきまでガチガチだったのに、だんだんとほぐれていって、いつの間にかくつろいでいた。
    まるで「パ・マル」で高築さんに見守られながら美味しい料理とワインをいただいているような。
    そうなると今度は常連さん達の持ってきた謎が気になって…。

    なんとかやっと少し落ち着いたみたい。
    私の小さな(?)ピンチを救ってくれたのは「パ・マル」の優しいシェフ達でした。
    心から感謝。
    続編も是非読みたい。

    読みたい本はたくさんあり過ぎて溜まっていってしまう。
    どれから読もうかと考えるのも楽しくはあるのだけど、
    今1番読みたい本を1冊ずつ買って1冊ずつ読むような読み方が、もしかしたら精神衛生上1番良いのかもしれない。
    そんなことを考えてしまった。
    …出来るかどうかは別として。

  • 下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのシェフはちょっと変わり者だけど誰よりも頼もしくあたたかい心を持っている。そんなシェフがお客さんの抱えるちょっとした謎を鋭い観察眼と美味しい料理で解決するお洒落なミステリ。

    最初の行「クレープシュゼットの青い火が…」から私の胃袋を鷲掴み!本に出てくる料理はどれも美味しそうで読んでいる間中幸せ気分でした♪
    1番好きな話は『割り切れないチョコレート』。割り切れないチョコレートの意味がわかった時ほろりと涙がこぼれる。こんな時はホット・ワインですね、シェフ。
    軽いミステリを読みたい人におすすめ。

  • 『サクリファイス』の近藤さんによる、連作短編、
    舞台は気取らないフランス料理店と、なんともお腹のすく一冊。

    メニューは全部で7品、“タルト・タタン”から始まり、
    “ロニョン・ド・ヴォー”、“ガレット・デ・ロワ”、“カスレ”など。

    正直あまりフランス料理にはなじみがなかったのですが、
    読み進めるうちに料理と、それにあうワインを知ることができます。

    もちろん、空腹と共に。。

    リストランテというよりは、ビストロといった感じで、
    店の名前からして“パ・マル”、フランス語で「悪くない」と、

    ちょっと人を喰った感じでもある、このお店。
    それだけに身近に感じる料理(とワイン)が、美味しそうで。

    そして、そんな料理と共に提供されるのは、
    日常のちょっとしたミステリーと、その謎解き。

    どこか北森さんの「香菜里屋シリーズ」や『居酒屋ぼったくり』を、
    思いだしながら、さらっと読めてしまいました、、空腹時は危険です。

    個人的には、このお店の“ヴァン・ショー”を是非飲んでみたいなと、、
    ん、第2弾も出ているとのことで、文庫に落ちてくるのが待ち遠しいです。

  • 従業員はシェフ2人とソムリエとギャルソン4人だけの小さなフレンチレストラン『ビストロ・パ・マル』。
    フレンチと聞くとどこか肩ひじ張ったような堅苦しくてバターや生クリームが入った重い料理が想像されるのだが、舟船シェフの作る料理はきどらないフランスの家庭料理ばかり。
    そして、この変人三舟シェフは名探偵さながらに客の話から真相を見抜く鋭い観察眼を持っている。ミステリーといっても血なまぐさくないし(むしろ最近は日常系ミステリーの方が大衆受けがよいのかそういった傾向が多いみたいだが)謎の提示から解決までの盛り上がりもどこかあっさりとした感じ。まるでこの店の料理の印象と同じである。
    短編は7編収録で個人的には「ロニョン・ド・ヴォーの決意」と「ぬけがらのカスレ」がすき。
    特に「ロニョン…」は何かすっきりした。ああいうことを平然という人は何か好きじゃないっていうのもあってなのか。
    自分もパ・マルに行ってシェフと客のやり取りを聞きながらヴァン・ショーを啜りたい。

  • 物語の舞台は、下町の小さなフランス料理店、「パ・マル」。
    訳すと、「悪くはない」という意味の言葉を店名につけているのは、シェフが余程謙虚かはたまた自信の裏返しか。
    どちらにしろかなり変わった人物であることが想像できる。
    そのシェフが店の客の行動や話から、
    謎解きをしていく。
    殺人事件とか大それたものではなく、
    あくまでも客の人生や生活のなかで
    起きたちょっとした不可思議な出来事。
    とくに最後の割れないチョコレートの謎は
    とても感動!
    なるほどの裏に隠れたエピソードが
    どの章もとても人間味溢れていた。
    フランス料理を食べる機会はそうそうないが、
    こんな店があるならぜひ食べに行きたい。

  • 商店街の小さなビストロで、客たちの身の回りで起こった出来事の謎をシェフが解いていく。
    1つ1つの話を読むたびに、私までヴァン・ショーを飲んだように、自然とほっと心が安らいだ。

    常連客として見守っているかのように話に入り込んでしまい、一気に読了した。
    とてもやさしい気持ちになれる、不思議なミステリ小説です。

  • 各章ごとで小さな事件が解決されてゆく創元推理文庫っぽい一冊。
    坂木司の小説が好きなら多分好きな少しゆるめなミステリー。
    お腹が空くので要注意。

  • ほっこり謎解き。

    スラスラ読める。

    シェフの寡黙な雰囲気も好きです。
    こんなお店行きたい。

  • 一応軽いミステリの体裁をとっていますが、食べ物小説。
    人間模様を描くには、一篇の紙幅が短い恨みがありますね。
    その代わり、食べ物の描写はすごく美味しそう。
    お腹がすきます。

    美味しいものを想像しながら、お店の空気に浸り、
    雰囲気を味わう。まさにレストランの客のように
    通りすぎてゆくのが、この本の味わい方な気がします。

    日曜の眠れぬ夜に読むには良かったかなぁ…。

  • 小さなフレンチ・レストランで起こる出来事の謎をシェフが解いていくという、日常の謎ミステリ集。

    どのお話にも美味しそうな料理の数々が出てきて、生唾をのみこみながら読みました。
    料理が鍵となった謎解きは気軽な話もありつつ、舌に残る苦さに瞠目する話もあり。
    バラエティに富んでいてとても楽しめたし、全編に漂う穏やかな雰囲気に癒されました。

    ただ、お話を軽めに浚った印象があるので、人物造形にもうちょっと説得力が欲しかったなと思います。
    ちょっと無愛想なシェフ・女性のソムリエ・若いギャルソンなど、彼らの過去をもっと読んでみたい。

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