ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 3798
感想 : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488427054

作品紹介・あらすじ

下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。気取らない料理で客の舌と心をつかむ、変人シェフ三舟お得意のヴァン・ショーにはどんな物語が隠れているのか? フランス修業時代もシェフは名探偵だったのです。

感想・レビュー・書評

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  • 私たちは日々、人と人との関係性の中で生きています。無人島に一人取り残されたということでもない限り、人と接点を全く持たない生活など考えられません。そんな中でも日々何かしら深い関わりを持つ決まった人たちがいると思います。それは家族であり、友達であり、そして会社の同僚でもあります。深く関わりを持てば持つほどにそんな身近な人たちにはその人のイメージというものが出来上がっていきます。

    『三舟シェフと違って、志村さんはとても穏やかで感じのいい人である』という基本的なそれぞれの印象。しかしその実は『本当に怒ったときに怖いのは、シェフではなく、志村さん』という、その人を深く知っているからこそ見えて来る隠された顔があると思います。そう、それは、

    『あのシェフがまさか』

    という見えなかった、その人に隠された姿です。

    さて、ここに『変人シェフの三舟さんと彼を慕う志村さんの二人の料理人、ソムリエの金子さんとギャルソンの僕・高築』という四人で切り盛りするレストランを舞台にした物語があります。近藤史恵さんの大人気シリーズ「タルト・タタンの夢」の二作目となるこの作品。文字が嗅覚と味覚を刺激する食の魅力に溢れたその作品。そしてそれは、『変人シェフ』と紹介される三舟シェフが読者に初めて見せてくれる隠された素顔をそこに見る物語です。
    
    ということで、『カウンターが七席、テーブルが五つという小さな』『下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル』を舞台にした七つの短編から構成されたこの作品について、まずは冒頭の〈錆びないスキレット〉をいつもの さてさて流 でご紹介しましょう。

    『その日、金子さんと一緒に休憩から帰ってくると、厨房から言い争う声が聞こえた』と、『おそるおそる、厨房をのぞく』のは、視点の主でありギャルソンの高築。そんな厨房には、志村さんが三舟シェフに『早口でまくしたてている』姿がありました。『あなたは、自分のやったことがわかってないんです!』と言う志村は『わかってるよ。だけど…』と防戦一方な三舟に『自分のやったことには責任を取ってください』と詰め寄ります。『もしかして、女性関係?』と呟く金子を見る高築は『足下で、小さな鳴き声がし』たのに気付きます。それは、『黒い瘦せた猫』でした。『数日前、ゴミを出すため、厨房口から出た』三舟は『ゴミ捨て場にこの小さな猫』を見つけ『サラダに使った蒸し鶏の残り』を『黒猫にやってしま』います。『そして、その翌日』は『鰯を一匹』やってしまいました。そして…という繰り返しの中、その猫は『かくして、すっかりビストロ・パ・マルの料理に味を占めて』しまいます。そして今、『どうするつもりなんですか』と志村に詰め寄られる三舟。そんな三舟に『家に連れて帰って、飼ってください』と志村が言うも『うちのマンションはペット禁止だ』とあくまで逃げ腰な三舟に、『なら、もらい手を探してください』という志村の提案もあって『ビストロ・パ・マルのレジ横には、「猫もらってください」の貼り紙』が貼られました。そして、『その数日後』、『近所に住む田上夫妻』が食事に訪れます。『中学生の息子がいるから』なかなかフランス料理屋には来れないという夫妻は、そんな息子が『親戚のところに遊びに』行ったので来れたと、『仔羊のハーブロースト』をメインに舌鼓を打ちます。『鉄製のスキレット』を使う三舟を見て『何度、手入れしても結局錆びさせてしまう』と自宅のスキレットのことを話す夫の尚志。そんな尚志に錆びさせないための『シーズニング』について語る三舟。そんな時、『トイレに立った』妻の靖子が戻ってきて『レジのところに貼り紙してある猫って、どんな子』と訊くのでした。『今もハンゾウという』老猫がいるが『一匹だとなんか寂しい』という靖子。結局、『ユキムラと名付けられたその黒猫は』『田上夫妻の家にもらわれてい』きました。そして、『ぼくたちはすっかり猫のことなど忘れてしまった』という二週間後、『ゴミを捨ててきた金子』が『黒猫がまたいるんですけど』と戻ってきました。そして、田上夫妻により脱走が確認された黒猫。そんな脱走に隠されたまさかの真実が明らかになる物語が描かれていきます…という短編〈錆びないスキレット〉。『ビストロ・パ・マル』の四人の登場人物が前作そのままのイメージで登場し、読者を物語世界に一気に連れて行ってくれる好編でした。

    『自転車ロードレース』を描く「サクリファイス」シリーズが有名な近藤史恵さん。一方で「ときどき旅に出るカフェ」など食に関する作品も多々発表されていらっしゃいます。そんな食に関する作品で有名なのが「ビストロ・パ・マル」シリーズです。現時点で三作まで刊行されているそのシリーズの二作目になるのがこの作品です。そんな物語の舞台は『下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル』であり、『変人シェフの三舟さんと彼を慕う志村さんの二人の料理人、ソムリエの金子さん』という面々に、ギャルソンの高築が視点の主の立場を兼ねて登場します。そんな作品の魅力は食とミステリーです。ではまずそんな食について取り上げたいと思います。

    この作品の舞台となる『フレンチレストラン、ビストロ・パ・マル』は『気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむ絶品料理を提供している小さな店』という位置付けです。今回も三舟シェフの手による様々なフランス料理の数々が登場しますが、その中から『ベジタリアン』向けという『野菜ポトフ』を取り上げましょう。『テラコッタの鍋の中には、色鮮やかな野菜が顔をのぞかせていた』と二名の女性客の前に給仕されたその料理。『赤と黄のパプリカ、そらまめ、新玉葱と新じゃがいも、ホワイトとグリーン、それぞれのアスパラガス、太った下仁田葱、丸ごとのトマト』という具材が写真もイラストもないのに読者の想像力を掻き立て、見えないはずの視覚に訴えます。そして、『澄んだシャンパン色のスープからは、かすかなにんにくの匂いがした』と嗅覚も刺激されるその料理を、『採りたての今朝届いた野菜です』と一言補足する三舟シェフ。そんな『スープをスプーンで一口飲んだショートヘアの女性』は『すごい……野菜だけだなんて思えない』と息を呑みます。それに『野菜には甘さも旨みも酸味もありますから、充分にそれだけでもおいしいスープが取れますよ』と返す三舟の言葉の強い説得力を感じさせるこのシーン。そこに志村が『玉葱は一度オーブンで皮ごと焼いてから入れているんです。それがスープにきれいな色をつけて、味のアクセントにもなっています』と細かい補足を入れて、このシーンに説得力を与えていきます。そして、『鍋にたっぷりあったポトフは、あっという間になくなってしまった』という食後。そこに近藤さんはこんな一行で場を閉めます。『髪の長い女性が、ふうっと満足げなためいきをついた』。絶品の『野菜ポトフ』を堪能した女性の幸せそうな姿が目に浮かぶこの場面、近藤さんの食の場面の描写の素晴らしさを改めて実感させられました。他にも『春野菜のビネガー煮』、『二色のオリーブとマッシュポテトのグラタン』、そして『ブイヤベース』というように各短編に登場するフランス料理の数々は読者の胃袋を刺激し続けます。日常生活の中で普通に食すものではないフランス料理という特別感が『気取らない』空気感の中にさりげなく提供される様が描かれるこの作品。読後にはそんなフランス料理を久しぶりに食べようか、そんな気持ちにもさせてくれる絶品だと思いました。

    そんな風に食の描写が何よりもの魅力のこの作品ですが、もう一つの側面がミステリーです。前作では、料理に秘められた謎を巡るミステリーな物語が展開しました。この作品でも、上記で少しご紹介した黒猫の脱走に隠された秘密とは?というミステリーの他、『ブイヤベース・ファンの女性客の正体は?』、『シェフお得意のヴァン・ショーの秘密とは?』といった人が死ぬということではない身近なミステリーを見ることができます。しかし、前作と比べてこの作品はどこかその立ち位置が異なります。それは、この作品の不思議な構成が影響している部分でもあります。このシリーズは『ビストロ・パ・マル』でギャルソンとして働く高築視点で展開する物語です。この作品でも〈錆びないスキレット〉から〈マドモワゼル・ブイヤベースにご用心〉までの四つの短編は定石通りです。それが、五編目の〈氷姫〉に入った途端、『杏子が出ていった。愛していたとか、大事な人だったとかそんなことはもういい』という切羽詰まった『ぼく』の語りによる物語がいきなり展開します。『ぼく』とは誰なのか?と、読者の困惑必至な物語は、さらに『リストカット。今まで何度も自殺未遂騒ぎを起こしているんだ』という『ビストロ・パ・マル』の物語からは違和感しかない表現が突然登場する中に物語は展開していきます。もちろん、全く関係のない短編が入り込んでいるはずはなく、そういう形で『ビストロ・パ・マル』に繋げていくのか、と感心する中に上手く落とし込まれた物語が展開します。それは、その後に続く〈天空の泉〉、表題作の〈ヴァン・ショーをあなたに〉でも同じです。特にこの後半の二編では、『まだ見習いですけどね』、『盗めるものなら盗みたいんですけどね。なかなか難しい』、そして『秘密があって真似ができないのなら、まだあきらめがつくけど、全部教えてもらったのに再現できないのは、とても悔しいですよ。自信喪失します』と、フランス料理の奥深い世界に苦悩する若き三舟シェフの修行時代が描かれています。今や安定感があり絶対的な存在でもある三舟、そんな三舟にもこんな時代があったんだと垣間見れるのがこの作品のもう一つの魅力だと思いました。他にもこの作品では、『志村さんに叱られて、シェフはしょんぼりとうなだれている』、『三船シェフ、好きな人がいるみたいなのよ』といった”あの”三舟シェフとは思えない彼の姿を垣間見ることもでき、それが三舟シェフの人間としての魅力をとても感じさせてくれます。そんなこのシリーズをまだ未読という方には、この作品からではなく、是非とも前作「タルト・タタンの夢」をまず読んでいただいて、三舟シェフという強い個性を持ったその存在の魅力を十分に理解いただいた上で、本作に、そして三舟シェフの若き日の物語に触れていただきたいと思います。

    『どう?』と感想を訊かれて、『かなり気に入ったときも』『フランス人は』『この言い回しを使う』という『パ・マル(悪くないわね)』という言葉。そんな言葉を店名にしたフランス料理のレストラン『ビストロ・パ・マル』を舞台に、食とミステリーが絶妙な塩梅で読者の前に給仕されるこの作品。サクッとスッキリ、それでいて味わい深さの残るフランス料理を食べたような読後感が待つこの作品には、若き日の三舟シェフの姿を描くことで、物語に深みを感じさせる絶妙な隠し味が施されていました。食を題材にした小説も得意とされる近藤史恵さんの王道とも言えるこの作品。冷めないうちに笑顔で美味しくいただきたい、そんな素晴らしい作品でした。

  • 「ビストロ・パ・マル」シリーズの二冊目ですね。
    今回は七話の連作短編です。
    三船シェフのフランスの家庭料理を満喫しながら、謎を解く構成は前作と同じです。
    今回は料理の描写に味わいがまして、食べたくなる事しきり、近藤さんの筆も一流ですね。
    謎解きも、お店のスタッフとお客さんとの視点と双方からの構成で、軽やかながら料理と一緒で豊潤で味わい深い筆さばきにページをめくるワクワク感にあふれます。
    三船シェフのフランス時代の話も網羅されていて盛り沢山でお腹がいっぱいになりました。

  • ビストロ・パ・マルシリーズ二作目。
    今巻もほんのりビターな日常の謎をたっぷりと味わえます。

    というか…もう出てくる料理がすべて美味しそうでたまらーん!

    あまりに料理の描写が秀逸なので普通にお料理小説(※なにそれ)として楽しく読んでいたら、そこに謎が出てきて「あっ…ミステリやったわ」的現象が起こる起こる。

    今巻にはシェフのフランス修行時代のお話「天空の泉」も収録されていました。
    トリュフのオムレツってなに…まったく味の想像もつかないけど食べたい…!

    シェフは無口で無骨な性格だけど、観察力や想像力に長けていて、それが謎解きにも料理にも生かされているのが素敵で面白い。

    基本的にシェフのフランス時代のことはベールに包まれているけど、次巻で明らかにされるのかなぁ。すっかりシェフのファンだから読んでみたい。

    ドラマ化もされているようなので、また観てみようと思います!

  • ビストロ・パ・マルシリーズ2作目。フランスの家庭料理店「パ・マル(=意味は、悪くない)」による食を通したミステリー。今作も三舟シェフが料理経験から解決する。猫とスキレットの関係、近隣のパン屋が閉店した理由、ブイヤベース、杏のかき氷、トリュフ卵焼き、白ワインのヴァン・ショーの謎。全話フランス料理の素材の香り、色、温度、触感、全てが伝わってくる。三舟シェフがフランス人の懐に入り、フルに五感を使って経験した修行の結果がこの芳醇なフランス料理を生み出している。経験こそ本物のフランス料理を提供する自信なのだろう。

  • 相変わらず美味しそうな料理と切れ味抜群の三船シェフの推理です。

    短編7作でどれも読みやすいです。前半の4作は高築が語り手で舞台がパ・マルですが、後半は客の視点と三船シェフのフランス修行時代でした。

    第2話で志村さんが「大事なことは間違わない人」と三船シェフのことを表現しましたが、とてもよくわかる気がします。

  • "ビストロ・パ・マル"を舞台にした日常ミステリの第2弾。のっけからネコの出てくるお話で涙腺崩壊です。
    ミステリで解きほぐされるのは、感情のもつれやら人間関係やら。
    パン屋さんの話もよいですが、「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」はドラマで観たいです。
    三船シェフのフランス修行時代のお話が2つも収録。ヴァンショーのお話も!
    しかし、本当に文章が読みやすくて、あっという間の読書時間。楽しくてどんどん読んでしまう。

  • 今回も店名の通り、まさにパ・マルです。
    つべこべ言わずに、あっという間に読んでしまいました。
    少しビターな物語も有りましたが、最近ドロドロのミステリーに疲れていた(大好きなのですが・・・)気持ちに、すっと染み込みました。
    ヴァン・ショーそのものですね。癒されました。
    次回作にもお世話になりそうです。

  • 下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのシリーズ第2弾。
    やはり今度もこのお店に行きたくなってしまった。
    人が料理に求めているのは美味しさだけではない。
    信頼していない相手が作った料理は食べられない。
    レストランに入る時にこの店は信頼出来るのかなんていちいち考え込むことはないけれど、それはその店も含めた文化全体への信頼があるからだと思う。
    そして、この物語の名安楽椅子探偵(?)である三舟シェフは最も信頼出来る料理人であると思う。
    その人が『食べたくない』と考えているものを食べさせること。それは料理人として決してしてはならないことだと三舟シェフは言う。
    料理を食べる客の立場からすると「その通り!」と同意するしかないけれど、言う程簡単なことではないのだろうなとも思う。
    食べ物に関する事件、事故は少なくないから。
    だからこそ、こう言いたい。「全ての料理人さんにはその心意気でお願いします!」と。

    料理は愛だと言ったりするけれど、三舟シェフの料理への(それはもちろん食べるお客さんをも含めた)愛と誠実さは本当に素晴らしい。
    そして三舟シェフの誠実さは料理だけには限らない。
    お客さんへの対応、同業者への対応、どの角度から見ても三舟シェフは誠実だ。
    すごいなぁ。こんな人になりたいと心から思う。
    誠実であるとはどういうことだろうかと今まで何度も考えてきたけれど、その答えは三舟シェフから教えてもらえそうな気がする。
    というより、私がまだ言語化出来ていないだけでもう既に教えてもらっている気もしている。
    それなのにまだ腑に落ちない出来の悪い読者としては、パ・マルのシリーズ第3弾を楽しみに待ちたいと思います。

  • ショートストーリ7話を収録。
    タルト・タタンの夢の続編で、今回も美味しそうな料理の数々で、ビストロ行きたくなります!
    最後の2話は三舟シェフの昔の話(修業時代?)なのでフランスが舞台です。
    本番のフランス料理もいつか食べに行きたいなー。
    ヴァン・ショーもトリュフオムレツも美味しそう。

    • 松子さん
      N.オリゼーさん、初めまして(^^)
      本棚が素敵でフォローさせて頂きました。
      突然すみませんっ!

      ヴァン•ショーってなんだろうと思ったら
      ...
      N.オリゼーさん、初めまして(^^)
      本棚が素敵でフォローさせて頂きました。
      突然すみませんっ!

      ヴァン•ショーってなんだろうと思ったら
      ホットワインの事だったんですね!
      ホットワイン大好きです♪
      楽しい本の情報交換できたら嬉しいです。
      どうぞよろしくお願い致します(^^)
      2022/05/15
  • 下町の商店街にある小さなフレンチレストラン、「悪くない」というちょっと風変わりな名前のビストロ、『パ・マル』。その料理は、気取らないけれど本当のフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。無愛想なシェフの三舟は、ほんの小さなとっかかりから、不可解な出来事や客の巻き込まれた事件の謎を鮮やかに解く。

    子供が小さくたって外食したい。でも子供を連れて行ける美味しい店というのは限られてくる。席についたときは、食後にデザートとコーヒー♪と優雅な注文をするのに、食べ終わって動き回ろうとする子供達相手に、食後のコーヒーどころでなく、コーヒーを一気飲みをするか、熱すぎて飲むのを断念するかの二択となり(デザートは横取りされる)、あぁ…今日もコーヒー飲めなかった…つーか何食べたっけ?(慌しすぎて記憶にない)というがっかり感と共に帰宅する。でもまたしばらくしたら懲りずに外食したくなり、子供を連れて行けるちょっとおしゃれなお店を検索して…というアホなループをしている。
    そんな残念な私だけど、このパ・マルを舞台とした三作(タルトタタンの夢、マカロンはマカロン、ヴァン・ショーをあなたに)では、実に幸せな読書体験をさせてもらった。出てくるフランス料理の数々に、あー美味しそう!あー美味しそう!フレンチ食べたい!ビストロ行きたい!とよだれたらさんばかり。しかも、フランス料理のうんちくやら、三舟さんのキレのいい謎解きのスッキリ感やら(しかも言葉に深みがあってカッコいいのだ)、どの話も二度三度美味しく、隅々まで堪能した。最高。

    でも読んだのは今年の4月から5月だったため、しっかり覚えていない話もあり。半年経って感想書こうと料理を思い出してみる。そのとき、脳裏に鮮やかに蘇ったのが…、表題作『ヴァンショーをあなたに』の中に出てくる、味噌汁!

    フランスを旅行中、風邪で倒れた日本人旅行者に、フランス修行中の若き日の三舟シェフが鰹節を削って味噌汁を作るのだけど、その味噌汁を飲むときの描写がとっても美味しそうで一番印象に残っていて(笑)。五臓六腑に染み渡る味噌汁!!そうそう、異国で気持ちの弱ったとき。身体の弱ったとき。飲みたくなるのは味噌汁なのよ!散々フレンチ食べたいとか言っといて、私ってば日本人だなーと思った。
    あ、ちなみに、ヴァン・ショーはフランスのホットワインなのだけど、これもとっても飲みたくなりますよ(とってつけたように言っとく!でもどんな謎だったか忘れた!←)。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『はらぺこ <美味>時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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