ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 162
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488427054

作品紹介・あらすじ

下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。気取らない料理で客の舌と心をつかむ、変人シェフ三舟お得意のヴァン・ショーにはどんな物語が隠れているのか? フランス修業時代もシェフは名探偵だったのです。

感想・レビュー・書評

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  • 下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのシリーズ第2弾。
    やはり今度もこのお店に行きたくなってしまった。
    人が料理に求めているのは美味しさだけではない。
    信頼していない相手が作った料理は食べられない。
    レストランに入る時にこの店は信頼出来るのかなんていちいち考え込むことはないけれど、それはその店も含めた文化全体への信頼があるからだと思う。
    そして、この物語の名安楽椅子探偵(?)である三舟シェフは最も信頼出来る料理人であると思う。
    その人が『食べたくない』と考えているものを食べさせること。それは料理人として決してしてはならないことだと三舟シェフは言う。
    料理を食べる客の立場からすると「その通り!」と同意するしかないけれど、言う程簡単なことではないのだろうなとも思う。
    食べ物に関する事件、事故は少なくないから。
    だからこそ、こう言いたい。「全ての料理人さんにはその心意気でお願いします!」と。

    料理は愛だと言ったりするけれど、三舟シェフの料理への(それはもちろん食べるお客さんをも含めた)愛と誠実さは本当に素晴らしい。
    そして三舟シェフの誠実さは料理だけには限らない。
    お客さんへの対応、同業者への対応、どの角度から見ても三舟シェフは誠実だ。
    すごいなぁ。こんな人になりたいと心から思う。
    誠実であるとはどういうことだろうかと今まで何度も考えてきたけれど、その答えは三舟シェフから教えてもらえそうな気がする。
    というより、私がまだ言語化出来ていないだけでもう既に教えてもらっている気もしている。
    それなのにまだ腑に落ちない出来の悪い読者としては、パ・マルのシリーズ第3弾を楽しみに待ちたいと思います。

  • 下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。フランスの田舎で修行した変人シェフの三舟さんは、実は客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。田上家のスキレットはなぜすぐ錆びる?ブイヤベース・ファンの女性客の正体は?ミリアムおばあちゃんが夢のように美味しいヴァン・ショーを作らなくなったわけは?シェフの修行時代も知ることができる魅惑の一冊。

  • 下町の商店街にある小さなフレンチレストラン、「悪くない」というちょっと風変わりな名前のビストロ、パ・マル。その料理は、気取らないけれど本当のフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。無愛想なシェフの三舟は、ほんの小さなとっかかりから、不可解な出来事や客の巻き込まれた事件の謎を鮮やかに解く。

    子供が小さくたって外食したい。でも子供を連れて行ける美味しい店というのは限られてくる。席についたときは、食後にデザートとコーヒー♪と優雅な注文をするのに、食べ終わって動き回ろうとする子供達相手に、食後のコーヒーどころでなく、コーヒーを一気飲みをするか、熱すぎて飲まずに断念するかの二択となり(デザートは横取りされる)、あぁ…今日もコーヒー飲めなかった…つーか何食べたっけ?(慌しすぎて記憶にない)というがっかり感と共に帰宅する。でもまたしばらくしたら懲りずに外食したくなり、子供を連れて行けるちょっとおしゃれなお店を検索して…というアホなループをしている。
    そんな残念な私だけど、このパ・マルを舞台とした三作(タルトタタンの夢、マカロンはマカロン、ヴァン・ショーをあなたに)では、実に幸せな読書体験をさせてもらった。出てくるフランス料理の数々に、あー美味しそう!あー美味しそう!フレンチ食べたい!ビストロ行きたい!とよだれたらさんばかり。しかも、フランス料理のうんちくやら、三舟さんのキレのいい謎解きのスッキリ感やら(しかも言葉に深みがあってカッコいいのだ)、どの話も二度三度美味しく、隅々まで堪能した。最高。

    でも読んだのは今年の4月から5月だったため、しっかり覚えていない話もあり。半年経って感想書こうと料理を思い出してみる。そのとき、脳裏に鮮やかに蘇ったのが…、表題作『ヴァンショーをあなたに』の中に出てくる、味噌汁!

    フランスを旅行中、風邪で倒れた日本人旅行者に、フランス修行中の若き日の三舟シェフが鰹節を削って味噌汁を作るのだけど、その味噌汁を飲むときの描写がとっても美味しそうで一番印象に残っていて(笑)。五臓六腑に染み渡る味噌汁!!そうそう、異国で気持ちの弱ったとき。身体の弱ったとき。飲みたくなるのは味噌汁なのよ!散々フレンチ食べたいとか言っといて、私ってば日本人だなーと思った。
    あ、ちなみに、ヴァン・ショーはフランスのホットワインなのだけど、これもとっても飲みたくなりますよ(とってつけたように言っとく!でもどんな謎だったか忘れた!←)。

  • フレンチビストロのシェフが謎解きをする日常ミステリ第二弾。

    今回も店で起こる小さな出来事をシェフが解決していくお話ですが、料理描写が前回よりも美味しそうで、おなかのすいてる時に夢中になってむさぼり読んでしまいました。
    ブイヤベース、ヴァン・ショー、トリュフのオムレツ・・・どれもおいしそう~。

    手堅くまとめながら要所要所でほろりとさせられるという、緩急のつけどころも抜群だし、料理にまつわる様々なディティールを補強する手腕も確かなので安心して読めますね。

    今回は三舟シェフの感情の揺れも少し垣間見えて人間臭さも感じられたし、お客に料理を提供するブレない彼の姿勢も納得出来たので、とっても良かった。

    今度フレンチに行ったらヴァン・ショーを頼みたくなりました!

  • 下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。気取らない料理で客の舌と心をつかむ、変人シェフ三舟お得意のヴァン・ショーにはどんな物語が隠れているのか? フランス修業時代もシェフは名探偵だったのです。

  • ー前作「タルト・タタンの夢」から立て続けに読んだので、同作のレビューを再掲ー

    下町の商店街の片隅にある「ビストロ・パ・マル」を舞台に、そこを訪れるお客様が関係する、奇妙で不可解な謎を同店の雇われシェフ三舟さんが解き明かす短編集です。
    いわゆる「日常の謎」系ミステリーなんですが、謎解きそのものよりも謎が解けた後に浮かび上がる、様々な人の思いや感情(激しかったり静かだったり、プラスだったりマイナスだったり)の余韻が、読後も胸の奥で何度も反芻されるような、上等の人情噺の集まりになっています。
    男には耳が痛くなるような夫婦のすれ違いや、胸が苦しくなって叫びだしたくなるような失恋話もあって、それだけがテーマなら普段は受け付けないものが、ミステリーという味付けを施すことで、すっと食べさせられてしまいました。

    ミステリーのほかに、このシリーズのもう一つの売りは、舞台が舞台なだけに次々に出てくる美味しそうな料理の数々。本のタイトルにもあるタルト・タタンやヴァン・ショーをはじめ、様々な前菜、メイン料理、デザートが登場します。
    余談ですが、YouTubeに「ビストロ・パ・マルのマル秘レシピ」なる調理動画も10本強アップされてますので、ご興味のあるファンの方はぜひ。僕はタルト・タタンに使われてる砂糖とバターのあまりの多さにビックリしました(笑)

    もう一つ余談ですが、「ビストロ」をググってみると、とあるサイトに『フランス語で「小さな料理店」という意味で、レストランよりもカジュアルで形式ばらず、ワインや料理が楽しめる形態が特徴。』とあり、もうなんかどうしても行きたくなりまして。
    たまたま先週に東京出張があり、急遽池袋にある「Bistro uokin」にてオフ会を開きました。ビストロ・パ・マルとは雰囲気が違いましたが、料理とワインは間違いなかったです(熱々のシーザーサラダ、新鮮な魚のカルパッチョ、大きな金目鯛のブイヤベース、白子のソテー、ハラミのグリルなどが美味かった)。
    雰囲気云々の話を出すと、「そもそも、ここはビストロといっても居酒屋チェーンの一形態やし、だいたいビストロは6〜7名で来てワイガヤするようなところではないし」と突っ込まれましたが( ´艸`)

    最後は余談ばかりになりましたが、それほど面白かったというわけで、単行本では続編も出ており、シリーズまだまだ続くようで嬉しいですね。

  • 下町の気楽なビストロ・パ・マルに集う人々のドラマ。シェフの三舟を中心に、日常のちょっとした謎解きとカジュアルなフランス料理のアレコレ。

    移動中の電車の中で気楽に読ませていただきました。しかし、乗り越し注意!!です(笑)

  • 小さな町のフレンチビストロ「マ・パル」を舞台にした短編集の2冊目。1冊目よりもいろいろな意味で深くなったような感じです。趣向も変化していて、これまではギャルソンの語りだったのが、お話ごとに違う語り手になっていたり。お話の舞台が「マ・パル」から離れていたり。
    パン屋さんのお話とヴァン・ショーのお話が好きです。本格的なハード系パン屋さんもいいかもしれないけど、昔ながらのメロンパンやレーズンパンも捨てがたいですね。実際に近所に両方あります。ずっと共存してほしい。ヴァン・ショーは作ってみたくなりました。これからの季節にぴったり。

  • 「タルト・タタンの夢」の続編。
    今回は主人公がギャルソンじゃない話も有り。
    連続して読んだらちょっとお腹いっぱいになった。実は次の「マカロンはマカロン」も手元にあるけど間を開けて読もう・・・。

  • 談話室で推薦された本の2冊目。とても面白かった。
    錆びないスキレット その発想はなかった!猫に煮干し。組み合わせがキュートです。
    憂さばらしのスピトゥ シェフのこだわり、誇りに感銘。食べてみたい。
    ブーランジュリーのメロンパン 馴染みのあるパンの名前が出て来て嬉しかった。2種類のパン屋さん、どちらも行ってみたいな。
    マドモワゼル・ブイヤベースにご用心 シェフが片思い!?なになに?と読み始め。あーそうかと納得。ブイヤベース食べたい!

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著者プロフィール

近藤 史恵(こんどう ふみえ)
1969年大阪生まれの推理作家、小説家。
大阪芸術大学文芸学科卒業後、1993年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。
2008年、『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞受賞、2008年度本屋大賞部門惜しくも2位、第61回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作になる。これがシリーズ化もされた代表作となった。ほかの代表作に、ドラマ化された『天使はモップを持って』シリーズ。
2006年から、母校の大阪芸術大学文芸学科客員准教授に就任している。

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