無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488430115

感想・レビュー・書評

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  • 中学3年のノゾミちゃん(料理男子)が主人公。お蔦さん(おばあちゃん)と二人暮らし。安心して読めるミステリー、ふりがな無いけど中学生でも読めそう。

  • (収録作品)罪かぶりの夜/蝉の赤/無花果の実のなるころに/酸っぱい遺産/果てしのない嘘/シナガワ戦

  • 神楽坂、ということでSR中に読む
    もうちょっと若い頃、中学高校あたりで読んでいたら好きだったかなーと思う

  •  子供と大人の境界って何でしょうね。
     大人があって欲しいと思う「子供らしさ」は、必ずしも子供のためではなく、かといって、子供は望むままに振る舞うには「責任が取れない」。
     そんなことを感じる短編連作ミステリでした。
     あと、お蔦さんがいい女過ぎて死ぬ。

  • 重い十字架を背負って生きていくなんて大変なことなのに、中学生の主人公は「大丈夫、やっていける」と考え、その道を選択してしまう。まだ若い故の未熟さが伝わってくるようで、支える人がいなくなったら大丈夫なのかと思ってしましました。でも、重い話につながっていくのに、沈んでいかず、夏の木陰を通りぬける風のような爽やかな雰囲気があるのは、酸いも甘いも知り尽くしてる元芸者のお蔦さんの存在が、きりりと締めているからなのかなと思います。お蔦さん、いいスパイスですw

  • 神楽坂の商店街で履物店を営む津多代は、元芸者で今でもお蔦さんと呼ばれる人気者。

    そんなお蔦さんと二人暮らしの望は、お料理上手な男子中学生だ。

    何かと人に頼られるお蔦さんと望の周りには、なぜか事件に事欠かなくて…。


    収録作品:罪かぶりの夜 蝉の赤 無花果の実のなるころに 酸っぱい遺産 果てしのない嘘 シナガワ戦争

  • 表題作の「無花果の実のなるころに」で、主人公のノゾミは、誰かのために嘘をつき続けることを選びます。
    その決断は、若さゆえの無鉄砲さもあるけれど、真実が暴かれることによって、友人が傷つくことを防ぎたいという純粋さからです。
    嘘をつき続けることがどういうことか。それを、「シナガワ戦争」の中で気づきます。

    ここで、偽悪的に他人を拒絶するようにふるまえば、楽になります。ハードボイルド探偵の様に。
    そうしない。そうすることが一つの逃げであることを理解してはいないけど、選択しないのはお蔦さんとの生活があるからでしょう。
    きっとお蔦さんは、ハードボイルド小説の主人公は嫌いでしょうね。
    わかった振りして、眼を背けてるだけ。向き合おうとしてないのさ。とかぶった切られそうです。

    でも、そんな自分の弱さも知ってての偽悪なんですよ、勘弁しちゃもらえないですかね。

    ・・・無理っぽいですな。

  • ミス・マープルとか
    天藤 真 氏の「大誘拐」
    若竹 七海 氏の「古書店アゼリアの死体」
    (他にも咄嗟に思い出せないだけでまだあるかも)に
    続く、私の好きなカッコいいおばあちゃんの出てくる話!


    図書館で借りて期待してたけど期待以上だった!
    自分の本棚用に買うの決定。


    しっかり者で料理上手な孫の望くんから見た、
    元芸者さんで今でも粋な、お蔦さんとの騒がしい
    下町の日常と書くと一見、日常の謎っぽく思えますが、
    殺人こそないものの、傷害事件がおきたり、
    ご近所さんが振り込め詐欺の被害にあったりと出てくる事件は以外と深刻です。


    観察力と洞察力に優れ、気っぷのいいお蔦さんが
    ホームズ役ですが、謎を解くだけじゃなくて
    出来事との向き合い方や覚悟みたいなものが
    とにかく大人でカッコいいです。

    それに孫の望くんも負けてない。
    本人は気づいてないけど物を観る目もちゃんと養われているし、きもが据わっていて、おばあちゃんそっくりだと思う。
    出てくる料理の描写も美味しそうだし、
    誂えたように私好みでした。
    すごく嬉しい。

    続編も出てるみたいだし、
    他にファンタジーや時代小説の作品もあるそうなので、これからの楽しみが増えました。

  • 元芸者で気風の良いおばあちゃんが解決する推理物と期待して読みましたが、それほどスッキリ爽快な後味ではなく…。確かに悪くはないけど、人の黒い部分が見え隠れする所が、中学生が関わるには少々気が滅入るというか…。特に第1話のラスト、中学生が他人に罪を被せようとする深層心理とか、中学生の親の昔の恋愛を引き摺ったいざこざとか。ああ、そうそう、拉致監禁・あわやレイプ未遂がなぜあんな大団円で終わるのかも腑に落ちない。

  • ほのぼの日常推理系かと思いきや、結構シビアな話もあって、ぐっときた。
    こういうお話はたいてい、良い方に話が転がっていくイメージだったので、こんな後味の悪い、余韻を残す終わり方は新鮮だった。

    ところどころ、美味しそうな料理の名前が出てくるのも良い。
    タルト食べてみたい!

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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