赤ちゃんがいっぱい (創元推理文庫 M あ 5-3)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488431037

感想・レビュー・書評

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  • 助産婦(あえての助産婦だ!)探偵シリーズ第二弾。
    今回は長編。
    なんと二作目にして、勤め先を解雇され、怪しげな研究所に就職した陽奈。
    天才赤ちゃんの存在、ゴージャス産院、そして赤ちゃん置き去り事件。
    元天才赤ちゃんの男性は怪しげな行動が多すぎるし、所長の不自然な言動、産院長は口が達者すぎる......。
    一体これらはどうつながってどこに着地する?
    どいつもこいつも怪しすぎる!

    本文の事件と直接の関係はないとはいえ、陽奈のパートナー、聡子の夫の宝田が頭にくる。
    解説でも、聡子さん、男を見る目なさすぎ!と指摘されている。
    私もなんでこんな人を夫にするんだ、と思うのだが、人の好みや価値観は他人には理解できまい。

    本文に戻ろう。
    確かにゴージャス産院は羨ましい。
    それに胎内にいる時から赤ちゃんの能力を引き出すというのも魅力的だ。
    でも、子供は親が望むようには育たないし、だからと言ってその子が落ちこぼれなわけでも、不幸なわけでもない。
    それはわかっちゃいるけれど、の親心につけ込んだ商売はいただけない。

    聡子の息子、優樹の行動にはいじらしさがにじむ。
    絶対意見を曲げない、曲げたくない。
    そこにある気持ちはなんだったんだろう。
    子供の気持ちは難しい。
    だからこそ、育てる楽しみがある。
    それぞれの登場人物の心の動きが魅力的なシリーズだ。

  •  聡子が育児休業に入り,アルバイト先の助産院を解雇されてしまい、失業した陽奈が,急場をしのぐために,「ハローベイビー研究所」という「体内育児の研究」をしている機関のカウンセリング要員として就職する。
     その研究所で発生する「価値のないものばかり盗まれる連続窃盗事件」,「赤ん坊置き去り事件」。
     そして,陽奈は,スーパーアドバイザーとして研究所に関わる奥薗時夫とうもと天才少年の計画する「ハローベイビー研究所」の乗っ取り計画に巻き込まれていく。
     「価値のないものばかり盗まれる連続窃盗事件」,「赤ん坊置き去り事件」といったメインストーリーの背景として,奥薗家の天才きょうだい(兄・妹)の話が描かれている。そして,18年前にも同じような赤ん坊置き去り事件が存在していたことが分かる。
     更に,聡子のところに預けていた赤ん坊の連れ去り未遂事件が発生する。これらの込み入った伏線が,伝説の助産婦,明楽先生の推理で見事に終局する話作りの上手さは見事。ただし,ミステリとしては,意外性が少し弱い。
     真相は,奥薗家の二女,時夫の妹「加音」の復讐劇。自分の子どもを利用して,ハローベイビー研究所と奥薗時夫を陥れようとしていた。明楽先生のセリフにあるとおり,「これは加音ちゃんが仕掛けた,十何年ぶりかの,ちょっと大掛かりな兄弟喧嘩」ということかもしれないが,巻き込まれた聡子さん一家はいい迷惑だろう。
     綺麗に伏線も回収されており,ハローベイビー研究所側が隠したかった弱みが,提携している右尾クリニックの院長が無免許医だったという事実というのは想像の範囲内だが意外な真相といえる。漫画家となった兄が医師免許も持っており,弟は医師免許ももっていないという逆説も面白い。
     トータルで,よくできた話と思える作品。だが、よくできた作品どまりかな。★3で。

  • 助産婦名探偵、再見!
    前作の『赤ちゃんをさがせ』は短編連作集でした。
    そこで出てきた伝説の助産婦・明楽先生、弟子の聡子先輩、見習いの陽奈が主人公の長編です。
    聡子先輩はマイナーな存在ですけど・・・。
    その陽奈が就職したのが<ハローベイビー研究所>という怪しいところ。
    そこで事件は起きるのです。といっても血生臭さはありませんので、あしからず。
    こういう詐欺商法は許せませんね~。
    こと妊婦や母親にとって『子供の未来』ってキーワードですもんね。
    それにつけ込んでいる悪徳商法は現実にも五万とあるでしょう。
    本書はなんか清々しく、それでいてユーモアもあり、楽しく読むことができます。
    母親としてなんだかなぁ~とやるせない気持ちにもなりますけどね~。
    子供の幸せを望んでいるのか、自分の幸せを望んでいるのか・・・確かにこういう母親もいますからね~(って謎ですね。笑)。
    明楽先生、いいキャラしてます。
    年の功!とでもいいますか。また明楽先生のアームチェアーディティクティブぶりを読みたいものです。

  • 続編だそうですが、最初のは読んでません。
    面白いといえばおもしろいけれど、
    ハローベビーのおっちゃん達はもちろん、
    先輩夫婦の子どもに対する態度とか、
    赤ちゃんや子どもをを可愛い可愛いと言いながら
    大切に扱ってない気がして、ちょっと考え込んでしまう。

    そして、最後に、女王様出産を希望していた妊婦達が
    速効、寝返って「わたし、自宅出産する」という。

    おいおい、娯楽だし、小説だし、いいけど、
    そんな安易に決めんなよ。

    どんだけリスクあると思ってんだ。
    私なら経験あさい助産師なんて、ごめんだな。

    と、緊急帝王切開の私は思う。
    ほんと、病院で産んで良かった。
    自然分娩にこだわるドクターでなくて良かった。
    だから、息子はここにいるのだ。

    と、話の最後の最後に、
    もう読まない、と思ってしまった。

    かたくなでごめんなさい。
    でも、出産した病院の助産師さんは大好きだった。
    温かい人だった。

  • 読書完了日2013年01月09日。

  • 新米助産師が主人公のほのぼの系ミステリー。
    暇つぶし程度の本でした。軽快なノリで面白くないわけではないんだけど、うーん。展開と結末が気になって最後まで読んだけど、わざわざ読む価値なし。

  • 解説 / 鈴木 美早子
    カバーイラスト / ムラタユキトシ
    カバーデザイン / 東京創元社装幀室

  • 2010.7.8 紹介

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    <blockquote><p><strong>アルバイト先の助産院をリストラされた陽奈は、急場をしのぐために〈ハローベイビー研究所〉に就職するが、そこでは価値のないものばかり消え失せる目的不明の盗難が続発し、さらには十八年前を再現したかのような赤ちゃん置き去り騒ぎが起きた。いったい研究所内で何が進行しているのか? 安楽椅子探偵の推理が冴えるシリーズ初長編!</strong></p></blockquote>
    助産師シリーズ第二弾。今回は長編である。
    天才児を産むための胎児教育の大切さを謳って設立された、なにやら胡散臭い研究所に再就職することになってしまった陽奈である。そして、研究所の広告塔とも言うべき初代天才児・奥園時夫と出会い、胡散臭さの中に飛び込むことになってしまうのだった。
    先輩助産師・聡子さんとご主人の宝田さんの喧嘩のような夫婦の会話には、愛が感じられ、息子・優樹くんの聡明さは、天才児でなくとも生きていく上で大切なものに思われる。そして、明楽先生の安楽探偵ぶりにも磨きがかかる。ハローベイビー研究所の胡散臭さはもちろん、天才児を産み育てながら離散してしまった奥園家の問題までも解決してしまうのだから、さすがである。まだまだ続くシリーズがたのしみである。

  • バイトをリストラされた陽奈は、急場はしのぐため、ハローベイビー研究所に就職するが、そこでは価値のないものばかりが盗難にあってしまう。
    研究所で何が進行しているのかがとても気になる作品。

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著者プロフィール

小説家

「2013年 『丘の上の赤い屋根』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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