誘拐作戦 (創元推理文庫 M つ 3-1)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488434014

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  • 無断借用のフォルクスワーゲンを乗り回す四人組と古色蒼然たるフォードの主が路上に倒れた女を見つけ、知った顔だと連れ帰ったのが運の尽き。脈は弱まるばかり、おまけに人違いらしいと臍を噛んだところへ、禍を転じて福となす妙案が。―キドナップだよ。この女のおやじから、身代金をしぼりとるのさ。どうだ。すばらしい廃物利用だろう。…かくて泥縄式の誘拐作戦は成りぬ。



    不良3人組とそこで知り合った兄貴分みたいな男の4人が、道路で死んでる女を拾ってそれをたまたま反対車線から来た男が見つけ、男5人で誘拐事件を企てる。主犯の男は、どこか謎満ちていて、頭も回る。ただ不良3人組は言うことを聞いて作戦に乗るだけ。


    さらに、誘拐された娘の家族が警察に通報してしまい、刑事さんたちも出てくるし、盗まれたワーゲンの所有者であり、自称探偵まで出張ってくる。なかなかの登場人物だけど、それでも面白かった。



    2人の人物が交互に事件の全貌を小説にしていくという構成で、なんだかそれも少し臨場感がある感じだった。そして、まんまとミスリードされてしまった。あーそっちだったのかぁと。
    あと疑問が残るのは、あの女は最初からこの計画のためにあそこに横たわっていたってことなんだろうか。全ては、誘拐事件の裏にあった事件と計画のために。まぁ、時間とか計画に入っていたのだから偶然という名の計画だったのだろうな。


    昔の話だけど、すごく面白かった。事件がどう解決するのかドキドキハラハラしてしまった。


    2022.11.12 読了

  • ふむ。都筑道夫作品ということで、期待しすぎてしまった。作者が書いているが「シック・ジョーク」という作風らしい。奇をてらった作品はあまり好みではないので残念。『大誘拐』が読みたくなった。

  • 四人の男が一人の女性を誘拐し身代金を要求する。
    四人の男達がコミカルな動きをしていてエンターテイメント色が強い。私としては軽く驚いた結末に至った。

  • とある金持ちの家の娘が路上に倒れているのを見つけたごろつき4人組は、免停医師と協力し、誘拐事件を画策。この女を利用して身代金をしぼりとることを画策するが…?
    昭和三十七年初版発行ということで、時代背景は古くさいですが、そこで繰り広げられる、誘拐犯、警察、探偵の三つ巴の頭脳戦は非常にトリッキーで今でも通じる面白さがあります。(携帯電話の有無ぐらいで、現代に設定を移しても耐えられる気がする)
    「誘拐モノ」好きにオススメですね-。

  • 都筑は毎回作風に技巧が凝らされていて新鮮。

  • 昭和37年発行で、この大胆さ!語りのスタイルから最後の註まで遊び心があって楽しめました。比較的「誘拐もの」というのは傑作が多いと思うのですが、この作品はその全ての始祖ではないかと思うほど、面白いですね。あまり深く掘り下げない人間の描き方などからすると、新本格ブームで出てきた作家たちはここに連なる気がします。ミステリー好きな人は読んでおいて損はない一冊。

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著者プロフィール

(つづき・みちお)1929-2003。東京出身。10 代から時代ものを発表していた読物雑誌の衰退に伴って海外ミステリ翻訳家に転向、『E
QMM(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)』日本版編集長を経て、1961年『やぶにらみの時計』を刊行、推理作家となる。トリッキーな趣向を凝らした作品の一方、ユーモラスなアクション小説、捕物帳を含む本格推理、ハードボイルド、SFミステリなど多彩な作風をもつ。永く無冠でいたが晩年に日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2022年 『都筑道夫創訳ミステリ集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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