退職刑事 (1) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M つ 3-2)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488434021

感想・レビュー・書評

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  • かつては硬骨の刑事、今や恍惚の境に入りかけた父親に、現職刑事の息子が捜査中の事件を語ると、父親はたちまち真相を引き出す。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第一集。収録作品 写真うつりのよい女/妻妾同居/狂い小町/ジャケット背広スーツ/昨日の敵/理想的犯人像/壜づめの密室



    退職をして5人の子供たちのところへ順で回って顔を見に行っている父親が末っ子の家に入り浸るのは、末っ子が現職の刑事だから。捜査に行き詰まった息子は、退職した元刑事の父に、アドバイスを受けるつもりで相談するとたちまちに推理をして犯人を暴いてしまう。


    1番面白かったのは、「狂い小町」かな。精神を患ってしまったお金持ちの娘が近所の留守宅で殺害されるという事件。事件の真相は意外だった。まぁ、みんな可哀想なかんじがした。



    「妻妾同居」も意外な展開だった。妻と妾と一緒に暮らしており、その情事日記を書いて週刊誌に載った被害者の秘密。えーそんな展開だったの?って感じで面白かった。



    物語の時代は結構古いんだけど、それでもなかなか面白い。次があるようだから読んでみるかな。


    2022.9.30 読了

  • 「ミステリなふたりアラカルト」の後ろの広告で。

    想いがけず、また古い話だった。
    というのも「トム・ホーソンの事件簿」を読んだばかりだったので。
    家に帰ったら洋服から和服に着替える位の。
    都営地下鉄三田線が都営六号線と呼ばれていた位の。

    五人の息子のうち末っ子の現職刑事の家を度々訪れる退職刑事。
    茶飲み話の中で事件を解決していく。

    ただし、
    その頃のものの考え方が少し疎ましく感じるのは、
    自分の文化と他人の文化の差だろうか。
    少しだけだが。

    ジャケットを二枚手に持った男を目撃したという証言から展開する
    「ジャケット背広スーツ」が一番面白かったかな。

  • 写真うつりのよい女 C+
    妻妾同居 B+
    狂い小町 A+
    ジャケット背広スーツ B
    昨日の敵 B+
    理想的犯人像  B+
    壜づめの密室  C+

    日本にも安楽椅子探偵の傑作があった。西澤保彦作品は影響されているというのがよくわかる…
    狂い小町のホワイダニットが強烈。

    オススメマラソンその⑲
    tekunoさんから紹介してもらいました。

  • 私の大好きなミステリ作家、都筑道夫さんによる「安楽椅子探偵」もののシリーズ第1作。
    退職した刑事と現職刑事の息子・五郎の対話によって事件が解き明かされる。
    その場所は常に五郎のアパートであり、登場人物はこの二人の他は五郎の妻のみ。
    五郎が語る事件のあらましを聞くだけで、「退職刑事」がその真相を解明するという「純粋な」安楽椅子探偵物だといえる。
    短編が7編収録されており、そのすべての話が本当によく考えられている。
    その一方、舞台や登場人物に変化が一切ないために多少の退屈さを感じるのだが、それはあとがきを見ることで疑問が解消された。

    作者は敢えて、この「もっとも純粋なスタイル」で安楽椅子探偵物を書こうとしたようだ。それについて作者はあとがきで「推理小説では、新しい壺に古い酒をくんで差しだすよりも、古い壺に新しい酒をつぐほうが、正しい行きかただと信じている」と述べている。
    ある種の「型」——それは山奥の洋館を舞台にしたミステリなどにも見られるものだ。型をうまく生かした物語はミステリに関わらず、面白い。
    作者はもっとも純粋な「安楽椅子探偵物のミステリ」を書いてみるという「実験」をこのシリーズで行っていたのだろう。
    私はこうした実験的なミステリを書こうとする作者の姿勢が昔からとても好きなのだ。

  •  大好きな都築道夫の有名シリーズだから以前読んでいてもおかしくないというか読んでいるはずなのだが記憶がない。主人公の恍惚刑事よりもこっちが恍惚だ。退職した元刑事が現役の刑事の息子の話だけから真相を推理するという絵にかいたようなアームチェア探偵もの。40年以上昔の作品なので時代を感じさせるが、この手の数多よくある作品集に比べるとさすがによくできている。元老刑事と息子夫婦の語りや間合いがうまいので噺家の芸を聞いているような気にもなる。そこらの竹の子作家とは一線を隔す手練れの技というものだろう。

  • 2002年9月27日、初、並、帯無
    2016年5月3日、伊勢BF

  • 退職刑事シリーズ・第1弾。

    退職した刑事が、現職刑事の息子の家に入り浸り、息子から事件の話を聞き、その場で推理していくストーリー。
    いわゆる、安楽椅子探偵もの。

    短編集で非常に読みやすい。
    事件の内容も、なんでだ?どうなってんだ?と思わされるものが多く、面白かった。

    古い小説なので、時代背景や言葉遣いが古臭かったりするが、それはそれで味があって良かった。

    ぜひ読破したいシリーズ。

  • 面白くなくて、半分でやめてしまいました。
    安楽椅子探偵モノが好きな人にはいいんじゃないでしょうか。

  • 九マイルっぽいのが面白かった。九マイルっぽすぎるという説もある。

  • 【写真うつりのよい女】【妻妾同盟】【狂い小町】【ジャケット背広スーツ】【昨日の敵】【理想的犯人像】【壜づめの密室】収録。

    退職した元刑事の父親が息子(刑事)の話を聞き事件を解決してしまいます。
    父と子の会話だけで構成された典型的な安楽椅子探偵もの。動きがないので盛り上がりに欠けますが、魅力的な謎とアクロバットな推理が素晴らしいです。中には設定が無理矢理なのもありますが、粒が揃った短編集だと思います。

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著者プロフィール

(つづき・みちお)1929-2003。東京出身。10 代から時代ものを発表していた読物雑誌の衰退に伴って海外ミステリ翻訳家に転向、『E
QMM(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)』日本版編集長を経て、1961年『やぶにらみの時計』を刊行、推理作家となる。トリッキーな趣向を凝らした作品の一方、ユーモラスなアクション小説、捕物帳を含む本格推理、ハードボイルド、SFミステリなど多彩な作風をもつ。永く無冠でいたが晩年に日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2022年 『都筑道夫創訳ミステリ集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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