悪女の品格 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488434212

作品紹介・あらすじ

どうして私がこんな目に。めぐみはここ一週間、連続して危険な目に遭っていた。監禁事件に薬品混入事件。犯人は今まで付き合ったことある男性のうちの誰かかもしれない。次々と狙われ、さらに彼女自身の過去の罪を告発する手紙まで届き恐怖を覚えためぐみは、パーティーで知り合った大学準教授と共に犯人を探し始める。美しく強欲なめぐみを襲う犯人は誰?! 悪女に降りかかる災厄を描く、長編ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 狭い世界だなあ。
     裕福な子供達が通う小学校に女王のように君臨し、
     30歳前になっても当時の友達というか手下とだけつるみ、
     その中の男子三人と三股。
     最近やけに危険な目にあうのは、小学校時代に酷い苛めをした男の復讐か?
     たどり着いた犯人もやはりこの狭い世界の人だった。

    真木が言っていたように、めぐみは悪女に及ばない小物。
    思春期に家庭環境や嫉妬で中身が歪んでしまって、大人になってもそのまま引きずっている。
    変わらずにいられたのはすごいなと思え、痛いけどあっぱれで、そこまで憎めなかった。
    逆に真木の方が、あれだけのことをされているのにすっかり立ち直っているのが不思議。
    友達不信や家から出るのが怖くなりそうなのに。

    自分の小学校時代のボス女子や、ボス女子同士の争いや、それに何故か巻き込まれて苛められたことを思い出してしまった。
    思い出したというより忘れられずに残っているので、真木が変わり者に思えたんたろうな。
    私はボス女子達が困っていたとしても助けようという気になるか分からない!
     

  • 主人公が三股かけていて男に貢がせているアラサー、小学生のときに酷いいじめをしていた等、なかなか感情移入しづらいキャラクターだったが、山本の正体がわかってからが面白くなってきた。真木の包容力?飄々とした人柄が主人公の毒を中和させてくれたのだと思う。
    2時間から3時間くらいのドラマになりそうだな、真木は坂口健太郎がはまるなと考えつつも、いじめの描写がコンプライアンス的にNGで無理かな。
    湊かなえ作品に通じるような、人物造形だなぁと思います。若い作家さんなのに秀逸。

  • 悪女…ではあるかもしれないが、なんとも小さい世界でちょこまかとしていて、だいぶみじめ


    いじめはいじめられていた方は一生の傷を抱えるがいじめていた方は、とっとと忘れてしまう…


    最終的にはいじめられていた人物が素敵に成長していたことにスカッとしたが、ちょっと物足りなさも残った

  • ここ一週間、主人公・めぐみは監禁事件や薬品混入事件などの立て続けに襲われている。果たして、犯人は誰なのか?過去の過ちから浮かぶことの顛末とは?

    これほど主人公に感情移入できなかったのは、久しぶりというか初めてに近かったです。それほど主人公の悪事が酷すぎでした。本来なら、こういったキャラクターは最初の段階で(不謹慎ですが)殺されても不思議ではないのですが、それを主人公にして、謎を解いていくのは斬新だなと思いました。

    なぜ襲われるのか、過去の学生時代に犯した事を交えながら、物語は進行します。過去が過去なら、現在も現在で悠々自適に生活を送っており、それが段々と崩れていく様は読んでいて滑稽でしたが、ちょっと生温いかなと個人的には思ってしまいました。それぐらい主人公たちの行動が読んでいてムカムカした気持ちにさせられました。

    主人公の周りみんな怪しいなと思いながら、誰が犯人なんだろうと好奇心をかき立てながら、読んでいました。
    凄い衝撃を受けたとまではいきませんが、意外な展開に驚きでした。

    一つの視点だけでなく、違った視点から見る事で今まで知らなかった事が浮き彫りになります。他人からどう思われているのか、自分の気付かないところで、もしかしたら危害を加えているかもしれません。
    そうならないよう、日々気をつけないといけないなと感じてしまいました。

  • 真木のしかけた爆弾が、この物語の救い

  • なんだかんだ言って最後は真木くんが復讐を遂げる結末になるのだろうと思っていたが、そうならなくてビックリ。だって、いくら小学生時代でもこんなえぐい虐めやった人と好きになるのって感じですよね?いくら相手が美人だとしても。真木くんの真意はいかに。でも、これって後が怖い奴なんでしょうか?この後二人はくっついて真木くんの真の復讐が始まる感じ?復讐って別に分かり安い仕返しをしなければ行けない訳でもないですもんね。真木くんヤンデレって奴でしょうか?そう思ったら怖いかもしれません。

  • 辻堂さんの作品は2作目。
    ご本人さんもあとがきに書かれていましたが「変わり種」の小説かなぁ。
    主人公のめぐみの行動に共感はできないものの、同級生の真木との出会いから少しずつ、心や行動が変わっていくのが良かったですね。根っからの「悪女」じゃない感じで。
    犯人は身近にいたんですね。

  • めぐみは読んでいてむかっとする程嫌いなタイプ
    でも、女としてポリシーを持って生きてるところだけが、共感できる
    ストーリーは、1番怪しい人物が、協力者になり真実に迫る
    この先のこの二人の展開が見たいような

  • いじめをすると、最終的に自分に返ってくる
    って事

    題材がいじめや恋愛や高飛車女で、小さな世界(?)でう〜んという感じだったけど、ストーリーは面白かった
    犯人気になる〜と思いながら一気読みでした


  • 三股をかけて、セレブ男を手玉に取る
    生活をしている めぐみ

    ある日、監禁、塩酸火傷とたて続けに事件に遭う

    うっすらと小学生よ時にクラスの女王として
    奔放に真木をいじめをしていた記憶

    自分に降りかかる事件が、それを模倣している
    事に気づく

    一体誰が、めぐみを狙っているのか?
    過去と今を行き来しつつ、事件の謎を追う

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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