殉教カテリナ車輪 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • 本 ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488435011

感想・レビュー・書評

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  • すっご……( °_° )
    絵画ってこんな風に解釈していくんだ。
    おもしろ…!!

    新しい世界だ…(ღ*ˇ ˇ*)。o♡



    井摩井美術館に就職した井村正吾は、初老の学芸員、矢部直樹に、ある手記を手渡される。

    そこに記述されていた内容は、ある殺人事件の文書だった。

    絵画を描いた人物による手記だ。

    そこには、二重密室殺人事件の記録が記されていた。

    車輪と少女の絵画の意味は……。


    推理はできませんでした…(^▽^;)
    難しい。
    このトリックわかった人すごい。
    推理せずただ楽しんで読んでいく作品だと思いました。

    毎回言ってる気もするが、素晴らしい構成に拍手(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ

    思いつかんて、こんなに〜!(*゚Д゚艸)

    1作品の中に幾つも仕掛けてきますよね。

    ミステリー小説の冒頭には『見取り図』や『家系図』などが仕込まれていて心躍るのは定番です。

    飛鳥部さんの小説の冒頭には(まだ3冊しか読んでいないが恐らく今後もあるだろう)絵画が仕込まれています。

    この絵画を読み取り、謎を解く…?ヒントのような?役割を担っています。
    それだけじゃないのですが、説明が難しい…。
    奥深く読み取り、妄想を掻き立てるような解釈をしていく様子を読むのがとても面白くて、没頭してしまいました。

    飛鳥部さんは美術教師だそうで、なるほど〜と納得。
    美術の知識をふんだんに駆使していて、講義を聞いているようで非常に面白い。
    興味深い。

    興味深いと感想を書く小説って、私の中では最高と同義で、もっと他の作品も読んでみたくなります。

    ここからこう読み取る?そう展開させる?っていう意外性がとにかく面白い。

    面白かったぁ〜‎߹ㅁ‎߹)♡


    飛鳥部さんに関しては刊行順とか不可能なので、面白そうなの片っ端から読みます!!

    次は『黒と愛』いきます!!ヽ(´▽`)ノ♡

  • 殉教カテリナ車輪、まずタイトルに惹かれます。
    そして著者の描いた絵画が興味をそそり、さらにミステリと図像学の融合。
    オチは弱めだが端正なミステリでした。

  • 飛鳥部作品を初めて読んだ。読みやすかった。
    偶然が起きなければ、桂は手袋をあげられただろうか。結局あげられなかった気がする。
    作中の女性達の中で、佐世子さんが一番たくましくかっこいい。

  • よくある「偶然の流れ」で
    今頃ではあるが古書店から購入し、著者のデビュー作を読了。
    飛鳥部氏については例の「事件」に関して様々な意見があるようだが、
    それはひとまず脇に置いて――。

    美術館事務員・井村は、
    気難しそうだと思っていた学芸員・矢部と、
    ふとしたことから気安く言葉を交わすようになり、
    無名のまま早逝した画家・東条寺桂を知る。
    矢部は二年前に企画展の準備をしていて目に留まった作品の
    制作者・東条寺が気にかかって購入者たちを訪ね、
    一枚の絵に隠蔽された手記を読み、
    二十年前の連続密室殺人事件の謎に触れたという……。

    単純に面白かった。
    無骨で自己表現の下手だった男が、
    偶然出会ったミューズを渇仰し、
    絵画制作に没頭するようになったが、
    年少の師であり巫女のようでもある乙女は
    暗い影に包まれていた――といったところ。
    不器用な絵描きたちの魂の交流を
    美しいと思うか「気持ち悪い」と感じるか……が、
    本作の評価を分ける一つの基準になるかもしれない、
    そんな気がする。
    私は美香ちゃんを、
    いじらしくて可哀想な女の子だと受け取ったので、★4つ。

    ところで、
    密室トリック推理合戦にて、洗濯機の話が出てくるところで、
    中井英夫の「聖父子」(@『幻想博物館』)かっ!
    とツッコミを入れたのは私だけではないと思うが(笑)。

  • 絵解きは推理小説に似ているという言葉通り、一見怪しげな絵を少しずつ読み解いていく面白さに引き込まれる。ここは見たものからあらゆる可能性を検討する、いわば推理の序盤になる。次に来るのが手記。手記の部分は前半とは一転して、どこか湿っぽく、より推理小説然としてくる。本格派としての端正な事件の検証も満足できる。結局密室は偶然によってできたことが明らかになるが、これはこれで良い。偶然によって、信仰にも似た感情を抱いていた相手を殺してしまった桂の心中はどのようなものだったのか。一見、感情が薄いように見える桂がその後の人生の全てを芸術に捧げたという事実、エピローグのセリフから想像を膨らまさずにはいられない。

    またこの殉教カテリナ車輪という小説自体が矢部の手による作品である可能性を匂わせる、メタフィクション的仕掛けも面白い。

  • 事件で起きてしまったことが、救いがなくて悲しかった
    絵を読み解くパートと、事件の謎を解くパートが、最後に統合されて、一人の画家の心情を読み解くような形に収斂していった構成がとても美しい

  • 絵は全くの素人だけど、解説(解釈)つきで面白く読めた。カラーで載っているのも贅沢。事件そのものはそこまで大きくないけど、『手袋を買いに』の引用が切ない。

  • 再販感謝!!
    が、過去何年分もの期待でハードルが上がりすぎてたかな…
    図像学から画家の内面に迫る前半は面白かったけど、後半がなぁ。
    絵を絡めちゃおうという試みはとても好きでした。

  • 復刊版を購入。
    図像解釈学とミステリの融合。
    前半は謎めいた画家の生涯と彼の絵についての謎解き。
    肝心の密室殺人は後半に発生する。
    先に読んでいた堕天使拷問刑や黒と愛の力業と比較すると本作のトリックはスマートだったように思う。
    途中、人数が変だな?と前に戻って確認したのだが解決パートで合点がいった。
    犯人の葛藤は文章ではなく絵で表現されていた、ということか。

  • 23年振りの再版!!!
    ありがとうありがとう!

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