春待ちの姫君たち (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.30
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本棚登録 : 162
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488435110

作品紹介・あらすじ

ある出来事で親友・春来との友情を引き裂かれ、心を閉ざす赤音。しかし彼女には秘密があり……。少女たちの愛憎と友情が迎える、驚愕の結末とは。繊細な筆致で描く傑作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 中学時代、クラスの女子たちが休み時間のたびに、手を取り合い連れ立ってトイレに行くのが不気味で仕方なかった。
    何人かで談笑しているかと思ったら、誰かと誰かが視線を交わしあい、急に口元を隠して耳打ちを始める姿にぞっとした。
    気がつけばトイレに行くメンバーが微妙に変わっていたりして。
    分裂と増殖を繰り返す「女子」という巨大な生命体に脅威を感じていた。
    で、その生命体の新陳代謝からはじき出される者もいて。

    「あたしの名前を赤音(あかね)だけに呼ばせてあげる」
    その特別な権利によって友情を誓い合った中学二年生の春。
    そこからいくつもの季節を巡る物語。

    大映ドラマ(わかります?)のような少女小説。
    おバカ男子にはなかなか解り難い世界ながらも、ひりひりとした感覚は伝わってくる。
    ミステリ要素はなくても、著者は充分こういう世界を描けそうな気がするけれども、この「ごろっとした」異物感がいいのかもしれない。
    物語の中心にある据わりの悪いプリズムが、多角的に照射された光をさらに乱反射させ、登場人物たちを不安定で歪んだ像として結ぶ。

    本書は2005年にコバルト文庫から刊行された同タイトルの作品を大幅改稿したものらしい。

    同著者の『星を撃ち落とす』は、物事の見え方や人物の印象は一元的な物ではないという日常の事実を、ミステリにうまく落とし込んだ近年の隠れた傑作だと思っているが、そこに連なる種はこの『春待ちの姫君たち』ですでに蒔かれていたようだ。

    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、ホンマお久しぶりです!
      たくさんのお気に入りポチと
      怒涛のコメント爆撃ありがとうございます(笑)(^^)

      いや...

      kwosaさん、ホンマお久しぶりです!
      たくさんのお気に入りポチと
      怒涛のコメント爆撃ありがとうございます(笑)(^^)

      いやぁ~、それにしても生きてて良かったぁぁ~(笑)(>o<)
      マジで心配したし、寂しかったんスから~(泣)
      僕はある意味、kwosaさんに読んで欲しくて、感想を聞きたくて
      レビュー書いてるところがあるんで(笑)、
      この本、kwosaさんならどう思うやろ~とか、
      この映画、kwosaさん好きそうやなぁ~とか(笑)、
      打てば響くように反応してくれて、
      マニアックなネタも当たり前のように分かってくれる人やからこそ、
      やっぱ常々意識してまうってところ
      あるんやろなぁ~(^^;)

      あっ、そうそう、
      kwosaさんに紹介されたのを機に
      友桐さんにすっかりハマってしまいましたよ~(^^)
      新作『裏窓クロニクル』も期待を裏切らぬ面白さだったし、
      まだまだ荒削りな部分や詰めの甘さはあるけど、
      巧みなセリフ回しと研ぎ澄まされた言葉選びのセンスはこの人の持ち味だし、
      桜庭さん同様に魅力的なキャラを作るのが上手いので、
      些細な粗があったって
      まぁいいかって思うくらい
      友桐さんの紡ぐ物語世界に
      どっぷりのめり込んでしまうんですよ(笑) 

      kwosaさんのレビューにある
      「ごろっとした」異物感っていうのが気になるし、
      『スチュワーデス物語』『不良少女と呼ばれて』『スクールウォーズ』『ポニーテールはふり向かない』『ヤヌスの鏡』なんかの大映ドラマ好きやったし(笑)
      コレも近々読んでみたいなぁ~♪

      あと僕の本棚の『シネマ食堂』『サンダーボルト』『人間みな兄弟』『ネオカル日和』『倒立する塔の殺人』『ごめんね青春』にも返事書いたので、
      また暇つぶしがてらにでも覗いてみてくださいね。

      ではでは~♪



      2015/05/30
    • kwosaさん
      円軌道の外さん!

      こちらこそ「これいいね!」とコメントありがとうございます。
      以前にもたくさんコメント頂いていたのに返事がまったくで...
      円軌道の外さん!

      こちらこそ「これいいね!」とコメントありがとうございます。
      以前にもたくさんコメント頂いていたのに返事がまったくできていなくてすみません。

      最近は読書に割ける時間がめっきり減り、読んでもレビューが書けず、本棚登録のみという日々が続いています。
      そんな中でもレビューを読んで、熱心にコメントまでくださる円軌道の外さんの存在は大変ありがたいです。
      円軌道の外さんと、本を通してさまざまな事が語り合えるのは楽しい!
      これからも仲良くしてくださいね。

      友桐さんの新作もお読みになったようですね。
      こちらが一つ紹介をすると、そこからあとは幅を広げ、どんどん先を突っ走っていく円軌道の外さんはやっぱりすごい!!

      『春待ちの姫君たち』の”大映ドラマ感”はTBSというよりは、『ヤヌスの鏡』や『アリエスの乙女たち』みたいなフジテレビ寄りです(わかります?)。

      本棚の方にもおじゃましますね。
      2015/05/30
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、元気してますか~(笑)
      東京に来てはや9ヶ月ですが
      蒸し暑い大阪に比べるとまだ凌ぎやすい気候なので、
      身体はラクで...

      kwosaさん、元気してますか~(笑)
      東京に来てはや9ヶ月ですが
      蒸し暑い大阪に比べるとまだ凌ぎやすい気候なので、
      身体はラクです(笑)
      ただ最近関東は地震が多いので、
      毎日ビクビクしています(^^;)

      いやぁ~、スランプは誰もがあります。僕自身定期的にあるし、
      僕の読書友達の何人かも必ずレビュー書けない時期があって、
      そういう時期はムリをしてレビューを書かずに、
      ただ楽しむだけのために本を読むことだって言ってました。
      こういう不特定多数が見るサイトでレビューをアップしてると、
      いつからか『書くために読まなきゃ』といったような本末転倒な状態に陥ってたりして…。
      それって悪循環だし、本来の、
      本や映画を楽しむって当たり前のことができなくなっちゃいますからね(汗)
      特に僕らの歳になると仕事に追われて学生時代みたいに好きなことに時間を費やせなくなるのは致し方ないことですもん。
      kwosaさんみたいに家庭を持ってると尚更やと思います。

      あはは(笑)
      何を仰いますか!
      僕は純粋にkwosaさんの書くレビューのファンなんで
      ホンマいろいろ勉強させてもらってます(笑)
      kwosaさんのレビューを読んで
      ビビビと感じたものは、
      殆ど僕の「読みたいリスト」に入ってるし(笑)
      こちらこそ、末永くよろしくです!(^^)

      いやぁ~、お恥ずかしい限りです(笑)
      kwosaさんなら分かってくれると思うけど、
      音楽にしても映画や小説にしても
      1を知って、そこから掘り起こしていくことが楽しいし醍醐味でもありますよね。
      好きな映画ならその作品に出ていた役者を追っかけてみるとか、
      音楽ならその歌手が影響受けたものを自分も探して聴いてみるとか。
      学生時代に携帯やネットがまだなかった僕らの世代だと
      こういう感覚は普通なんやけど、
      今の10代20代の人たちは
      コレができないみたいです(笑)
      自分でどんどん「好き」を広げていく楽しみが感覚として身についてないみたいです。

      大映ドラマ自体の記憶は朧気ではありますが、
      TBSの方が地味な配役で(笑)ドロドロした愛憎劇で、
      フジテレビはどちらかというと
      若いアイドルが主演で
      若い世代向けの漫画チックな作りやった気がします(笑)
      違ったかな?(汗)(^^;)
      (コレってただ単にテレビ局のカラーの違いかもやけど笑)

      2015/06/12
  •  孤独な学校生活を送る赤音。彼女を中心にそれぞれの少女の愛憎と友情が行き違う様子を描いたミステリ小説。

     元々集英社コバルト文庫から刊行された作品なので、少女マンガ風なのはしょうがないとは思うのですが、それでもその度合いが濃すぎるように思いました。このあたりは単純に自分の好みの問題だとは思うのですが……。

     その思いが強かったためか、登場人物たちの行動も理解しきれないものが多く見られました。特になぜ舞がそこまで赤音に固執するのか、一応本の中で説明してはいるのですがあまりにも抽象的すぎてついていけませんでした。他の登場人物にも同じことは言えて、なぜそこまでするの? という思いが強くミステリとして純粋に楽しめませんでした。

  • 作中に出てくる劇に沿って話が展開していく。 二度読みしてやっと全貌が掴めた。 男性登場人物は主人公の兄くらいしか出てこないが百合物ではなく友情がテーマ。 親友を独占したい、親友と二人だけの世界を邪魔されたくない、思春期の少女にはありがちだと思う。その世界が誰かの些細な介入で簡単に壊れてしまうのもよくある。学生時代を思い出した。 彩の行動は赤音を救うためとはいえ、やりすぎに感じたので最後のどんでん返しはあまりしっくりこなかったなぁ。

  • <ハル待ちのヒメ事。カイエン―>

  • 儚くて、痛々しくて、切なくて、美しい

  • こういうのが最近は読むのが辛くなってきたなぁ。

  • 購入。10代の少女の特異性こそがミステリだと思った。「あたし」と「あなた」が同一になっていて、そこで世界が完結していて。理解はできるけど共感は出来なかった。
    自分が中学生だった時に読みたかった。

  • 友情はこんなにも深くて、痛い。

    ミステリー、かもしれない。なんか、痛々しい。でも、わかる気もする。お互いの特別になりたいために、動けなくなる。でも、ここまで本気で誰かとの関係を作ろうとか、誰かのために動こうと思ったことないんじゃないかな。

    元々持っている能力が高いために成長出来ていなかった舞と、それをわかった上で上手に付き合っている琴乃さんが好きです。

  • ドロドロしてて、今日の友は明日の敵、みたいな。なろうとしていたものになったけど、本物には敵わなかったみたいな。
    百合感抜群の中学から高校へ至る女の子たちの想いってやっぱり混沌としてるなぁ。『星を撃ち落とす』もそうだけど、コバルト出身もあって、少女マンガチックで、とても怪奇な空間が広がってる。初期の桜庭一樹作品みたいな雰囲気を感じました。あと、『悪魔のリドル』みたいな。

  • 繊細な少女たちのミステリ。だけど儚い印象とは裏腹に、かなりしたたかな物語。直接陰惨な事件が起こるわけではないけれど、この年頃の少女の残酷さが突き刺さるような痛々しさを感じました。美しい少女たちは魅力的だけれど、とげがあるからこその美しさなのかも。
    それでも後味はやわらかく穏やかで、それこそ春のようにほっこりとしました。挿入される物語もいいなあ。

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