鳥少年 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.55
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本棚登録 : 412
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488441029

作品紹介・あらすじ

人間に巣喰う狂気と業が織り成す、妖艶な背徳の世界。初文庫化に3篇の単行本未収録作を附した、魔と奇想に彩られた16編の傑作を収めたミステリ短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 本作は、確かに幻想と言えば幻想なんだけど
    ミステリ調のものから、ホラー調のものまであって
    幻想との境があやふやな感じがたまらない。
    もちろん、それを感じるのは、ラスト。
    今までのは何だったの?ってなくらいに
    いきなり引っくり返される。

    あぁ~これがたまらない。
    来るぞ来るぞって感じが全くしない。
    本当にいきなり引っくり返される。
    本作では女の物語が印象深い感じがしました。
    やっぱり女の執念というか情念って怖いなぁ~と思ってみたり・・・
    今回も楽しませていただきましたぁ~♪

  • 短編集。皆川さんの書く女性・少女の話は、どれも後ろ向きになる。今回は女性の鬱屈した心理描写が多く、なかでも『魔女』『泣く椅子』は痛かった…。最後の『沼』は少女の話で、全体の調子がカッサンドラやお七の短編に通じていて、とても好みでした。

  • 1作をのぞいて70年代&80年代に書かれた短編集。ジャンルはさまざまなのだけれど、どれもゾクっとする面白さがありました。

    精神病院を舞台にした書簡小説の「火焔樹の下で」は、夢野久作風というかドグラマグラ的なモチーフで、おどろおどろしい怖さ。隣室をのぞくことにはまってしまった女性の「密室遊戯」は、乱歩ぽかったりして、古き良き昭和の怪奇ミステリぽいところがこの2作はお気に入り。

    「卵」と「黒蝶」は、この作者お得意の役者ものですが、「卵」のほうはいささかラストは難解ながら、「黒蝶」はわかりやすく同性愛のにおいがします。

    「魔女」「滝姫」「坩堝」はどれも年上女性の、年下の男性に対する執念が怖い。「魔女」は構成も凝っているし、なんてことない普通の女性が皆魔女のような一面を持っていることにぞっとさせられ、逆に「滝姫」のほうは不幸な死を遂げた女性の呪いを感じさせられる伝奇的な怖さ。「泣く椅子」は、妹夫婦に寄生する姉視点の話ですが、自分が正義だと信じてる人の盲目的な狂気のタチの悪さがたまらない。

    表題作はタイトル同様内容にも奇妙なインパクトがあり、怖いというよりはじわじわと悪寒がしてくる感じ。「バックミラー」は「火種をコルタサール及びバルガス・リョサより得ている」と作者コメントがあり、元ネタ気になりました。

    個人的に一番お気に入りだったのは唯一90年代作品の「ゆびきり」。泉鏡花っぽいノスタルジックな幻想性と女性の侠気(狂気ではなく)が描かれていて、掌編ながらあざやかでした。

    ※収録作品
    「卵」「血浴み」「指」「黒蝶」「密室遊戯」「坩堝」「サイレント・ナイト」「魔女」「緑金譜」「滝姫」「ゆびきり」「鳥少年」「泣く椅子」「バック・ミラー」「沼」

  • 70年代・80年代に書かれ、90年代の終わりまで短篇集に収録されていなかった幻想ミステリ作品群…とのこと。

    私はここ数冊、皆川作品を休憩本にしてしまい美しい世界に浸りきれないという大失態を犯していたので、今回は念入りに準備したつもり。
    作品の世界を存分に味わうためには、読者の姿勢も絶対大事なんだなぁ。
    すごくすごく良かった。本当に素敵だった!!
    息苦しいくらい溺れた。
    (今回の準備は。どうしたって気分を練り上げてから読む夢野久作→谷崎潤一郎の怪奇幻想系作品集で気分を高めて、読む時も部屋の明かりを白熱色に変えて…といったところ。)

    狂気と血と痛みに彩られた妖艶で美しい世界が16篇。
    その中でも「密室遊戯」の最後の1行の素晴らしさ!
    ページをめくったその瞬間に、漂っていた謎や不穏な空気の全てが収束して思わず息を呑んだ。
    他には「火焔樹の下で」「血浴み」「魔女」「緑金譜」「滝姫」「沼」が特に好きだった。

    2013年の文庫化再編集にあたって書かれた解説(日下三蔵氏)の通りに、『開かせていただき光栄です』で皆川さんの世界を知り『死の泉』で夢中になり『倒立する塔の殺人』で溺れたパターンの“一流の物語作者を発見した新しい読者”(p.330)のうちの一人である私には、本当に夢のように幸せな1冊だった。

  • 祝文庫化!
    単行本未収録作!+初文庫化三篇!!

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    「人間に巣喰う狂気と業が織り成す、妖艶な背徳の世界。初文庫化に三篇の単行本未収録作を附した、魔と奇想に彩られた16編の傑作を収めたミステリ短篇集。」
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    「私の中に巣喰う狂気が、さまざまな夢を見させる―さらなる広がりと魅力を増した皆川博子の恐怖世界。妖しくも美しい、十三の不思議な物語。」

  • 精神病院で受けた絵画療法によって絵の才能が開花した青年を巡る、病院関係者たちの心の闇を書簡形式で綴るミステリ「火焔樹の下で」、隣室をのぞき見た孤独な娘を誘う異様な遊戯とその結末を語る「密室遊戯」のほか、初文庫化に際し、閉鎖的な地方に生きる少年少女の倦怠と残酷を幻視的な筆致で描き出した「バック・ミラー」など3篇の単行本未収録作を附した16篇を収める。(表紙裏)

    火焔樹の下で

    血浴み

    黒蝶
    密室遊戯
    坩堝
    サイレント・ナイト
    魔女
    緑金譜
    滝姫
    ゆびきり
    鳥少年
    泣く椅子
    バック・ミラー


    これまで読んできた作者の方の短編集の中では、最も、わかりやすい結末が提示されていました。初手はここからのほうがいいのかなぁ。
    初出はいずれも70~80年代ですが、もとより時代感覚の薄い作風なので、違和感はありません。
    幻想短編に触れてみたい方に是非とお勧めできる一冊。

  • うーん。
    世界に入り込めなかった。

  • 表題作「鳥少年」。タイトルのイメージから勝手に幻想的な世界を想像していたが見事に裏切られた。ものすごく不快でものすごくリアルな感情や出来事を、現実とは乖離した一見ファンタジーのようにもみえるものと対比させたことで両者の存在が一層際立つ妙。
    表題作以外もどれも肌がぞわりと粟立つ物語だが、そんな中で突然出合う美しい言葉や一文の輝きに何度も胸がふるえた。

  • 人間の闇満載。
    よくわからない話を頑張って読み進めたけど、「泣く椅子」は少し面白かった。
    妹夫婦の家に姉が転がり込む。
    妹が不倫していることを知った姉が色々行動を起こすが、妹の不倫相手と夫も繋がっていたという結末。
    ーーー
    精神病院で受けた絵画療法によって絵の才能が開花した青年を巡る、病院関係者たちの心の闇を書簡形式で綴るミステリ「火焔樹の下で」、隣室をのぞき見た孤独な娘を誘う異様な遊戯とその結末を語る「密室遊戯」のほか、初文庫化に際し、閉鎖的な地方に生きる少年少女の倦怠と残酷を幻視的な筆致で描き出した「バック・ミラー」など3篇の単行本未収録策を附した16篇を収める。

  • 幻想的な短編集。美しく、だけどどこかしら禍々しく歪んでいる気がして。あからさまではないものの、そこはかとない恐怖感も感じさせられる作品が多いです。
    お気に入りは「密室遊戯」。ストーリーの展開やモチーフがとにかく魅力的だったし、ラストでぞくりとさせられました。一番怖かった一作。
    「サイレント・ナイト」「魔女」も怖いなあ。現実的な人間の怖さを思い知らされたような気がしました。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
一九三〇年、京城生まれ。東京女子大学英文科中退。
72年、児童向け長篇『海と十字架』でデビュー。
73年6月「アルカディアの夏」により第20回小説現代新人賞を受賞後は、ミステリー、幻想、時代小説など幅広いジャンルで活躍中。
85年『壁――旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会協会賞、86年「恋紅」で第95回直木賞、90年「薔薇忌」で第3回柴田錬三郎賞、98年「死の泉」で第32回吉川英治文学賞、12年「開かせていただき光栄です」で第12回本格ミステリ大賞、13年 第16回日本ミステリー文学大賞を受賞。
異色の恐怖犯罪小説を集めた傑作集「悦楽園」(出版芸術社)や70年代の単行本未収録作を収録した「ペガサスの挽歌」(烏有書林)などの傑作集も刊行されている。

「2017年 『皆川博子コレクション10みだれ絵双紙 金瓶梅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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