獏鸚 (名探偵帆村荘六の事件簿) (創元推理文庫)

著者 :
制作 : 日下 三蔵 
  • 東京創元社
3.43
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本棚登録 : 139
感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488446116

作品紹介・あらすじ

科学知識を駆使したミステリを描いた、日本SFの先駆者・海野十三。鬼才が産み出した名探偵・帆村荘六が活躍する推理譚から、精選した傑作集を贈る。全10編収録の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 獏鸚 名探偵帆村荘六の事件簿』読了。昭和の時代の、科学知識を駆使した奇想天外な作品群。現代にこういうプロットでミステリを書けば、バカミスになるだろうと思われるが、古い時代の作品だからこそ、奇妙にリアルな非現実さと説得力がある。じわりじわりと読み、体力を消耗したが堪能。

  • 表紙絵が好みでずっと気になってた創元推理文庫の海野十三復刻シリーズについに手をつける。乱歩らと同時代に「新青年」で活躍した作家なので、東京は「帝都」、山手線が「省線電車」だったりするところがレトロだけれど、あの時代の探偵小説はその空気感込みで好き。雀荘で働く女の子を「麻雀ガール」と呼ぶのとか(笑)

    こちらは探偵・帆村荘六(ほむらそうろく)のシリーズ短編10作収録。探偵の命名由来には諸説あるようですが有力なのはやはりシャーロック・ホームズのモジリ説だそうで。

    全体的に理数系のトリックというか、探偵も本業は理学士だし、犯人の職業も博士だの技師だの何らかの研究者の類が多かったりして、動機よりもトリック重視という印象。動機はついでのようにちょっと語られるだけなので、え、そんな理由で?となることもしばしばだけれど、そこはまああまり作者にとっては重要ではないのでしょう。

    解剖ばかりしてる夫を殺害して浮気相手と生きていこうとした人妻が夫に逆襲される「俘囚」は、探偵がチラリとしか登場せず、人妻の独白形式なのも異色だったけれど、なにより収録作中ではダントツの乱歩的猟奇趣味、想像するとかなりグロめの仕上がりになっておりインパクト大。

    ※収録作品
    麻雀殺人事件/省線電車の射撃手/ネオン横丁殺人事件/振動魔/爬虫館事件/赤外線男/点眼器殺人事件/俘囚/人間灰/獏鸚

  • 海野十三による帆村荘六もの短編を10本収録したミステリ傑作選。図版入りの物理トリックを用意して尚ひと捻りした「省線電車の射撃手」、ぶっ飛んだ真相の中にも伏線とミスリードが冴える「赤外線男」、「爬虫館事件」のアリバイ崩し、怪しげな“会社”の隔離領域で起こる「点眼器殺人事件」etc……。荒唐無稽な疑似科学、当時の最先端科学を織り込んだトリックが鮮烈な印象を与えると同時に、80年以上前に書かれたとは思えないほど現代本格的な作品ばかりでアベレージがすこぶる高い。明日このネタを使った新作ミステリが発売されても納得できるレベルです。迷ったら買い。迷わずとも買いでしょう。

  • 『日本SFの先駆者』、海野十三の奇想探偵小説集。
    黄金期の探偵小説が持つ雰囲気の良さもさることながら、江戸川乱歩や横溝正史と違うところは、科学的なトリックを多用しているところ。この辺りが『SFの先駆者』と呼ばれるだけある。
    探偵役の帆村荘六は明智小五郎に代表される『超人的な名探偵』の系譜に繋がるキャラクター造形で、所謂『探偵小説』を読み慣れている読者にはとっつきやすいタイプと言える。本作の持つ雰囲気の良さは帆村のキャラクター造形によるところも大きい。
    余りミステリではモチーフにならない麻雀を扱っている『麻雀殺人事件』と、奇想天外なトリックが正に『奇想ミステリ』の『爬虫館事件』、怪奇小説じみた雰囲気が漂う『俘囚』の3作を推したい。

  • 幅広いバリエーションに富んだ作品集。これだけあれば、必ず1つくらいは気に入るものがあるのではないだろうか。私は「省線電車の射撃手」が結構気に入った。青空文庫でほとんどが読めるので、そこで読んでみるのもおすすめ。

  • 普通ぽいのから、SFみたいの、猟奇的なのまで、いろいろ。
    帆村さん、特別キャラが立ってるわけでもないけど、存在感がないわけでもない、不思議な人だった。

  • 海野十三氏の作品が沢山青空文庫になっていることは知っていてもどの作品から読めばいいかもわからないし意外といつでも読めると思うと読まないもので…そんなところへの書籍化は嬉しかったです。文章は想像したほど古臭くはなく読みやすいです。時代を感じさせるものも悪くないですし、「俘囚」や「赤外線男」のような行き過ぎと感じるものも十分楽しめました。「振動魔」「人間灰」のような化学的で怪奇的なものは特に好みです。人により好みは分かれそうですが私はとても好きだったのでもっと早く出会いたかったです。

  • ご本人は推理小説として書いたのに、後年の評価が日本SFの先駆者と言われてしまった残念感が。
    ホームズも微妙に科学が進歩した時代だとSF扱いになってしまうのか。
    全体的に淫靡な雰囲気もあり、江戸川ドイル作といった感じ。

  • ちくま文庫の怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児を分冊して、再刊したもの。ちくま文庫版も持ってますが、もちろん買いました。内容はもちろん素晴らしいです。

  • 「赤外線男」とか「人間灰」だとかタイトルだけで既にドキドキする 目を剥く型破りの科学トリックが盛り沢山で、「そんなのアリ!?」と思わないでもないものもあるが、鬼気と妖気に満ちた物語世界の情調の為に納得させられてしまう 女性の登場人物にやたらと艶っぽい美人が多いのも面白い

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著者プロフィール

1897-1949。推理小説家。日本SFの草分け。主な作品に、「電気風呂の怪死事件」「深夜の市長」「赤外線男」「蠅男」「十八時の音楽浴」「地球盗難」「火星兵団」など。

「2018年 『海底大陸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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