蠅男 (名探偵帆村荘六の事件簿2) (創元推理文庫)

著者 :
制作 : 日下 三蔵 
  • 東京創元社
3.73
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本棚登録 : 51
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488446130

作品紹介・あらすじ

名探偵帆村荘六、再び帰還! 科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描いた、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が生み出した名探偵が活躍する推理譚から、傑作集第二弾を精選して贈る。密室を自由に出入りし残虐な殺人を繰り返す、稀代の怪人との対決を描く代表作「蠅男」。在原業平の句にちなんだ奇妙な館に潜む恐るべき秘密を暴く「千早館の迷路」など、五編を収録。解説=日下三蔵

感想・レビュー・書評

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  • 探偵・帆村荘六が活躍するシリーズ2冊目。表題の蠅男は長編。帆村氏が大阪出張中に起こった異臭騒ぎ、煙の出所はドクトルと呼ばれる変人の住む「キチガイ館」その煙突の中から死体が発見される。同じ頃、富豪・玉屋総一郎のもとに「蠅男」と名乗る怪人からの殺害予告状が届き・・・。

    これまで読んだ海野十三は科学的なトリックが多く、探偵・帆村も本職は理学士だったし、犯罪の動機よりはトリックに重きをおいたSF寄りのミステリーといった印象だったのだけど、この「蠅男」はガラリと傾向が変わって、トリックはどうでもよく、とにかく蠅男という特異な人物のみに焦点が当たってしまっていて、ちょっと拍子抜け。

    例えば乱歩でも「蜘蛛男」や「吸血鬼」などと呼ばれる犯人は登場しますが、あくまで比喩的な意味であり本当にスパイダーマンのように壁をはいまわれるわけでも、ドラキュラのように血を吸って逃げるわけでもない。しかしこちらの蠅男、まあ「ザ・フライ」ほどのことにはなりませんが、とにかく普通の形態の人間ではないので、トリックや謎解きが意味をなさなくなってしまう。これはちょっとズルイかなあ。まあある意味SF的といえるのかもしれないけれど。

    他は短編。「暗号数字」は帆村みずから「失敗談」として語るのでオチの予想はつくのだけれど経過はそれなりに面白い。ただその大失態の結果死んだ人がいるのにあまり悪びれていないのが時代差とはいえモヤモヤ。

    お気に入りは「千早館の迷路」。迷路になっている千早館の脱出方法が「千早ふる~」の歌にちなんでいるのはとても面白かった。ただその迷路を作った犯人の動機がとってつけたような極端さなのだけ少々残念。

    「断層顔」は30年後の未来の話になっており(※発表は1947年=昭和22年、作中では昭和52年)、いつも青年探偵と書かれている帆村のことも老探偵となっている。人類は火星探索に赴き、帆村は鏡に映るだけで健康状態が数値でわかり、メイドは人造人間の美女。火星探索帰りの英雄の妻から異相のストーカー退治依頼を受けた帆村、しかし真相は・・・。これはSF要素が強くて斬新だった。

    ※収録作品
    蠅男/暗号数字/街の探偵/千早館の迷路/断層顔

  • 表題の蝿男は、まさに続き物の講談を聴いているかのよう、章ごとに盛り上がりをらみせる冒険活劇。後に少年少女向けにリライトされたそうです。

  • 名探偵・帆村荘六の活躍を集めた傑作選の第2弾。密室殺人を繰り返す怪人、蠅男が暗躍する長編に加え、短編4本が収録されています。本格色の強かった前作に比べどちらかといえば怪奇テイストな話が多く、ミステリよりSF的という意味では著者本来の持ち味に近いのかもしれません。ミステリ好きとしては数式で組まれた暗号の意外な真相にしてやられる「暗号数字」、符合と見立てに彩られた館もの「千早館の迷路」が見どころか。代表作とはいえど前作所収の短編と微妙にネタ被りな「蠅男」はできれば避けて欲しかったです。

  • ちょっとSF混じりのミステリーという風で。しかし、蝿男がそうだったのだけど、海野十三のレトロっぽいSF感はどうも受け入れにくいものがある。

  • 名探偵帆村荘六ものの長編『蝿男』に短編4本を収録。昨年刊行された傑作選が好評だったので、続編が出ることになったらしい。もう1冊も決まっているので楽しみだ。
    本書収録の長編『蝿男』は古き良き気配が漂う『名探偵vs怪人』もの。定番のシチュエーションながら、怪人『蝿男』の造形がSFも数多く残した海野十三らしい。
    短編では『千早館の迷路』が一番好みだった。SF色は薄く、すっきり纏まっていると思う。コミカルなタッチで帆村荘六が右往左往する様を描いた『暗号数字』のテンポの良さも捨てがたい。

  • 『蠅男』作品の構図は怪人vs名探偵なので、いわゆる明智と二十面相のアレと似てる感じなんだけど、SF畑も範疇の海野十三ならではの展開で面白いですね。
    『暗号数字』『千早館の迷路』、短めのショートショート風味の『街の探偵』『断層顔』とどれも楽しめました。今読むとレトロなSFチックなところ、それが良い。

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著者プロフィール

1897-1949。推理小説家。日本SFの草分け。主な作品に、「電気風呂の怪死事件」「深夜の市長」「赤外線男」「蠅男」「十八時の音楽浴」「地球盗難」「火星兵団」など。

「2018年 『海底大陸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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