深夜の市長 (創元推理文庫)

著者 :
制作 : 日下 三蔵 
  • 東京創元社
3.56
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本棚登録 : 60
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488446147

作品紹介・あらすじ

昼とは全く別の姿をした、真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人をきっかけに、次々と起こる怪事件を解決すべく暗躍する市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。慕っていた資産家の老人が亡くなった後,少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮を測定した“興奮曲線”により,殺人事件の犯人を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想に満ちた作品を描いた著者の真髄を示す,珠玉の短編集第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作のみ長編。
    深夜の散歩が趣味の青年作家・黄谷青二こと浅間信太郎は、ある晩死体を運ぶ怪しい男たちを目撃したことで犯人に間違われそうになり逃走。しかしそのピンチを「深夜の市長」なる人物が救ってくれる。夜の世界で顔がきく彼は、見た目はただのルンペンの老人。飲んだくれだけど面倒見のいい年増女お照、その娘で異形の幼女お絹、夜だけ出没する塔に住む科学者・速水輪太郎など、深夜の市長の一派と共に、T市の市長が持つ鍵をめぐる事件に信太郎は巻き込まれていく。

    かつての東京市(※明治22年~昭和18年まで存在、現在の23区あたり。作品発表時は昭和11年につきまだ東京市)ながら架空のT市となっているところがちょっとSFっぽい空気もあり、脇役の個性的なキャラも面白くて、なぜか脳内では手塚治虫の絵柄で再現された。「深夜の市長」の正体が薄々わかってしまうと、その意外性のなさに少々興が削がれるのだけれど、概ね最後までスリリングで、飽きずに楽しく読めました。

    他の短編では「人喰円鋸」が唐突なまでにエログロでインパクト大。夫は実は二人いる(一卵性双生児)のではないかという疑う新妻の「夜毎の恐怖」もなかなか怖くて良かった。

    ※収録作品
    深夜の市長/空中楼閣の話/仲々死なぬ彼奴/人喰円鋸/キド効果/風/指紋/吸殻/雪山殺人譜/幽霊消去法/夜毎の恐怖

  • 江戸川乱歩と同時代の作家。タイトルに惹かれて読んだ表題作はクラシックでモダンなたたずまいだけど江戸っ子気質も残る東京市を舞台に、キッチュなキャラクターが暴れ回る。主人公がすぐ、明日でいいやって、頼まれていた深夜の市長への届け物を怠けて周囲がヤキモキするってパターンがリピートされるなど、全体にユーモアがあり、スラップスティックなコメディー映画やアニメにしたら面白いカモと思った。一方で残りの作品は猟奇に過ぎてほぼ趣味に合わず、印象が悪くなってしまった。

  • 先日刊行された『蠅男』に続く短編集。東京創元社からは4冊目。
    東京創元社の紹介にも『奇想』とあるが、その言葉がピッタリだった。寧ろ表題作より他の短編の方が『奇想』度は強いかも?

  • 昼と夜でガラリと雰囲気を変えるT市が舞台。僕こと浅間が「深夜の市長」と呼ばれる怪人物に出会い、謎の事件に巻き込まれていく。この物語、随所の発想が素晴らしいですね。科学者が住んでる高塔とかね。
    文庫後半は、いままで未収録作などの短編10作。ニヤリとさせるショート・ショートの宝庫で、こちらも読んでて楽しい。タバコの話とか好きだなぁ。

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