模倣の殺意 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
2.99
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本棚登録 : 3919
レビュー : 584
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488449018

作品紹介・あらすじ

七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版。

感想・レビュー・書評

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  • クラシカルな××ミステリで、それもそのはず30年も昔の話というのですからもう十分に古典でしょうね。
    ただいくら時代設定が昔のものとなろうとも、仕掛けられていたトリックはきっとこれから先の世代もずっと楽しめるだろうと思います。
    今の時代はミステリのいろんなトリックが読み放題なのもあるのか、「●●●●はないだろう」とか思ったりしましたが…、騙すことだけを目的に作られてクラシカルなミステリとしてシンプルに騙されましたし楽しめました。さっぱりとした終わり方はなかなか素敵です。

  • かなり古めの作品だが、それも当然。
    解説によれば”このパターン”の叙述トリックを用いたものとしてはおそらく国内初らしい。
    その点を強調しつつ解説者が巻末で醸し出す「今となっては古いが、当時の作品としては画期的!すごいでしょ!」な雰囲気が、
    どうにも押しつけがましく感じられて…。
    どうやら私自身は本作に面白さは見いだせなかった模様。

    解説者はその理由を、既に類似の叙述トリックの作品を多く読んだせいで、
    元祖というべき本作に新鮮さを見いだせなかったのではと指摘するが、
    読んだ順番なんて関係なく、面白いものは面白いと思うんだけどなぁ。

  • 正直、最後まで読んで真相が判明したとき、少しがっかりした。そのトリックがあまりにも大胆というか単純に思えてしまったからだ。だからこそ「騙された!」というような気持ちのいい感覚は得られなかった。
    しかし、真相がわかった上で改めて読み返すと節々に伏線があったことに気づいた。特に序盤にあった「探偵イコール犯人」というワードがこの作品そのものを表していることに気づくと思わず感心した。他にも、秋子側の坂井は受賞したと一言も書いてないなど、真相がわかった後にその緻密な構成を事細かに理解できたので、★4。

  • 物語は昭和40年代。
    特急の名称でああ、この物語は現代(平成)ではないのだな、ということがわかる。
    しかしそれを除けば古さは感じない。

    坂井正夫という男が死んだ。
    自殺にしか思えない状況だが、彼は自殺などするような男ではないという。
    しかし、彼は新進の作家であり、最近ではその才能に枯渇が見られていたようだった。
    二人の男女が別々に独自の調査を進めていくうちに、彼と確執のあった男、彼が盗作したと思われる作品、そして謎の女性と子供の存在が明らかになっていく。
    彼は殺されたのか?
    それとも自殺だったのか?
    探偵役の二人がたどり着いた真実に、読者は二度読まずにはいられない。

    途中で、あるトリックが明かされる。
    それはちょっとご都合主義ではないか、とも思ったのだが、叙述トリックの妙とも言えそうだ。
    人々がそれぞれ自分の視点から語ることで、読者はまんまと著者の罠にかかってしまう。
    解説で鮎川哲也氏がA・クリスティの初期の傑作を思わせると書いているが、私も同感だ。
    と言ってしまうと、詳しい人ならばもしかしてあれかな、などと疑いつつ読んでしまうかもしれないが、できることなら「だまされないぞ」という気持ちではなく「だまされてやりましょう」の方が楽しく読めるように思う。

    解説の方も面白くて、読み終わった後に本作の変遷をたどることができてよかった。
    今でこそ珍しくない、読者への挑戦だが、出版当時にしてみればとても斬新なものだったのではないか。
    ミステリー好きには一読してほしい作品だ。

  • 騙されたー!!!
    途中までは気づいたのにー。
    気持ちの良い悔しさを久しぶりに味わえた良作。
    ミステリを読む楽しさってこういうところだよね。

  • 書店のポップに気圧されて。良いポップだなぁ。勉強になる。帯うらには瀧井朝世さんの短評。
    はてさて中身としては、うーん。開始数ページから読者に身構えさせてしまう文章。詳細までは掴めなくても、疑うには十分な、なんとなくこう、「ざらついた」感じを受けるような。文体は非常に端的なのだけど、その分彩りにかけてしまっているようにも。この段階で人を選ぶ気がする。なんとなく距離をとりながらよんでしまったというか。せっかくポップどおりすごいトリックなのに、そのせいで衝撃を受けきれない。
    あとあれ、主人公たちの推理は確かに意味がわからない。他の人の感想で言語化できた。
    ちょい気になって作家さんの来歴を調べた。なかなかの苦労人だったようで、そこに敬意は評したい。他の殺意シリーズもそのうち手に取る。

  • 約40年前に刊行され、去年ぐらいに「埋もれた名作」として話題になっていた推理小説。ようやく読みました。

    売れない小説家の坂田正夫が、自宅で青酸カリを飲んで自殺した。彼の死に疑問を抱いた中田秋子と久見津伸助はそれぞれに事件の真相を追うのだが・・・。


    読み終わってタイトルに納得!
    気持ちよく騙されました笑

  • 中々の本格推理物でした。
    久々に読みましたが、本格物はやっぱり面白い。

    ただ、私の理解力が乏しいのか途中で大混乱。
    序盤からなんか「アレ?」と思う部分があって、もしやこうなのではと思った案があったのですが「まさかね」と思うようなトリックだったので「まさか」のまま読み進めていたら、まさかの当たり。

    なのにもうごっちゃになっちゃって混乱しました。
    読んでない方には何が何やらさっぱりだと思いますが、なるべく
    ネタバレしたくないので、すみません。

    とりあえずトリックはびっくりしましたが、ちょっと脱力系でした。。。

  • 最初に書かれたのが1971年、その後改題したり加筆修正したりして出版されたものの、暫く埋もれていて、2004年、30年ぶりに再び脚光を浴びたそうな。そういう有為転変を経る作者・作品もあるのだなぁ。
    久しぶりに本格的な推理小説を読んだ。罠はこの辺だな、とわかりつつ、すっかり術中にはまり、読み終え枕元に置いた本を深夜から早朝にかけて何度も読み直し、心地好い完敗感に浸る。

  • 何気なく何も考えずに読みました。読み始めて、懐かしい感覚を覚えました。昨今言われているミステリーやサスペンスというのではなく、中学生の頃、読んだ松本清張さんの作品のような感じ。作品自体が50年近く前に書かれたものであることを知り、なるほどなあと納得しました。面白かったです。途中まで全く予想もできない結末に、感服しました。

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