春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 10023
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488451011

感想・レビュー・書評

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  • スラスラと読みつつ氷菓と比べてしまいイマイチ。氷菓の方がストーリーがイキイキしていて面白かった。こちらは、おもしろポイントが見つけられず。

  • 中二病的な

  • 軽い読み物といったかんじ。所謂ライトノベルというものらしい。日常系ミステリは結構好きだけど、この本の謎に関してはどうでもよすぎて特になにも感じなかった。

  • 春期限定いちごタルト事件

    著者:米澤穂信
    発行:2004年12月24日
    創元社推理文庫
    *文庫書き下ろし作品

    去年の秋、タイトルに惹かれて読んだ「秋期限定栗きんとん事件(上下)」が、「小市民シリーズ」三部作の3作目だとのことだったので、1作目である本作品をブックオフで見つけて購入。著者は、1年前に「黒牢城」で直木賞を受賞した注目の作家。20年近く前、若い頃の作品で、この小説を書いたころに、出身地の岐阜県から東京に移ったという。

    栗きんとんも岐阜が有名だが、この作品でも岐阜というか東海地区っぽい言葉が少し出てくる。「放課」という言葉。これは、愛知県では学校の授業と授業の間の休み時間を言う。他の地区では通じない愛知県独特の言い回しで、一日の授業が終わったあとのことを言う「放課後」という言葉は、あまり愛知県では使わない。この小説は「放課」という言葉が何度か出てくる。ただし、授業間の休み時間ではなく、1日の授業の終わりの意味で使われているので、辛うじて共通語であるとは言えるが、実際には「放課」という人は少なく、「放課後」が一般的だ。

    一昨日のことを「おとつい」とひらがなで書いているのも、岐阜っぽい。この言い方は東海地区より西の言い方である。

    そして、メールの返事で「くそたわけ」というのもあった。濁って「くそだわけ」と東海地区では言うことが多いが、これは他の地方ではいわないので、著者はきっと意識して書いているのだろう。

    話は、船戸高校に合格し、入学した小鳩常悟朗の一人称で描かれる〝ライトミステリー〟。同じ中学から入った小佐内ゆきと、小鳩と小学校が同じだった堂島健吾の3人が中心となって毎回、展開する。完全独立ではなく、少しずつ繋がる5話からなるが、殺人事件のような重いミステリーではなく、クイズ問題程度の軽いものが多い。しかも、解明プロセスが推測ばかりで裏付ける証拠をはっきり示すということでもなく、動機などに疑問が残る話が多い。とても本格ミステリーとは言いがたい。

    この著者自身は、ライトノベルを書く人ではないのだろう。現に直木賞と受賞した〝大物〟作家。しかし、若い頃、文壇に根を張ることを目標の第一にしていたとしたら、とにかく今の読者に受けるものをという必死の思いがあったのだろう。解説は極楽トンボという人が書いていて、誰だろうと思ったが、どうやらウェブ上のライトノベルの管理人らしい。そして、ライトノベルファンにこそ、読んでもらいたいというのがこの著者のミステリーだと考え、彼に協力をしているようだ。ライトミステリーというのは、そのあたりで生まれた言葉なのかもしれない。

    *****************
    以下、内容メモ(ネタ割れ注意)

    1.羊の着ぐるみ
    一人の女子1年生(吉口)のポシェットが盗まれた。小鳩は、堂島健吾の要請を受け、探すことに。新しいクレープ屋さんに行こうと誘ってきた小佐内を30分だけ外で待たせる中、現場にかけつけ、髙田(ジャージを着たがっしり体型)と下村も一緒に。見つからない中、髙田と健吾が携帯で連絡を取り合うが、なかなか行き違いになって再集合できない。最後、髙田が校舎の外から電話してきているところを見つけ、再集合できた。見つからずに、その日は解散した。
    そんななか、小鳩はひらめく。待っている間に誰か校舎から出てこなかったか?と小佐内に尋ねると、ジャージを着たがっしり体型が出てきたと。ポシェットを隠していたのは髙田だと推理、誰も探さない校舎の裏に隠した。髙田のジャージの裾が濡れているので推測できた。
    推測場所に行くと、ポシェットはあった。中から髙田から吉口へのラブレター。彼はこっそり入れたがやっぱり恥ずかしくなって取り出そうとしたが、いろんな小物が入っていてうまく手紙を探せず、とりあえずポシェットを隠したのだった。髙田も白状した。

    2.For your eyes only
    小佐内に誘われ、春期限定いちごタルトのケーキを買いに行く小鳩。小佐内だけ自転車。残り2つだけだったケーキを運良くゲットし、前カゴに入れて2人乗りでコンビニに立ち寄り。小佐内がミルクを買っている間に小鳩が雑誌を見ていると、この近くにある水上高校の生徒数人が居たが、あまり柄がよくない。コンビニを出ると、自転車がない。さっき「サカガミ」と呼ばれていた男子学生が乗って逃げていくのが見えた。限定いちごタルトも遠ざかっていく。これで今年は食べられない。蹴り飛ばされて外された鍵が残る。
    健吾経由で、美術部に連れて行かれる健吾。3年生の美術部員・勝部から2年前に卒業した先輩の、謎の絵の解明を頼まれる。全く同じ絵で、しかるべき時まで預かって欲しい、とのこと。「三つの君に六つの謎を」というタイトル。デジカメで撮り、小佐内に見せると、謎を解き明かした。同じに見える2枚の絵には、微妙に違う6か所があった。要するに間違い探しだった。それは、描いた人の甥っ子のために描いた作品で、甥っ子が三つになったらプレゼントするつもりだったと推測。忘れたか、甥っ子の興味が絵じゃなくなったのかだろう、と結論づけた。

    3.おいしいココアの作り方
    小佐内が生活指導室に呼び出された。盗まれた自転車が犯罪現場で目撃されたという。20歳の学生、五百旗頭(いおきべ)が、選挙の投票に行っている時、泥棒に入られて印鑑を盗まれた。通帳は無事だったので大きな被害はなかった。自転車に貼られていた高校の駐車許可ステッカーが目撃されていた。彼女は盗難にあったことを学校に説明した。
    健吾の家に、小鳩と小佐内が行った。小鳩は道すがら小佐藤内から自転車の件を聞かされる。健吾はココアを3杯つくって出してくれた。そして、ココアを美味しくするためには、まずココアの粉に少量の熱いミルクを入れ、スプーンで練ってから再び熱いミルクを注いでコップを満たすのだと解説する。
    いつの間にか、小佐内と健吾の姉(同じ高校の3年生)が何かを討論していた。小鳩も加わる。シンクには汚れたスプーン一つだけ。鍋もないし、シンクには皿洗いなどした後の水滴がない。一体、どうやって3つのカップとスプーン1本だけでココアを3杯作ったのか?推測が始まった。
    結局、健吾は牛乳パックごと電子レンジでミルクを温め、3つのカップと1本のスプーンで作ったのだった。

    4.はらふくるるわざ
    中間試験の最終科目、生物が終わった。小鳩は小佐内に誘われ、ケーキバイキングに。小佐内は、以前にケーキバイキングはもうしないと決意していたのに。ストレスがたまり、やけ食いのように見えた。事情を聞くと、生物の試験の最中、うしろにあるロッカーから栄養ドリンクの瓶が落ちて割れ、その音で思い出していた回答を忘れてしまって出来なかったという。
    小鳩が現場を調べてみると、ある机の前面にカンニングペーパーが貼り付けてあった。振り返ればそれを見ることが出来る席の生徒が、携帯を鳴らし、瓶の近くに置いたもう1台の携帯バイブの振動で瓶を落とした。その音で、みんなが振り返る。自分も振り返るふりをして、カンニングペーパーを見て回答した。そう推測した。
    最後、2人は、サカガミの乗る盗まれた自転車を目撃、小佐内は追いかけようとするが無駄だった。しかし、ちゃんと使われていることに少し安心した彼女。

    5.狐狼の心
    サカガミと盗まれた自転車を目撃した翌日、再び生活指導室から呼び出された小佐内。自転車が出てきたという。小鳩を誘って、現場へ。倒れた自転車はタイヤの一部が車に踏み潰されて、修理が必要だった。場所は、前日、追うのを諦めた上り坂を上り、さらに下ったところ。左へ行けば街、右へ行けば山。サカガミは、どうしてこんなへんぴな所に捨てていったのか?時間は、昨日と同じぐらいだった、様子を見ていると、街から山方面に、自動車学校の送迎バスが走って行った。サカガミはきっと、バスに乗れるように自転車に乗って急いでここまで来て乗り捨てたのではと推測した。山の中腹には自動車学校。
    小鳩はなんにでも口に出す点、小佐内は復讐のためには執念深くなる点を、高校に入ったことを機に改め、小市民道を歩もうと誓い合い、逃げる場合はお互いを口実に利用してもいいという互恵関係にあった。しかし、小佐内は自転車の恨み、いちごタルトの恨みで再び復讐心を燃やしていた。
    一体、どうするつもりなのか。小鳩は健吾と推測をしていく。サカガミは免許を取るため自動車学校に通っているのだろう。なんのためか?恐らく、身分証明書が欲しいのでは。犯罪に使うためだろう。しかし、16歳の身分証明書を持っていても社会的に制約がある。となると、20歳以上の住民票と印鑑を持って行って、その人になりすまして免許を取ろうとしているのでは?以前に盗難に入って印鑑を盗んだ五百旗頭になりすましているのでは?そう推測する。そして、小佐内はその証拠写真をデジカメで撮影して告発するつもりだ、と。
    2人は自動車学校に潜入すると、すでに小佐内は変装して忍び込んでいた。サカガミの証拠写真を撮るとともに、消費者金融に警告の電話を入れておいた。五百旗頭が金を借りに来たら要注意と。
    結局、サカガミを含む5人が詐欺未遂で逮捕された。小佐内は復讐を果たした。

  • 内容的にはビブリオ某とそう変わらない。
    なんとまあライトなことか。

  • むしさんがお薦めしてたので読んでみた


  • 記録

  • 「羊の着ぐるみ」★★
    「For your eyes only」★★
    「おいしいココアの作り方」★★★
    「はらふくるるわざ」★★
    「狐狼の心」★★★

    小市民を目指す小鳩くんと小山内さんの物語だが、主人公の小鳩くんにイライラ。
    小市民を目指すといいつつ「自分に能力があるのを自覚していて抑えているんですよ感」がいら立ちの原因。
    ほとんど二人の背景が語られずに話が進んでいくのも不完全燃焼感がありモヤモヤ。

    やはり米澤作品は合わない・・・。

  • あんまり好きじゃなかったかも、、、

    自分には合わなかった

  • 言い回しや文言がわかりづらくて読みにくかった。小山内さんと小鳩くんの関係性も理解しにくい上に、過去のこともスッキリできず。。。

    ライトノベルが好きな方は読んでみてもいいかもしれない。

著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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