夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 7630
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488451028

作品紹介・あらすじ

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは"小佐内スイーツセレクション・夏"!?待望のシリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 小市民シリーズ2作目。
    探偵ごとが好きな主人公と羊の皮を被った狼の性格の女子高生が、穏やかな小市民を目指す不思議な物語。
    2作目は隠れ食いをした主人公が、知恵を巡らせて食べなかったことにするという訳の分からない導入から始まる。ダークな狼少女小山内さんが怖くなるような展開。復讐に燃える小山内さんは、主人公を巻き込む罠を次々と仕掛けて行くが、最後は主人公の推理に脱帽する。
    二人の関係は拗れて終わるのだろうか?
    後、2冊購入しているが、こんな暗い内容だと読み進め難い。

  • 小市民シリーズ第二弾。
    前回とは違って、ダークな雰囲気が更に増し2人の本性がより強く出ている回となった。夏休みの中で起きたことを短編形式で起きており、それぞれで面白いのだが最終章で全ての伏線が回収されていくところで鳥肌が立ちました。
    まさか、彼女の「狼」的な一面がこんなえげつない形で発揮されているところがとても恐ろしかった。誘拐事件が石和達の仕業ではなく小佐内が彼女に罪を着せるためににわざと自分の誘拐事件を起こさせて、更に罪を格上げさせるという所が彼女の性格のひずみを見せつけてきてとても衝撃的でした。同じく、ゆきが誘拐されたことを自分の謎解き欲求の土台に使おうと葛藤する場面で、ゆきと同じように小市民になりきれていないという面で、常悟朗の本性は結局ゆきと似ているのかなと感じた。そして最終章で真相が明らかになる場面では常悟朗の推理を凌駕する真相を提示したところは、同作者の「愚者のエンドロール」と似たような雰囲気を感じました。最後は常悟朗とゆきが互恵関係を解消するところで終わったがこれからのシリーズでどんな展開がなされるかが楽しみです。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    小鳩常悟朗:福山潤
    小佐内ゆき:黒沢ともよ
    堂島健吾:日野聡
    石和馳美:上坂すみれ
    川俣さなえ:本渡楓

  • 小市民シリーズ第2段。

    2作目にしてキャラがしっかり出来てきた
    感じ。

    小市民な感じはしなくなってるけど笑

    秋季早く読みたいです。

  • 2021/01/20読了
    #このミス作品61冊目

    小市民シリーズ第2弾。
    連作短編となっていて
    序盤の日常の謎から後半の事件に発展。
    相変わらずスイーツの描写が上手く、
    冬なのに夏感半端なかった。
    パフェ食べたい。


  • 小市民シリーズ2作目。
    高2の夏休みです。
    一見普通の恋人だが、裏では....
    他で同時期に起こる事件とリンクしてだんだん重くなる。
    今回は誘拐。
    ラストはずどんと来た。

  • 夏にアニメ化する「小市民」シリーズの2作目。前作で少しずつ分明らかになった主人公の小鳩くんと小山内さんの本質が、今作でも如何なく発揮される。

    「小山内スイーツセレクション・夏」に出てくるスイーツがどれも美味しそうで甘いものが食べたくなる。とは言え、物語はそう甘いだけで終わるはずもなく、不穏な方向に…。

    小山内さんやりすぎ、と思わずにはいられない場面もありつつ、なかなか良いキャラクターをしていて存分に楽しめた。一方の小鳩くんは観察力、推理力には優れているものの、能力面以外ではキャラクターが少し弱いなとも思ったり。

    春、夏と来て、次作の「秋季限定〜」が楽しみになる一冊だった。

  • 〈小佐内スイーツコレクション・夏〉計画を完遂するために、二人仲良くスイーツ巡りをする話。で済む訳はなく、想像の斜めをいく展開になった。なぜ小佐内さんは小鳩君を誘ってスイーツ巡りをしたのか。読み応えのあるお話でした。
    切ない終わり方で今後どうなっていくのかが気になるので、すぐに秋期を読もうと思います。

  • 小市民シリーズとはなっているけれど、前作の
    「春季限定いちごタルト事件」
    とは別物と言えないだろうか。
    「春季〜」はほぼ日常生活ミステリー感を出しているが本作品は全編が小山内さん誘拐事件という犯罪への通り道となっている。
    前作の読後感を引きずって読み始めると、オヤと何か違和感を感じる。小山内さんが変わっていくのか、あるいは変わるのではなく元の狼に戻っていくのだろうか。
    タイトルとカバーのイラストから「軽い読み物」のつもりで読み始めた私は、シリーズ2作目にして小市民たろうとする気持ちと現実のハザマで葛藤する主人公2人の複雑な思考に付いて行くことができず突き放された気がしている。

  • 小鳩君と小山内さんは高校二年生。ふたりの互恵関係は、平凡で目立たない〈小市民〉を目指して続いているのだが…

    小鳩君は、小山内さん作製の“小山内スウィーツセレクション・夏”に記された順に、町の店を巡るのだが、どういうわけかそこには小鳩君が解かずにいられなくなる、ふたりの目指している小市民への道から外れざるを得なくなる謎が。
    …けれど、あの小山内さんが、ただ単なる食べ歩きを計画するはずもなかった。


    読んだはずなのに何故か登録していなかったことに気づき、おぼろげな印象の記憶であわてて本棚登録。
    甘くて心を蕩かすような、そして冷たくて夏の暑さを忘れるような、どこか刺激的なトロピカルパフェ。
    そして最後は、夏の終わりを告げるかのような、苦い幕切れ。
    えええええ、これで終わっちゃうの?そんな!
    と、すぐさま次を読まなければ、気になって仕方がない。

    そうか、あまりにも一気読みしすぎて、まとめて書こうとして忘れたのかも…
    私は一気読み出来たけれど、続巻をリアルタイムで待っていたら、この夏のあと、辛かっただろうなぁ。


    それにしても、二人の住む町は、どれだけ美味しいスウィーツがあるんだぁぁ!和菓子も洋菓子も…これは高校生のお財布にはなかなか酷ですねぇ。

    美味しいスウィーツが登場するブックリストを作るとしたら加えたくなるほどの、めちゃくちゃに美味しそうな描写なんだけれど…甘く優しく心を癒そうと思っている時に読む本ではない。
    くぅぅ、モデルになっているお店は実在するんだろうか…

  • 何年ぶりに続編を読んだ。恋愛関係でも依存関係でもない男女二人の関係が不可思議な空気感を作り出していて、本シリーズ独特の感覚だった。ただストーリー自体はさほどハマらなかった。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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