犬はどこだ (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 3182
レビュー : 388
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488451042

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ~
    ひさびさの米澤作品だけど、
    読了後三日たった今も
    余韻を引きずるほど
    心に深く刻まれたなぁ~(^^)


    見事な伏線回収の妙と
    異なった2つの物語がリンクし合い
    やがて一つに繋がる快感、
    最終章であるChapter6からの怒涛の畳み込みに酔いしれ
    物語は驚愕の反転へ!

    そして、やるせなさが残る
    なんともほろ苦いラストに撃沈…( >_<)


    後味爽やかとはいかなかったけど

    これぞ小説とも言うべき読み応えと
    追い詰められた人間の怖さや狂気を描いた文句ナシの傑作だと思います。
    (あまりにも衝撃的で後引く結末ゆえに読む人は選ぶだろうけど…)

    タイトルから
    犬の話を期待したアナタ、
    実はそこんとこはメインではないのです(笑)
    (しかしタイトルはラストの一言からちゃんと繋がってきます)


    紺屋S&R(こうやサーチアンドレスキュー)は
    四階建ての古い雑居ビルに
    いましがた開業したばかりの
    犬捜し専門の探偵事務所。

    所長はのっそりと背か高く
    訳あって半年も部屋にこもっていた
    25歳の私(紺屋長一郎)。

    しかし初仕事は犬ではなく
    失踪した24歳の孫娘、桐子(とうこ)を捜して欲しいという老人から依頼。

    ほどなくして別件で
    古文書の解読の依頼も舞い込み
    長一郎は押しかけ助手である
    高校時代の後輩、
    ハンペー(半田平吉)と共に
    手分けして調査を進めるが…。


    反権力の象徴である
    イメージとしての探偵に憧れを持つタフさが売りのハンペーと
    何のこだわりも持たず病み上がりの新米探偵の長一郎との
    温度差のある会話がいい味出していて
    ニンマリできます(笑)

    そして、長一郎は『私』、
    ハンペーは『俺』と、
    それぞれの章を
    私と俺で交互に一人称で語る構成のおかげで
    失踪事件と古文書の解読という二つの物語は
    読者はかなり早い段階から
    密接してリンクしていることが分かるのだけど、
    二人は別々に捜査していて
    そのことにまったく気づいていないので(笑)
    ヤキモキ感を抱かせながら
    読ませる構成が上手いし、
    コレが読者を惹きつけるいい効果を生んでます。


    新米探偵を助けるキャラたちも秀逸で、
    傷ついて東京から出戻ってきた長一郎のために
    次から次へと依頼人を見つけてきてくれる(笑)
    おせっかいな友達の大南や、
    体は小さいが態度はデカい(笑)
    喫茶店を経営する主人公の妹の河村梓(かわむら・あずさ)や
    主人公長一郎のパソコンでのチャット仲間で謎の人物のGENなど
    シリーズ化を考えてか
    かなりキャラ設定にも力入ってます(笑)

    けれどなんと言っても
    長一郎の剣道部時代の後輩で
    愛車ドゥカティM400を乗りこなす
    ハンペーのキャラが颯爽として
    いいのですよ(笑)

    いまいちやる気のない長一郎と違い、
    お調子者の見た目とは裏腹に
    行動派で頭もキレる彼の活躍のおかげで
    物語にいいリズムが生まれ
    いかにもな(笑)ハードボイルドな触感を味わうことができます。


    米澤作品と言えば、受動的な生き方をしてきた主人公が
    事件を通じて変容を余儀なくされるパターンが王道だけど、
    この作品も社会からドロップアウトした長一郎の再生が一つのテーマ。

    そして、一人の女性の失踪の謎を探るうちに
    女性の生き様や苦悩が浮き彫りになり
    物語にはなかなか登場しない
    『彼女』の姿が
    読む者にありありと浮かび上がる構成は
    あの宮部みゆきの傑作『火車』を彷彿とさせて
    なんとも切ないし、

    物語の真相に近づくにつれて
    せっかく築き上げたモノを手放して逃げ続けるしかなかった桐子にシンパシーを感じ
    自分と桐子は同類だと気付く長一郎のシーンから
    俄然物語に惹きつけられ
    衝撃の結末を迎えるのです。


    英語のタイトルになった
    『THE CITADEL OF THE WEAK (弱者の砦)』がまた深いし、
    この悲劇の物語を見事に言い表していて
    読後ジワジワ染みてきます…( >_<)


    シリーズ化を想定して書かれたとのことなので
    コレはまた今後追っかけていきたい作品!

    タイトルで敬遠してる人、
    先入観で見過ごすには
    勿体ない作品ですよ~(笑)

    • 円軌道の外さん

      あははは(笑)
      kwosaさん、連コメありがとー(笑)(^o^)

      都筑道夫さんの『銀河盗賊ビリイ・アレグロ』
      むちゃくちゃ面白...

      あははは(笑)
      kwosaさん、連コメありがとー(笑)(^o^)

      都筑道夫さんの『銀河盗賊ビリイ・アレグロ』
      むちゃくちゃ面白そうやないですか~っ!

      タイトルからしてそそるし、
      カウボーイビバップや寺沢武一のスペースオペラの世界観のミステリってだけで
      もう無条件に涎タラタラやし!(笑)

      絶対手に入れて読みます!

      その旧版の大友克洋のイラストバージョンは
      まだ手に入るんですかね?

      つかそれ、kwosaさんのレビューも
      読んでみたいなぁ~(笑)

      2014/11/01
    • kwosaさん
      円軌道の外さん

      またまたお邪魔します。

      米澤穂信『満願』は凄いですよ。
      『追憶五断章』あたりから「あれ、なんか雰囲気というか筆...
      円軌道の外さん

      またまたお邪魔します。

      米澤穂信『満願』は凄いですよ。
      『追憶五断章』あたりから「あれ、なんか雰囲気というか筆致がかわってきたな」と思っていたんです。
      もちろん学園物や他の作品でいろいろ書き分けているんでしょうが、成熟してきたというか大人の作家になってきたというか(プロにこういうこというのは失礼ですよね)。

      『夜よ鼠たちのために』を読んでくださった円軌道の外さんが、いまのタイミングで『満願』読むと、さらに面白いと思いますよ。
      表題作をはじめ短編すべて素晴らしい出来でしたが、僕は特に『夜警』という交番勤務の警察官を描いた話が好きでした。
      2014/11/13
    • kwosaさん
      そして連城三紀彦がお気に召したのであれば、次は『夜よ鼠たちのために』と双璧をなす短篇集『戻り川心中』をおすすめします。
      『夜よ〜』の現代劇...
      そして連城三紀彦がお気に召したのであれば、次は『夜よ鼠たちのために』と双璧をなす短篇集『戻り川心中』をおすすめします。
      『夜よ〜』の現代劇とは違い、明治大正昭和初期あたりのやや時代がかった趣きの作品が集まっています。
      花にまつわるエピソードが多く、ファンの間では「花葬シリーズ」呼ばれているようです。
      やっぱり全作品が収録されたハルキ文庫版がベストですが、現在入手しやすいのは五篇(六篇?)収録の光文社文庫版。
      でも未収録の「菊の塵」も捨て難いので、同文庫の『夕萩心中』もいずれは是非。
      「伊豆の踊り子」のような文芸作品に超絶技巧が加わったといえば伝わるでしょうか。
      とにかく贅沢な短篇集。

      都筑道夫『銀河盗賊ビリイ・アレグロ』
      大友克洋表紙の講談社文庫版はAmazonでいまなら1円からあったと思います。
      送料込みで300円いかないのはお買い得。
      書影はないですが奇想天外社というところからでていた単行本は、同じ大友表紙で裏表紙まで繋がって絵が描かれていたはずです。
      それも、いまなら送料込みで500円くらいで買えたと思います。
      表紙にこだわらなければ東京創元社から新刊が出ているから書店で買えるし、絶対に読んでほしい!!
      僕は読了後、絶句&放心状態という幸せな読書体験でした。
      2014/11/13
  • 現代を舞台に職業探偵を書こうとすると、どうしてもマンガ的劇画的になりがちだが、この『犬はどこだ』はリアルと虚構のバランスが絶妙だ。そして田舎や中途半端な地方都市を描かせたら抜群にうまいなぁ、米澤さん。

    病気退職で都落ちしてきた元銀行員が地元でペット捜しの調査事務所を開く。開業二日で依頼は立て続けに2件。しかし『孫捜し』と『古文書の解読』という共に当初の予定を逸脱した案件に、困惑しながらも調査を始めるのだが...

    役場に勤める旧友が、じいさん達の苦情処理も兼ねて主人公の事務所に半ば押し付ける形で仕事を廻してくる設定が面白い。この役場の窓口が探偵と依頼人をつなぐパイプ役になっているのだ。そして小説や映画の世界の『探偵』に憧れるフリーターの後輩が臨時職員として加わり物語が始まる。

    心に瑕を負った主人公が事件に関わることによって本来の自分を取り戻していくというハードボイルドの定石を踏まえつつ、一見して脱力のストーリーが次第に不気味な様相を呈して、しかもミステリ的なツイストが幾重にも加わるという贅沢な作品。それを都会の路地裏や薄暗いバーカウンターなど出さずにやってのけるのが憎い。

    ラストに震える。
    『犬はどこだ』というタイトルも巧い。

  • 二つの事件の繋がり方が素晴らしい。
    後半の畳み込みと一筋縄ではいかない展開が堪らない。

  • 米澤先生の書かれたものの中でもかなり好きな小説です。早い。読み応えもあって、最後は夕飯を食べるのも惜しいほどに部屋にこもってました。最後の一言まで目が離せません。さすがです。

  • 読み終わり、思わずタイトルを見てニヤリとしてしまう本。タイトルに釣られて読み始め、作中で犬があまり出てこないことに意気消沈しながら読み進めていたら、最後の一文でああ~!となった。犬を愛している人には少し勧めにくいけど、ヤバくて強めの女が好きな人には胸を張っておすすめできる。

  • 22

    ページをめくる手が止まらないの!

    いろいろあって堅実な人生から離脱してしまった紺野と、
    探偵に憧れるハンペーの、それぞれが追う事件の話。
    最初の段階でおいこらハンペー!!!って思ってめちゃくちゃやきもきしてたけど、それを紺野が最高の形で真実に持ってくの。
    点と点が線になって、そこからは真実に急加速よ!
    最後の展開も良かった。言い方悪いけどスカッとしちゃった。

    ネットには気をつけよう、うん。

    あと毎回思うけど米澤穂信はタイトルが秀逸!
    最初、荻原浩のハードボイルドエッグの方が探偵物としては面白いなと思ってしまってすみません!
    どっちも面白かったです!

    続編はまだなんだ~そっかそっか。。
    でも楽しみが増えたぜいえーい!

    2019.03.23

  • 話は途中で先が読めてしまうが、素直に楽しめる。

  • 読み始めてすぐに、どっかで読んだことある・・・と思い。
    途中で確信。読んだわ。
    でも展開が思い出せないし、もう1回読む。
    最後まで全然思い出せなくて汗、楽しく読めた。

    シリーズ化されそうな内容だけど、続きはあるのかな。
    探してみよう。

  • これもまたすごかった。オチの方向性はまあだいたいそうなんだろうな、という感じだけど、中身はすごく…

  • ずっと積読していた…
    古典部とか、春夏秋冬シリーズとか、低燃費主義のティーンエイジが主人公な作品にばかり接してきたけれど、この作品の主人公はもう酸いも甘いも知って現実に疲れてしまった探偵(犬探し希望)
    作品は情緒的で、文章もたいへん読みやすくて、おもしろい。
    この作者は(実際の史実かどうかは別として)解決に歴史的っぽい史実を根拠に織り込むのがうまいなあと思います。「氷菓」しかり。この作品もしかり。それっぽい文章だったり。それっぽい流れだったり。それっぽい雰囲気だったり。
    「さよなら妖精」が読み返したくなった〜…

著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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