秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488451066

作品紹介・あらすじ

ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ-。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻で溜まったフラストレーションを
    見事に爆発させてくれました!

    常悟朗の推理力も、
    小佐内の復讐とその原因も、
    健吾の献身も、
    上下巻に分けた事すら全てが
    ハマってたました。

    まだまだこの世界に浸っていたいけど、
    高三の受験が始まってしまうんだね。

  • 小市民シリーズ終了。
    他人に知られないように才能を隠していた二人が、最後に覚醒したかのように力を発揮する。別々な人と付き合っていたのが、ともに隠した才能により別れることになり、又、元の鞘に戻る2人。
    内容も復讐の仕方もダーク過ぎて、個人的にはあまりハマらなかった。放火犯を追いかける瓜野君の独り善がりの言動、陰から見え隠れする小山内さんの言動、長期に亘る放火犯の不可思議な犯行。これが高校生向けになるかというと、どうだろう。
    親友と思った小鳩君の友人からも厳しい一言。基本的な言動がダークなので、小市民を目指したというところが最大の問題なような気がする。

  • 放火犯の追及に小鳩くんや小佐内さんがなんやかやと関わっていくのはお約束の感じ。2人が、ただの小市民でいるわけがないのだ。新聞部の部長になった瓜野がどんどん深みにはまっていくようで不穏な雰囲気になっていく。まあ、放火事件は結局小鳩くんの工作で解決するのだが、この推理力や細工の手際よさは尋常じゃないよね。仲丸さんと上手くいくわけがない。小佐内さんも瓜野に痛烈なしっぺがえしをして別れることになる。これも小佐内さんお得意の復讐だ。えぐい、本当にえぐい。本当の小市民たちがかわいそうだ。
    小鳩くんと小佐内さんは、元の鞘に収まるしかないんだよね。やっぱりこの2人は異常だよ。普通の人間はついていけない。まあ、筋をばらしてしまったが、細かいところの推理とか動きとかの機微が面白いので問題なし。その辺がこのシリーズの読みどころかも。

  • 前回の栗きんとん(前編)の後編。
    謎の連続放火事件の解決編。小佐内の行動が明らかに犯人のムーブだったのでまさかと思いながら読んでいたのでドキドキしながら読んでいました。瓜野は可愛そうだと思いつつも、まぁ明らかに逸脱していたし人の気持ちよりも真相を優先して人を振り回していたので仕方ないところもあったのかなぁと思いました。犯人の正体は自分が一番信じていた友人の氷谷で放火の法則性がなんと自分が作った新聞自体でそれに瓜野自身が当てたと思いきやそれが放火を助長させていた事や、解決の記事が部下によって瓜野がからかわれていることを流されて皮肉として幕を閉じられてしまうのがとても米澤穂信みを感じてとても良かったです。そして小佐内が彼を罠にはめた理由がとても残酷できついけど彼女らしいなぁと思いました。
    前回のトロピカルパフェ事件で離れてしまった彼らがこの事件を通じてお互いがお互いのことを必要としていたことにたどり着くのがとても良かった。お互い違う人と付き合いながらも結局はお互いの所にたどり着くのはもう互恵関係以上の関係だと思いました。次で最新作の『巴里マカロン』でどんな話が紡がれるのかが楽しみです。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    小鳩常悟朗:福山潤
    小佐内ゆき:黒沢ともよ
    堂島健吾:日野聡
    瓜野高彦:斉藤壮馬
    仲丸十希子:種田梨沙
    五日市公也:広瀬裕也
    氷谷優人:内田雄馬

  • 2020/07/22読了
    #このミス作品36冊目②

    柔らかいストーリーが良かった。
    犯人探しがどうとか頭を捻らず
    ホッコリした気分で読める。
    とはいえミステリ要素もしっかり。
    春季限定、夏季限定もぜひ読みたい。

  • 立場の異なる2人の視点が入れ替わりながら話が進む
    そのため、見えないところ、読者が認識できないところが存在する。
    裏を書かれたというべきか…いやそんなの知らないし…と言うべきか…モヤモヤとした感覚は残ったミステリーだった。

    犯人も広い視点で言えば、可能性があったが…
    えっ?と思う人であり、なんというか…動機も…ちょっとな〜と思うものだった。
    ただ、解決後に残る後ろ暗さは米澤さんのらしさがみえる

  • 結局、夜通し読んでしまった下巻。怖い、怖すぎる小佐内ゆき!一番敵に回してはいけないタイプ!最後のページを捲った時に早朝の私の心に悲鳴が駆け抜けた。キャーーーーーッ!!!
    自称小市民は自称でしかあらず、結局二人にとっては最高の結末なように思う。このシリーズまだまだ読みたいけど、これでもう終わりなのかな。

  • 袂を分かった高2の夏の終わりから始まる新たな事件。
    てか、二人して別の人と付き合い始めちゃった展開にまずびっくりなんだけど。
    まぁ、離れてみてはじめて、気付かなかったことに気付いたり、わからなかったことが見えてきたりするんです。きっと。

    彼女と一緒でも興味本位の謎解きが止められない小鳩くんと、彼女にいいとこ見せたい新聞部員の瓜野くん。
    物語は二人の目線で交互に語られていきます。
    市内で連続して起こる小さな放火が徐々にエスカレートしていき、季節はぐるっと一周します。
    学内新聞のコラムで連続放火事件を取り上げ、次の犯行場所をつづけて当て、犯人逮捕を目論む瓜野くんに対し、望まないけど無視できなくて事件に向き合う小鳩くん。
    小佐内さんは相変わらず見かけに似合わず恐ろしく狡猾な女性ですが、健気でかわいいところが見え隠れしていていいですね。
    小鳩くんにも高校生らしい素直さが出てきたかな。男としてはなかなかヒドかったもんね。

    恋愛のようで恋愛でないようでやっぱり恋愛なんだろうか。
    たったひとり、わかってくれるひとがそばにいれば充分、なんだよね。

    冬期はいつになるのか。待ち遠しい。

  • 小市民を目指す二人が別れて、小鳩くんにかのじょができました。って、ええ!?バスの場面で……小鳩くん、だめだめじゃん(笑)。二人がそれぞれで「恋人」をつくってみました、という話になっていて、それでも自分の本性を抑えきれないのがよくわかりました。とちゅうまで、新聞部にいらいらしながらも読んでよかった。「あはっ」は秀逸。

  • 『なあ常悟朗。俺は思うんだが,お前は結局,小市民じゃないんだよ』

    彼らが互恵関係を解消して分かったことは,
    自分たちは結局,小市民にはなれないということだ。

    小市民は連続放火犯を特定したりしないし,
    恋人を応援するために陰で暗躍したりしない。

    小市民の恋人と付き合っても,自分が小市民になれるわけではない。
    ……現実とお菓子は別物なのだ。

    『秋期限定栗きんとん事件 下』

    何者かになりたかった小市民と,小市民になり損ねた狐と狼。
    やはり,住む世界が違うのだろうか。

    日々の物足りなさを補うために,彼らはまた謎とスイーツを求める。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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