殺人喜劇の13人 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 214
感想 : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488456054

作品紹介・あらすじ

共同下宿の古アパートで起きた、ミニコミ誌制作サークルのメンバーを狙った連続殺人の真相は? 青年探偵・森江春策初登場作にして本格ファン必読の第1回鮎川哲也賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 「森江春策」シリーズの第1弾なのだけれど、その後の森江から受ける印象とは違う大学生の森江による推理劇である。
    十沼京一の手記による前半、森江の推理による後半にわかれている。
    論理に基づいた推理。
    事件の矛盾点をつき犯人の行動を推測し、解明にむけて思考をめぐらす森江。
    時代背景が昔のためか古さを感じる場面も多いが、物語としての面白さには影響していないように感じた。
    トリックあり、アリバイ崩しあり、密室あり。
    本格派をめざして書かれた物語なのだけれど、少々中だるみというか読みにくいところもあった。
    思いついた案を詰め込むだけ詰め込んだ物語でとにかく長かった。
    それでも、手記の冒頭部分にすでに伏線となるべき状況がしっかりと描かれていたりとミステリーとして練られている部分も感じた。
    新人作家が意欲に燃えて書き上げた意欲作といったところだろうか。

  • 芦辺拓。大学のサークル員が暮らす洋館てメンバーが次々に殺される話。
    前半と後半に分かれており、後半は殆ど解決編で事件は前半部分で語られるが、この前半がとても読みにくく、登場人物が多い上に次々と死んていくので、頭の中て整理しきれず何度もやめようと思った。

  • 月並みな感想で恐縮だが、真相にはとても驚いた。
    もはや「驚いた」がミステリ作品への賛辞なのかどうかも分からないけれど。

    記念すべき第一回鮎川哲也賞受賞作品(の改稿作)。
    やはり、私はこの賞を獲る作品がとても好きだなと思うし、とりわけ本格ミステリが大好きだなと思う。

    まず、部屋数の多い建物がある。
    そして、その建物は外界と断絶されている。この断絶は、心理的・物理的どちらでもよい。
    そして、密室があり、殺人が起きる。
    巻頭に建物や敷地の見取り図があると尚良い。

    そして、さんざん惨劇に見舞われたその場所に、名探偵が登場する。

    古今東西、あまりにも多くのクローズドサークルが描かれてきたが、何度そのシチュエーションに身を浸そうとも飽きることがない。むしろ、その多彩さに、毎度新鮮に驚かされている。

    前置きが長くなったが、本書である。
    型通りといえばあまりにも型通りな、クラシックなクローズドサークルもの。とはいえ、本書の「館」は完全なクローズドではない。
    京都の大学のとあるサークルメンバーが身を寄せあって暮らす、もとは病院だった建物である。
    電話線は通じるし、何より早くから警察が介入している状況ではあるが、若者特有の排他的な雰囲気やその他の要素も相まって、一種閉鎖的な空間で、事件は起きる。
    そして、終盤の探偵による演繹、鮮やかな解決。そして、シリーズ第一作でもあることからか、「次」への布石のような最後。

    例えるなら、最高の老舗の幕の内弁当を食べたような、そんな安心感と安定感があった。

  • かなりわかりにくいお話でした。
    期待の森江さんが登場するのが
    あまりに遅くて、出た途端に謎解きしちゃうし
    で、犯人は、ちゃんと逮捕されたの?
    (読み飛ばした?)
    最後の贈り主も読解力のない私には
    さっぱりでした。

  • 病院を流用した学生寮で次々と大学生が殺害されていく様子が、推理作家志望の学生の手記という形で描かれていく。解決編は面白いものの、何だか文章が読みにくくて、中盤ちょっと苦労しました。

  • 前半読んでいて、こんなにも"新の探偵"の登場を待ち望んだ小説はなかったかもしれない。

    "殺人喜劇"というだけのことはある。

    前半は読むのがつらいくらいだったが、全ての謎を解く鍵は書いてあったと思う。"小説の中の小説"だと意識して読むことをおすすめしたい。

  • ながーーーい。途中から、なんか怪しいな…これはもしかしてアリバイなくないか⁇と思ってたらやっぱり犯人でした。次々と人が殺され過ぎだし、もちろん小説だからフィクションなんだけど、それにしてもリアリティーがf^_^;隔離するとか、親なら心配で帰って来い!とか、なんかあるだろうと。そして出てくる大学生がわりとギスギス仲悪くてなんか…イヤ。推理の議論してる場面も長いし。まさかの語り手が死亡するとは思わなかったのでそこは驚きましたが。合わない作家さんなのかなぁ。残念。

  • 森江春策初登場にして鮎川哲也賞受賞作。さすがに書かれた時代が時代だけあって旧さは感じられたものの森江春策の謎解きが始まるまで数多の殺人の謎解き全てはわからず。この時代だからこそできたネタもありミステリを楽しむことは十分にできた。

  • スラプスティックな本格ミステリ。かなり昔の作品、文芸サークルっぽいのりは今でもあるのだろうか?
    小説としてのカタルシスはあまりないように感じます

  • 薦められて読んでみたが、イマイチ。時間があれば。

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著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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