仔羊の巣 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.82
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本棚登録 : 3306
レビュー : 395
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488457020

作品紹介・あらすじ

自称ひきこもりの友人、鳥井真一が風邪で寝こんでいたある日、僕、坂木司は同僚から、同期の女性の様子がおかしいと相談を受ける。慣れない探偵役をつとめた僕が導き出した解答は…。また、木村栄三郎さんのもとで出会った男性と地下鉄の駅で見掛けた少年の悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解明するのか。ひきこもり探偵シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 自分以外の人のことを理解するのは本当に難しい。
    作中の利明くんのお父さんの謎を読んで、心からそう思った。

    自分はこの人から嫌われている。そう思ってしまったらもうその人には近付けなくなってしまう。
    冷たくされて傷つきたくないとか、相手も嫌だろうからとか、理由はたぶんいろいろある。
    私だって嫌いだって突っぱねることも出来るし、仕方ないよと苦笑することもきっと出来る。
    でも本当は相手に認めてほしいと心から願っているんじゃないか。
    本人が又は他の誰かが、何かの間違いだよ。別に嫌ってないよと言ってくれるのを待ち続けているんじゃないか。

    利明くんが土屋さんに伝えた登くんの気持ち。
    鳥井さんが利明くんに伝えたお父さんの気持ち。
    そのどちらもずっと2人が待ち続けていた言葉だったんだなと思う。
    それがどんなに2人の心を軽くしたか、どんなに勇気づけたかを想像すると私まで嬉しくなる。
    何故か私も勇気づけられる。


    そして状況は少し違うけれど、坂木さんも鳥井さんから言ってほしい言葉があるんじゃないかなと想像する。
    きっとその一言は坂木さんを不安から解放するんじゃないだろうか。
    大はずれかもしれないけど、その言葉を私も聞きたい。
    だから3巻を読もう。ドキドキしながら。

    • まろんさん
      人の気持ちを推しはかることも、人に気持ちを伝えることも
      ちょっとしたタイミングのズレで、大きな誤解を呼んでしまったりして、むずかしいですよね...
      人の気持ちを推しはかることも、人に気持ちを伝えることも
      ちょっとしたタイミングのズレで、大きな誤解を呼んでしまったりして、むずかしいですよね。
      そういう微妙なところを、坂木さんは繊細に丁寧に描いていてくれるから、大好きです♪

      takanatsuさんの感動的なレビューを読んでいたら
      この本の表紙の仔羊も、いっしょうけんめい思いを伝えようと
      大きな口をあけて鳴いているように見えてきて、おお!と思いました(*'-')フフ♪
      2013/02/04
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます。
      ひきこもり探偵のシリーズは読んでいてはっとする瞬間がすごく多い気がします。
      分かっていたはずなの...
      まろんさん、コメントありがとうございます。
      ひきこもり探偵のシリーズは読んでいてはっとする瞬間がすごく多い気がします。
      分かっていたはずなのに意識から薄れていた大切なことに気付ける…とでも言いますか。
      「そういう微妙なところを、坂木さんは繊細に丁寧に描いていてくれるから、大好きです♪」
      本当にその通りだなと思います。
      そしてとても優しいですよね。
      今3巻を読んでいるのですが、坂木さんの涙腺がもろくなった理由も優しいなと思いました。
      「この本の表紙の仔羊も、いっしょうけんめい思いを伝えようと」
      確かにそう見えますね!
      仔羊の声が届きますように…
      2013/02/05
  • 相変わらず鳥井に過保護すぎる坂木氏。会社の同僚にも、わがままな彼女持ち?と誤解を招くほど、何よりも鳥井を優先してしまう。

    同僚の不審な行動、風船やヨーヨーを持って連日一時間も地下鉄のホームに立つ中学生、坂木に嫌がらせを仕掛ける女子高生。引きこもり探偵鳥井の推理はもちろん、料理の腕も冴え・・・。

    いくらなんでもちょっと絆が強すぎるようなふたりだから、滝本のように本音で問題提起してくれる人の存在も大事。

  • 2作目のこの本は、忙しかったため読み進めるのが遅くなってしまいましたが、それでも興味が途切れることのない物語でした。この本では、今まで知れなかった坂木の職場での交友関係が知れて、またほっこり温かい気持ちになったし、恋愛の話なんかちょこっとも出てきて1作目とはまた違ったわくわくも感じました。また、おじいちゃんの栄三郎さんが、鳥井や新しく出てくる中学生の利明くん(共に複雑な育ち方をしている)に大切なことを教えようとしっかり叱っているところも素敵な場面で、私もちゃんと叱られて育ちたかったなぁとしみじみと思ってしまいました。そして、鳥井の推理の鋭さや考えの深さはやっぱりすごくて、引きこもりとはいえ魅力の溢れる人物だと思いました。最後に物語全体を通して、じんわりと優しく包んでくれるような温かさにとても勇気付けられて、嬉しくなり、また頑張ろうと思えました。

  • 坂木作品は、必ず順番に読むべし!
    前に、これで悔しい思いをしました。

    だって、登場人物がひょっこり美味しい感じで出てくるんだもん。
    それを逃さないためにも、これはぜひ!

    ええ~~何だそれ?
    って思う謎も、うまく解決に持っていく。
    仲良しの輪が広がるのが、だんだん心地よくなってきます。

    巻末のはやみねさんの書評も素晴らしい!
    言いたいことが全部あった。

  • なんて言うかもう…「青空の卵」から読んできて心から思うこと。

    この2冊は、主人公も含めて、みんなが幸せになる物語。ほかに形容のしようがない。次の一冊では…どれだけの人が幸せになるのだろう。

    しかし私の中には、どうしても解けない命題が残されている。

    ひとつは、鳥井と坂木の関係。社会的には普通じゃないし、それを二人ともわかっている。だが…それは悪いことなのだろうか。「解決」しなくてはならない、いずれ解消しなくてはならない関係性なのだろうか。

    一方的なよりかかりでもなく、二人ともそれを望み、誰にも危害を与えていない。それでも、この関わりは「恒常的には許されるものではなく、早期解決すべき問題」なのだろうか。

    もうひとつは、主人公の名前が作者と同じであること。そこにこめられた作者の意図。

    二つの答えを求めて、三部作の最後「動物園の鳥」にとりかかろう。

  • シリーズ2作目。
    前作より長いお話が多いが、謎はいくつも絡み合って存在している。
    何度も語られるのは、親子の問題。主に父親との。
    母親というのは大体身近な存在で、女というのはおしゃべりだ。
    子供と語り合い、分かりあえるチャンスも無きにしも非ず。
    父親は、ただでさえ仕事ですれ違い、ミステリの中の存在としては、物言わぬ死体(!)に近いかもしれない。

    坂木と鳥井が築いて行く人間関係は、普通のミステリなら“犯人”の立場の人たち。
    殺人までには行かなかったが問題行動は起こした。
    それは、彼らが根っからの悪意の人だったわけではなく、他人とのコミュニケーションについて行き違いがあったために生じた事件が多い。

    彼らや鳥井が抱えた父親との問題は、しかし、彼ら側のコミュニケーション力の問題だけではなく、父親の方にもそれが存在しているために起こる。
    父親も、迷える仔羊なのだ。

    そこで、みんなのお父さんとして頼もしく存在しているのが、木村さん。
    この作品の中では、確固とした存在感を持つ失われた理想の父親像、みたいな感じなのだろう。

    しかし、解説の中の、鳥井が愛せないキャラクターで、そのためにお人好しの坂木がセットになっている…というような指摘は…
    これが初版で出た頃、『ツンデレ』という言葉は存在しなかったのだろうか???
    たしかに、(そんなはっきり言わなくても…鳥井、ひど~い!)と思う事もあるが、強烈なツンの彼が、ぼそっと恥ずかしそうに御礼を言う、ちょいデレの瞬間にニヤついてしまう私は、間違った読み方をしているのだろうか。
    そうね、坂木は間違いなくジョバンニだと思うが、鳥井がカムパネルラだと言われれば、少し違和感がある。

  • シリーズ第2弾。
    共依存のような関係から一歩ずつ外へ踏み出しつつある鳥井に、坂木が複雑な心境になりつつもある。
    収録作品数が少なく、1話が中編のような感じがする。
    同僚の二人だったり、同級生の滝本&小宮の警官コンビだったり、その人たちの人間性がとても素敵で、良い巻だったなと思う。
    そして、それは、栄三郎さんの自宅でも。みんなが集まりワイワイやる姿がとてもいいなと思う。栄三郎さんのキャラがいいな。仲間に入りたい。
    今回も扱われる事件は重いものもあったけれど、この作家さんの作品は暖かい人ばかりが出てきて、読んでいて、心地よい。

  • 青空の~読了後に、3部作と言う事実を知り、ちゃっかり購入。

    引きこもりの友人を現実に引き留める為に自分は存在する…。
    そんな強迫観念にもにた感情で友人鳥井と対峙する坂木君。
    もっと肩の力を抜いてごらんと言いたくなる。
    正直、この二人の関係は極端すぎてちょっと怖い。

    ボールペンの先位の小さな点上で、右に左にブレるやじろべえの様な感情のゆらぎが、危う過ぎる。。
    栄三郎さんの客観的な指摘で二人が“現実”に気付いてくれればいいのだけど…。
    心配。

    ま、謎解きが淡々と進むので読みやすいのは良いんですけどね。。

  • 表紙の仔羊とやたら目が合う・・。笑

    微笑んでるような、馬鹿にしているようなその表情。
    可愛いんだけどね・・。

    ・・結局買ってしまった・・

    よく見たら、これ三部作の2作目なんだよね。
    あ~あ、やっちゃった、仔羊めッ!


    とか思いつつ、読み始める・・。

    ん?これBL?

    引きこもりの鳥井真一が風邪をひいて・・。
    外界から心を閉ざしている彼が、ただ一人心を委ねている友人、坂木司。
    彼は鳥井のために懸命に看病して・・
    何かやっぱりBLっぽい・・・。

    読み進めるに従い、いろんな人間関係が分かってきて、その一人一人が憎めない感じなのだが・・。

    一番可愛げが無いのは鳥井かな・・・
    弱気かと思ったらすごい口のきき方だし。

    坂木もお人良しと言うより、弱々しい感じ?!

    鳥井は坂木に絶対の信頼をし、その愛情の深さがただならない。
    坂木は自分だけでなく、もっと色んな人・外の世界へ鳥井を導きたいと思う一方、いざ鳥井にそんな兆しが見えると心中穏やかじゃない・・。

    自分だけの鳥井でいてほしいような・・・

    これはもうBLでしょ?

    と思わせていながら、違うんだよね・・・。

    鳥井の観察眼の鋭さは対人関係に過敏だからなんだろうけれど。

    赤の他人が集まって、何となく心を寄せていくのは良いな・・。
    頑固親父っぽい人も、暖かくてね。

    • シルルさん
      このシリーズ大好き!
      ちょっとBLちっくなんだけどそうじゃない不思議な関係が時々イラっとくることもあるけど、こういう日常の小さな謎を取り上げ...
      このシリーズ大好き!
      ちょっとBLちっくなんだけどそうじゃない不思議な関係が時々イラっとくることもあるけど、こういう日常の小さな謎を取り上げて解決していくのは、自分の周りでもありそうなことだからか、すっきりします。
      段々輪が広がっていくのも素敵です。

      ぜひ1巻「青空の卵」も読んでね。
      2012/12/14
    • aquaskyさん
      シルルちゃん、コメントありがとね。
      このシリーズは全部読んだよ。^^
      最初はBL?とか思ったけど、だんだんほんわかとした気持ちになるね。 鳥...
      シルルちゃん、コメントありがとね。
      このシリーズは全部読んだよ。^^
      最初はBL?とか思ったけど、だんだんほんわかとした気持ちになるね。 鳥井が飛び立てるか、応援したくなるシリーズだったわぁ。^^
      2012/12/18
  • おもしろい!楽しい!!

    些細なでも、取り用には大きな事件を解決していくお人好しな2人が大好き

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著者プロフィール

1969年東京都生まれ。2002年『青空の卵』で<覆面作家>としてデビュー。続く「ひきこもり探偵」シリーズとして人気を得る。ナイーヴで魅力的な人間像、緻密に描かれ、爽快に解かれる日常の不思議とこころの謎が圧倒的な支持を集めている。13年『和菓子のアン』で第2回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。他の著作に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『僕と先生』『肉小説集』『女子的生活』などがある。

「2017年 『鶏小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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