仔羊の巣 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 3714
感想 : 415
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488457020

作品紹介・あらすじ

自称ひきこもりの友人、鳥井真一が風邪で寝こんでいたある日、僕、坂木司は同僚から、同期の女性の様子がおかしいと相談を受ける。慣れない探偵役をつとめた僕が導き出した解答は…。また、木村栄三郎さんのもとで出会った男性と地下鉄の駅で見掛けた少年の悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解明するのか。ひきこもり探偵シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 自分以外の人のことを理解するのは本当に難しい。
    作中の利明くんのお父さんの謎を読んで、心からそう思った。

    自分はこの人から嫌われている。そう思ってしまったらもうその人には近付けなくなってしまう。
    冷たくされて傷つきたくないとか、相手も嫌だろうからとか、理由はたぶんいろいろある。
    私だって嫌いだって突っぱねることも出来るし、仕方ないよと苦笑することもきっと出来る。
    でも本当は相手に認めてほしいと心から願っているんじゃないか。
    本人が又は他の誰かが、何かの間違いだよ。別に嫌ってないよと言ってくれるのを待ち続けているんじゃないか。

    利明くんが土屋さんに伝えた登くんの気持ち。
    鳥井さんが利明くんに伝えたお父さんの気持ち。
    そのどちらもずっと2人が待ち続けていた言葉だったんだなと思う。
    それがどんなに2人の心を軽くしたか、どんなに勇気づけたかを想像すると私まで嬉しくなる。
    何故か私も勇気づけられる。


    そして状況は少し違うけれど、坂木さんも鳥井さんから言ってほしい言葉があるんじゃないかなと想像する。
    きっとその一言は坂木さんを不安から解放するんじゃないだろうか。
    大はずれかもしれないけど、その言葉を私も聞きたい。
    だから3巻を読もう。ドキドキしながら。

    • まろんさん
      人の気持ちを推しはかることも、人に気持ちを伝えることも
      ちょっとしたタイミングのズレで、大きな誤解を呼んでしまったりして、むずかしいですよね...
      人の気持ちを推しはかることも、人に気持ちを伝えることも
      ちょっとしたタイミングのズレで、大きな誤解を呼んでしまったりして、むずかしいですよね。
      そういう微妙なところを、坂木さんは繊細に丁寧に描いていてくれるから、大好きです♪

      takanatsuさんの感動的なレビューを読んでいたら
      この本の表紙の仔羊も、いっしょうけんめい思いを伝えようと
      大きな口をあけて鳴いているように見えてきて、おお!と思いました(*'-')フフ♪
      2013/02/04
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます。
      ひきこもり探偵のシリーズは読んでいてはっとする瞬間がすごく多い気がします。
      分かっていたはずなの...
      まろんさん、コメントありがとうございます。
      ひきこもり探偵のシリーズは読んでいてはっとする瞬間がすごく多い気がします。
      分かっていたはずなのに意識から薄れていた大切なことに気付ける…とでも言いますか。
      「そういう微妙なところを、坂木さんは繊細に丁寧に描いていてくれるから、大好きです♪」
      本当にその通りだなと思います。
      そしてとても優しいですよね。
      今3巻を読んでいるのですが、坂木さんの涙腺がもろくなった理由も優しいなと思いました。
      「この本の表紙の仔羊も、いっしょうけんめい思いを伝えようと」
      確かにそう見えますね!
      仔羊の声が届きますように…
      2013/02/05
  • 「僕」坂木司の同僚の様子がおかしいー野生のチェシャ・キャット
    地下鉄で1時間も立ち続ける少年の目的はー銀河鉄道を待ちながら
    僕はなぜか女子高生に嫌がらせをされていてーカキの中のサンタクロース
    以上、すべて登場人物や流れがつながった3本。

    ひきこもり探偵鳥井と彼と外界のパイプである「僕」坂木司の、日常の謎シリーズ第2弾。
    1作目より読みやすかったです。
    それはたぶん、登場する「いい人」が増えてきたから。
    このシリーズは最初鳥井と坂木だけの閉ざされた関係に、巣田さんが加わり、滝本と小宮君が加わり、安藤君が加わり、栄三郎さんが加わり、中川夫妻が加わり、マリオ親子が加わり、と回を追うごとにかかわった人間が増えてゆき、そして彼らは消えることなく鳥井と坂木に交わり続ける。
    今回も地下鉄をメイン舞台にしてキャラクターが増えてゆきます。
    ある回で加害者だった人が代えがたい友人になったり、敵対していた人が別の回では素晴らしい知恵を授けてくれたりする。
    常に探偵が最上位(あるいは別次元)にいる従来のミステリーとは一線を画しているのはここではないかと。
    (有栖川センセの解説読んだばかりだから、影響うけてるなぁ・・・)

    個人的には栄三郎さんが出てくるとホっとして安心してお話が読める。だって鳥井は無礼で不安定なやつだし、坂木はお人好しですぐに泣くんだものー。
    ほっこりと面白かったです。
    未読の方はぜひ「青空の卵」を読んでからどうぞ。

  • 相変わらず鳥井に過保護すぎる坂木氏。会社の同僚にも、わがままな彼女持ち?と誤解を招くほど、何よりも鳥井を優先してしまう。

    同僚の不審な行動、風船やヨーヨーを持って連日一時間も地下鉄のホームに立つ中学生、坂木に嫌がらせを仕掛ける女子高生。引きこもり探偵鳥井の推理はもちろん、料理の腕も冴え・・・。

    いくらなんでもちょっと絆が強すぎるようなふたりだから、滝本のように本音で問題提起してくれる人の存在も大事。

  • 青空の卵の続編。
    僕、坂木と、ひきこもりの友人鳥井が、周りで起きる小さな謎を解くシリーズ。
    今回は警察官の友人滝本が坂木に、木工教室の先生になった栄三郎さんが鳥井に、
    良い感じに扉をノック(またはパンチ?)したなぁと思う。
    謎解きのたびに新しい仲間が増え、二人だけの世界が少しずつ広がっていく様子が温かく気持ちよい。
    続きが楽しみです。

  • 引きこもり探偵 第二弾。

    ちょっと したことに いろいろな 意味がある。

    殺人事件のない 推理は どうかなと思いましたが。

    意外と 奥が 深く 

    のめりこみますね。

    もちろん 第三弾 つづけて 読みます。

  • 短編集

    佐久間さんの言葉が響く。
    ねぇ、生きていくってなに?仕事ってお金のための手段?結婚しなきゃいけないの?結婚したら、子供を産まなきゃいけないの?人生ってなに?書かれたあらすじをなぞるだけの時間なの?いくつになったら、なにをしなくちゃいけなくて、いくつになったら、なにを諦めなくちゃいけないの?ねぇ、教えてよ!

    坂木が鳥井にプレゼントすると、おもむろに自分の作品をプレゼントする鳥井が可愛い。
    うるさい。やるといったらやる。
    小学生みたいな、愛すべき性質な気がする。

    有栖川有栖が解説なんだけど、登場人物が著者で、男性二人が主な登場人物で、推理モノって共通項。
    遠き目にありてって読んでみたい。

    牡蠣を食べたくなった。
    さなづらも食べてみたい。
    今流行りのコラボカフェでやったら行くなぁ。ご当地ものもあり、お茶あり、お食事あり。
    掘炬燵も!

  • おどろおどろしいタイトルと反比例する暖かい内容が素敵です。
    真っ直ぐだからこその不器用さ。
    幾つになっても忘れたくない物です

  • 相変わらずの坂木と鳥井の関係ですが、滝本に指摘されたり、同僚に妙な勘繰られ方をされたり、ある女の子にホモ扱いされたり…と他者からの視点が色々と描かれています。
    友達の輪は少しずつ広がっていますが二人はまだこの歪な関係性からは脱却できていないまま、次巻でどのような決着になるのか楽しみです。

  • 2作目のこの本は、忙しかったため読み進めるのが遅くなってしまいましたが、それでも興味が途切れることのない物語でした。この本では、今まで知れなかった坂木の職場での交友関係が知れて、またほっこり温かい気持ちになったし、恋愛の話なんかちょこっとも出てきて1作目とはまた違ったわくわくも感じました。また、おじいちゃんの栄三郎さんが、鳥井や新しく出てくる中学生の利明くん(共に複雑な育ち方をしている)に大切なことを教えようとしっかり叱っているところも素敵な場面で、私もちゃんと叱られて育ちたかったなぁとしみじみと思ってしまいました。そして、鳥井の推理の鋭さや考えの深さはやっぱりすごくて、引きこもりとはいえ魅力の溢れる人物だと思いました。最後に物語全体を通して、じんわりと優しく包んでくれるような温かさにとても勇気付けられて、嬉しくなり、また頑張ろうと思えました。

  • 坂木作品は、必ず順番に読むべし!
    前に、これで悔しい思いをしました。

    だって、登場人物がひょっこり美味しい感じで出てくるんだもん。
    それを逃さないためにも、これはぜひ!

    ええ~~何だそれ?
    って思う謎も、うまく解決に持っていく。
    仲良しの輪が広がるのが、だんだん心地よくなってきます。

    巻末のはやみねさんの書評も素晴らしい!
    言いたいことが全部あった。

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著者プロフィール

1969年東京都生まれ。2002年『青空の卵』で<覆面作家>としてデビュー。続く「ひきこもり探偵」シリーズとして人気を得る。ナイーヴで魅力的な人間像、緻密に描かれ、爽快に解かれる日常の不思議とこころの謎が圧倒的な支持を集めている。13年『和菓子のアン』で第2回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。他の著作に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『僕と先生』『肉小説集』『女子的生活』などがある。

「2020年 『鶏小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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