木野塚探偵事務所だ (創元推理文庫(国内M))

著者 :
  • 東京創元社
3.02
  • (5)
  • (14)
  • (44)
  • (16)
  • (3)
本棚登録 : 210
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488459109

作品紹介・あらすじ

経理課一筋37年で警視庁を定年退職した木野塚氏は、ハードボイルド探偵に憧れ探偵事務所を開設する。しかし、依頼どころかグラマーな美人秘書もやってこない。そんなある日、近所づき合いで業界紙に広告を出したところ、記念すべき最初の依頼が。その事件は、なんと金魚誘拐事件だったのだ。愛すべき老人探偵の活躍を描いた、ユーモア・ハードボイルド連作集。堂々登場、だ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「木野塚探偵事務所だ」。
    タイトルからして笑えてしまうのは、作品を読み終えたからかもしれない。

    ハードボイルド大ファン木野塚は、定年を迎えてからようやく憧れていた「探偵事務所」を設立する。探偵事務所所長、殺人事件の依頼が来て颯爽と問題を解決していく。酒と煙草を愛好する彼の隣には美人秘書。そんな妄想ばかりしていたが、実際殺人事件の依頼など一つもこない。
    「金魚が居なくなった」「犬の恋を実らせて欲しい」など変わり種な依頼がぽつぽつとやって来るのみだ。

    この作品にミステリのいわゆる解決編はない。こうだったんですね、と童顔秘書の桃世が、当たり前のように解決し、わかった顔して木野塚氏が頷いて体裁を保つ、というもの。
    この木野塚氏、見た目は冴えない上に夫婦仲もあまり良好ではない。さらには酒には弱く煙草も吸ったことがない、基本的には非常に真面目な人物なのである。
    そんな彼がハードボイルド探偵を気取るため、酒を飲み煙草を吸い、警察捜査に携わっているなどという嘘まで吐いている。

    私はハードボイルドはあまり得意ではないのだが、木野塚氏の憧れのあまりの行動を見ていると少々痛々しいどころか、微笑ましくなってくる。基本的に「良い人」でしかいられない木野塚氏。
    続きを読むまではいかなかったが、新宿にそんな初老のおじさんが居ても良いのかもしれない。

  • 2014.10.11(土)

    警視庁一筋…
    ただし経理課一筋37年の木野塚佐平が定年後に選んだ職業が『私立探偵』。
    ハードボイルドに憧れて、こうあるべきと決めつけて夢見る60歳。

    名探偵が誕生!!?!

    -------------
    樋口有介さんの小説は何冊か読んだけど
    主人公が不潔でだらしなかったりするけど
    本当にかっこよくて、お話のなかで恋が始まってほしいと思うほどなんだけど
    今回選んだ小説は主人公が60歳。
    どんな感じかと開いてみたら…
    こういう小説も書くんですねという印象。

    でも。途中飽きちゃったかな。
    続編があるからか、終わり方も「あれ(*゚ー゚)」って感じだった。
    でも、『ピース』よかった。うん。

  • この作者本当に良い。デンスケでは笑いすぎて過呼吸になった。60歳からの起業。なにかやり始めなければと忸怩たる思いを行動に移さねば。

  • 警官生活37年、警視総監賞ももらったこともある木野塚佐平氏60歳。定年を機に憧れ続けた私立探偵事務所を開設…するんだけど、警官といっても経理一筋で捜査なんてしたことない。
    言うことだけは一丁前だけど、本人は真面目に、殺人事件やら担当し、有名になり、TVに出まくり、美人キャスターと不倫出来ると考えている。
    アシスタントの桃世に助けられながら、変な事件ばっかり解決する。
    自称ハードボイルドがバカバカしくおもしろかった☆脳内再生は高橋克美さんでした。
    続編では桃世は出てくるのか⁇

  •  ユーモア小説である。主人公である経理一筋37年で定年退職した警察OBが探偵事務所を始め、たまたま採用した若い女の子が秘書というか助手として大活躍するというストーリーである。
     その主人公が木野塚佐平である。誇大妄想というかフィリップマーロウに憧れたという設定からわかるようにコメディーである。サスペンスでも推理ものでもない。
     今度TVで志村けんが演じるそうだが、よく合いそうである。ちょっとコメディーぶりがくどいが、気楽におもしろく読めるところがお勧めである。

  • 4
    定年を過ぎてから私立探偵を始める木野塚氏。憧れの事務所を開設しなんだかんだでうまくやってるところがすごい。
    桃世という助手にも恵まれ、ほのぼの感漂う探偵話が面白い。
    ハードボイルドに憧れており吸えないタバコや飲めない酒を始める形から入る感じも面白い。
    歳をとってからでも学んで成長しやりたいことをできるんだなーという話。

  • 定年退職を機に長年夢だった探偵事務所を始めた木野塚氏の奮闘記。いたって平凡な木野塚氏の憧れは、フィリップ・マーロウのようなハードボイルドな探偵だが、一つも思い描くようにはいかない。さらにひょんな事から雇った助手が切れ者で、いつも遅れをとったと感じている木野塚氏のなんとか体裁を保とうとする言動に悲哀を感じる。滑稽なくらいハードボイルドであろうとする木野塚氏にエールを送りたくなる作品。それと、相棒にたまに出てくる探偵さんとイメージが重なってしまって、どうしても抜け出せなかった・・・(^_^;)

  • ハードボイルドな私立探偵を目指す木野塚氏、最初は痛々しいだけなんだが、読み進むにつれて何か愛着が湧いてくるから不思議。

    但しまともな推理物を想像すると肩透かしを食らう。
    ミステリーかどうかも怪しい内容。

  • 定年退職した元警視庁職員(経理課)が,ハードボイルド探偵に憧れて探偵事務所を開き,奇妙な依頼が舞い込んでくる連作短編集。
    事件の話自体はボチボチだが,秘書兼助手の桃世さんが可愛い。あと桃世さんの可愛さが異常。
    樋口有介作品のヒロインは大体かわいいが,桃世さんは特に可愛い。
    逆にいうと桃世さんが可愛い。

  • 経理一筋で37年、警視庁を勤め上げた木野塚氏。
    憧れのハードボイルド探偵になるべく、探偵事務所を開設する。
    志もプライドも高いけれど
    グラマーな秘書も、難事件も現れず、やっと来たのは金魚の誘拐事件・・・

    コミカルなTVドラマという感じ。
    悲哀を誘うおかしみが特徴の連作短編集

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋口有介の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×