黒百合 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 627
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488460051

作品紹介・あらすじ

六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った。夏休みの宿題のスケッチ、ハイキング、育まれる淡い恋、身近な人物の謎めいた死──1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年ふたりと少女の姿を瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。解説=戸川安宣

感想・レビュー・書評

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  • 多島斗志之さんのミステリー『黒百合』
    難しかったーッ(^^;;
    『ラスト五ページの衝撃』?!
    私の場合、わからない事が衝撃だったーッ(笑)
    難しいよ、と聞いていた
    伏線がわからない人はそのままの小説だと思うだろう、と聞いていた
    時代が前後して時系列がわかりにくいので、負けてなるものか!とメモをとりながら読んだのだが。。。

    誰が宝急電鉄の車掌だった?
    ここが一番のポイントだよねー!
    どうしてみんな足を引きずっている?

    わからなくてネタバレを検索した
    人物相関図も見た
    だがいまいちピンと来ない
    ミスリードが多い
    ダミーもいる
    タイトルの意味はわかった
    再読すれば違うはず
    わかっていて読むとまた違うだろう
    でも、この落ち着いた読み心地は好きなんだよね
    少年少女の爽やかな六甲での淡い夏恋物語も良かった
    好きなのにわからなかった、と複雑な気持ちにさせられた作品だった

  • 真実を知った時、頭を掻きむしりましたね笑
    何でミスリードをしてしまったのか。。
    予想する → 分析する → ミスリードする → 真実知る

    頭を掻きむしるよね、本当に。うわぁぁぁぁ!

    作品内容は面白かったです。
    ガキンチョとその親達の恋模様と訪れていた別荘地で
    起きる奇妙な事件。ベルリン&空襲。
    これ以上、書かないどこ笑

    ただ、家族構成が分かりづらく読み手を混乱させます。
    且つ多島先生の文章力で絶妙にカムフラージュさせ
    頭を掻きむしる事になります。さすが、小説家。

    解説とかも無いので、「?」で終わる方も多いかも。
    今後読む小説で分析の知識を得ました!

    もう、ミスリードはしない笑

  • 本格推理苦手なのに定期的に読んでしまう不思議。そして見事に騙されます。今回もきれいに騙されました。
    少年少女たちの淡い恋情と、その親世代の薄暗い愛憎が交互に描かれますが、少年少女たちのひと夏の思い出の部分にばかり頭が行ってしまい、推理に必要な部分には全く興味が沸かない体たらく。嗚呼やはり私は阿保だった。

    青春的な部分だけ書きますと、短期間で会わなくなってしまうけれど淡い恋を抱くというのは、少年時代の通過儀礼ですよね。本当に好きならば万難を排して会いに行く所でしょうが、小中学生の頃はちょっと離れただけであきらめざるを得ないですから。自分の昔を省みても少々甘酸っぱい気持ちになります。

  • 最初のうちは、進と一彦と香の三人の交流が淡々と描かれ
    単純に「すらすら読みやすい」「特に大きな展開もないな…」と思っていました。
    しかし、時折、挿入される異なった時間軸からみた登場人物達の描写が後にとても深い意味を帯びてきて、そこに気づき始めた時には、面白くて一気読みしてしまいました。
    特に、最後の数ページに渡る怒濤の展開には驚き、
    「そういうことだったのか!」と何度も、前のページに戻ってはこれまでの歩みを一つ一つ辿っていきました。

  • 昭和27年、戦争が終わりサンフランシスコ平和条約が結ばれた年の夏。「私」こと寺元進は14歳の夏休みを父の友人である浅木氏の別荘がある六甲で送ることになる。そこで出会った浅木氏の息子・一彦と地元の事業家の娘・香との交流、中学生の男女の淡い恋模様の始まり。

    文芸+ミステリということでイニシエーションラブのようにミステリであることを作品内で示さない作品ですね。
    <六甲の女王>を相田真千子に<車掌>を日登美の夫に誤認させるようなプロット。正直、六甲の女王についてはミスリードの為にだけ存在する人物であまり好みではない手法だが本作は示された人物内で犯人を推理するような形式でもないので許容範囲。両者が別人である伏線も細やかで素晴らしいね。

    どうやら浅木真千子と日登美の関係は続いているらしい。少なくとも日登美の方は夫に冷めてるのに加え、木の玩具が部屋にあったことがそれを匂わせてる。ここがおそらく本作のタイトルである黒百合という蠱惑的なタイトルに掛かっているのだろう。香にプレゼントされた純潔でストレートな白百合に対して、どこかミステリアスで歪曲されたような黒百合な恋が裏で展開されたことが示唆されているのだと思う。

  • 六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った。夏休みの宿題のスケッチ、ハイキング、育まれる淡い恋、身近な人物の謎めいた死──1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年ふたりと少女の姿を瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。解説=戸川安宣

  • 14才の少年少女のひと夏の恋物語…と思いきや伏線とミスリードだらけですっかり騙されました。
    二本立ての映画を観た感じ。

    多島作品は初めて。ほかも読んでみたいな。でもこの作品が最後なんですね。失踪されてるって知って、また驚きました。

  • この小説に探偵は出てこないので、一体何がどうなっていたのかは自分の頭で考えなくてはなりません。

    ラストを読むまで完全に叙述トリックにやられていました。何度か読み返してようやく頭の整理がつきました(遅すぎ笑)

    ベルリンにいた女性「相田真千子」=若かりし日登美叔母さんと交際していた「運転手」=一彦の「義理の母」

    これで合ってますよね?笑
    六甲の女王と日登美の旦那さんは完全なるダミーでした笑

    タイトルの黒百合の百合はそっちの方の意味も含んでいるんでしょうか?



  • 青春ラブストーリーと思いきや
    現代と過去を行ったりきたりして
    毎回騙されてしまう。


    トリックが巧妙です。
    退屈な日常で刺激が欲しい人はオススメです。

  • 完全に騙されたー。まんまとミスリードされましたー。でもいまいちスッキリしないー。

    進と一彦と香の3人の物語はとても素敵でした。読んだのがちょうど暑い日が続くときだったので、ノスタルジーに浸れました。

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著者プロフィール

1948年大阪生まれ。広告代理店に勤務。1982年、小説現代新人賞を受賞し作家デビュー。主な作品に、『海賊モア船長の遍歴』『クリスマス黙示録』『仏蘭西シネマ』『不思議島』『症例A』などがある。

「2021年 『多島斗志之裏ベスト1  クリスマス黙示録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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