日曜は憧れの国 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 377
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488460112

作品紹介・あらすじ

内気な中学2年生・暮志田千鶴は、母親の言いつけで四谷のカルチャーセンターで講座を受けることになる。退屈な日常が変わることを期待して料理教室に向かうと、明るく子供っぽい桃、ちゃっかりしたリアリストの真紀、堅物な優等生の公子と出会う。4人は偶然にも同じ班となり、性格の違いからぎくしゃくしつつも、調理を進めていく。ところが、教室内で盗難事件が発生。顛末に納得がいかなかった4人は、真相を推理することに。性格も学校もバラバラな四人の少女が、カルチャーセンターで起こる様々な事件の謎に挑む! 新鋭が贈る、課外活動青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて。カルチャーセンターで出会った4人の女子中学生達が遭遇する日常の謎。謎や話し方など妙に落ち着いて昭和感あるものの、関わり合うことにより自分の事やお互いを見る視野が広がり成長物語となっているのが清々しい。

  • 引っ込み思案で事なかれ主義の日和見の千鶴。
    計画性はないけど気遣い屋でムードメーカーの桃。
    要領がよく、損得勘定で学校生活を円満に過ごす真紀。
    進学校でも優秀で、冷静な知性派の公子。
    カルチャーセンターの料理教室で一緒のグループになった四人は、それぞれの悩みを抱えつつ、講座を一緒に受けて行くことに。

    料理教室のお話と思ったら、始めだけで、将棋、歴史と講座が変わってしまい、あれ?
    ティーンエイジャーの持つ、劣等感、迷い、悩みがリアルにモヤモヤと描かれる。
    お綺麗な感じもしてしまうけど、そうだった未来への選択肢が多いって不安だったな。
    4人の自己評価も後半には見方が変わっていく。
    後味スッキリ。

  • ここのところよくジュブナイルミステリをよく読むのだけれど、これは白眉と思います。というか好きですね。

    キャラは立っているが、キャラ付けされすぎていない絶妙なバランス。
    単に「事件を解いた」→「人間的に成長した」のような安易な成長譚にせず、謎そのものにしても、その解決方法にしても異なる意見・性格の友人と議論し(時にはしっくりとくる結論がでないこともある)、人生の答えを見つけ出そうともがく様を丁寧に描いている。
    4人のメイン主人公たちの描きわけが巧みなのは、作中何度か2人×2チームで行動した(その組み合わせを変える)時に如実に現れます。また続編ではさらにそれが際立つ。

    いずれにしても、子どもの「学ぼうとする」姿を応援する姿勢を貫いて物語を紡いだ作者のオトナとしての矜持を尊敬します。

  • カルチャーセンターで出会った
    4人の中学2年生。
    毎回違った講座を受けながら、
    ちょっとした謎を解いていく。

    カルチャーセンターに通うという
    設定も魅力的だし
    色々な講座があって面白い。
    4人それぞれのキャラクターと、
    内面の成長も描かれていて
    とっくに大人の自分が読んでも
    ハッとさせられたり…

  • 円居挽の最新作。
    但しミステリというよりは、青春小説という性格が強く、後半はほぼミステリ色がなくなってしまう。この青春小説としてのメッセージ性の強さは比較的若い世代の読者向けだという印象。

  • ≪一生忘れられないような体験が,憧れの国で待っている≫

    校「外」活動ミステリ.

    円居先生の他の作品に比べると,エキセントリックなキャラ立ちや,推理合戦,どこか浮世離れした感覚は抑えめ.
    個人的に,後半3作が好き.
    「維新伝心」は,街中のポスターを見かけたらどんな内容なのか推理してみようかなと,日常が少し変わりそうな発見がある.
    「幾度もリグレット」はタイトルが某作家さんっぽいなとまず思った.
    作家論.物語論.本を読みながらもいろいろ考えられるんだなぁ.
    「いきなりは描けない」は,これも某作家さ….
    4人のリレー形式推理が気持ちいい.

    基本的にいい人しかでないミステリなので,主人公たちと同じ中学生でもさらりとおすすめ.

  • なんと、円居さんは法廷劇以外のも書けるんだ。しかも児童書的にも優良な中学生の成長物的な日常ミステリ。そういった驚きと共に面白く読みました。学校がそれぞれ違うように4人の性格も描き分けられているし、各章のイラストも可愛らしくて良かったです。『幾度もリグレット』が白眉でした。これ1冊でも完成されてますが、このまま4人とお別れするのは寂しいな。続編もあればいいと思います。

  • 個人的には好き。一話が長くなくてヘビーな話もないので、気軽に読みたい時に。本格とか腰据えてとかそーゆーの期待するとダメなんだろうけど。本の読み方も色々だからね。私にとってはお風呂で読む本。

  • ※ネタバレではないけれどあまり良い感想ではないので、閲覧注意下さい※
    4人の主人公のキャラが弱い。例えば千鶴ちゃんのお嬢様設定も、ただの引っ込み思案な大人しいコで終わってしまった印象。おっとりとおとなしいは違うと思うんだけどな。謎解きも独りよがりに感じた。

  • カルチャースクールで知り合った中学2年生4人の女の子が日常の謎を解く連続短編集。
    各女の子のキャラ自体はありがちだけど、厚い友情に結ばれた仲良し!ではなく、たまたま知り合って、何となく居心地がいいから関係が続いているってのがリアルですね。

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著者プロフィール

ミステリ作家。1983年、奈良県生まれ。2009年に『丸太町ルヴォワール』で講談社BOXからデビュー。同作から始まる〈ルヴォワール〉シリーズ(講談社)のほか、著作に『キングレオの冒険』(文藝春秋)、『シャーロック・ノート』(新潮文庫nex)など。

「2022年 『円居挽のミステリ塾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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